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190-衆-予算委員会第五分科会-1号 平成28年02月25日

○奥野(総)分科員 民主党の奥野でございます。大臣、きょうはよろしくお願いいたします。
 ちょっと順序を入れかえまして、先にGPIF絡みの話もしていきたいと思うんですが、まず、昨年、二〇一四年障害年金受給者実態調査というのが報道されていますが、それによれば、障害年金受給者の約半数が、労働による年間の収入が五十万円未満だ、こういう結果が出ています。
 単身世帯が多くて、年金を受給した上で働いても生活が困窮している、こういう実態が明らかになっていると思うんですが、まず、大臣、これについてコメントをお願いしたいと思います。

○とかしき副大臣 お答えさせていただきます。
 平成二十六年の障害年金受給者実態調査、今先生おっしゃっていただきましたように、障害者年金受給者で就労している方の約半数、四七・五%の方々が、就労収入が五十万円未満ということでございます。ただ、これは、労働収入に年金等の収入を含めた世帯収入で見てみますと、百万円以上の方が約七割、六六・八%となります。障害年金は、労働収入があっても額が調整されないということで、全額支給されるものでございます。
 そして、障害者につきましては、支出の部分も少し配慮していきたいということで、低所得者の福祉サービスの利用の負担をゼロにしていこうということで配慮をさせていただいております。
 ということで、障害者年金や特別障害者の手当等の支給、さらに、もう一つ力を入れておりますのが、障害者福祉サービスによります一般就労への移行支援、これはここ十年で八倍になってまいりまして、平成十五年が千二百八十八名、平成二十五年は一万一人ということでございます。また、ハローワークにおける職業紹介、こちらも過去十二年間ずっと増加をさせていただいております。
 ということで、障害をお持ちの方にも積極的に働いていただくということで、障害者の就労施設への発注の促進や工賃の向上、こういった形で収入をアップしていって、労働の収入そして年金の収入でしっかりと世帯の収入を確保させていただくように配慮をさせていただいております。

○奥野(総)分科員 いろいろ御努力されているということなんですが、それで十分暮らしていけると思いますか。百万円と言っていましたけれども、百万円で人は暮らしていけるでしょうか。どうぞ。

○とかしき副大臣 いろいろ事情もおありでしょうけれども、一応そういう形で、今、百万円以上の方が約七割ということで、これでいろいろなサポートをしながら、地域の皆さんのお支えありながら、何とかお暮らしいただいているというのが現状でございまして、もちろん、こういったことをこれから配慮していくことはとても大切だというふうに考えております。

○奥野(総)分科員 もう少し何か心のこもった答弁が欲しいんですよね。いや、それは財政があるから、できますとは言えないとは思うんですけれども、百万円で十分だと思わないし、生活保護も受けている方もいらっしゃるんだろうけれども、受けないで頑張って、周りの方に支えられながら頑張っている方もいらっしゃるわけですよ。
 就労支援といったって、それは、働いてもなかなかお金は、賃金は難しいですよ、人それぞれ障害の程度は違いますから。もう少し温かい答弁が欲しいんですよね。役所的にはそういう答えになるんでしょうけれども、やはり、福祉とかそういうものに携わっておられる以上、それは野党だからそういう答えになるのかもしれないけれども、こういう分科会の場ですから、テレビでやっているわけじゃないんだから、もう少し温かい答弁をしてくれてもいいと思うんです。
 そこで、ちょっとまたこれは順序があれなんですが、例えば、交通費の軽減とかというのは、知的障害者とか身体障害者は手帳を持っていれば軽減になるんですよ。ところが、私もこれは知らなかったんですが、精神障害者はそういう仕組みがないらしいということなんですね。これなんかも結構冷たい。
 障害年金の受給者というのは、多くの方は精神障害者なわけですよね。精神障害者は、見た目は健常者と変わらなかったりして、なかなかこれまで理解が得られないということもあったんですが、時代もだんだん変わってきましたから、精神障害者の方も、やはりほかの障害者並みに交通費の減免ですか、軽減、受けられるべきだと思うんですが、そのあたりはいかがでしょうか。

○藤井政府参考人 先生御指摘の、身体障害者手帳ですとかあるいは知的障害者の療育手帳等をお持ちの方への運賃の割引につきましては、公共交通機関の事業者でありますとかあるいは交通事業を行っている自治体が、それぞれ独自のサービスとして行っていただいておるものでございます。その中で、精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方が一部の公共交通機関で運賃割引の対象となっていないことにつきましては、私どもとしてもこれは重要な課題であると認識をしております。
 したがいまして、厚生労働省といたしましては、交通事業者を所管しております国土交通省に対しまして、公共交通機関の割引につきまして各事業者に協力をしていただきますように要請を行ってきているところでございます。また、そういった運賃割引を受けやすくするための方策として、本人確認が容易に行えるように、平成十八年の十月でございますが、手帳に写真を貼付するようなことにもしたところでございます。
 私ども厚生労働省といたしましては、ほかの手帳をお持ちの方と同様に運賃割引を行っていただけますように、引き続き、国土交通省に対してまた要請を行っていきたいというふうに思っております。

○奥野(総)分科員 予算措置がないからということ、そこはほかの障害の方もそうだと思うんですけれども、そうなるとなかなか難しいということかもしれないけれども、でも、この時代に、やはり精神障害者の方も同じように受けられるというふうにするのが筋だと思いますし、もしそれがかなわないというなら、何らかの強い措置、一番いいのは財源を持ってくるのがいいんでしょうが、そうすると、ほかの障害者の方との並びという話も出てくるかもしれませんが、何か制度的に手当てをするというのが一番大事なことだと思うんですよ。私のところにも請願が来たり、それで知ったわけですけれども、やはり、ちょっと時代錯誤と言っちゃいかぬけれども、この二十一世紀の世の中にそういう区別があっちゃいかぬと思います。
 きょうはずっとこの話をしていくわけですが、やはり所得が低い、なかなか働けない、働いても収入が少ない、唯一の頼みの綱が障害年金だったりするわけですよ。
 年金一般についてもつながるんですが、先日、予算委員会で総理は、株式運用の損失が拡大するなら年金支払い額に影響もと記事になっているんですが、新聞によっては支給減額もという書き方になっているんです。
 私も昔、郵貯の運用の部署にいたことがあって、若干この問題には関心があるんですが、例えば郵貯であれば、お預かりしているお金だから、運用は安心、安全、確実にと当時は言っていたわけです。最近は、民営化して外債とか株式の割合もふえていますが、ただ、そこは余りふやさないということが基本だと思うんですね。
 ただ、年金保険と、より長期のものになると、もう少しリスクをとってと。しかし、それはポートフォリオの中で一定割合ということで、リスクを分散させるというのが基本的なあり方だと思うんですが、年金については、突出して、民間と比べてもリスクをとりに行っているわけですよね。万一損失、株価をきょうはちょっと見ていませんが、ことしに入って非常に乱高下していますし、為替の影響、それから海外の経済の影響を非常に受けるわけですよね。だから、大臣は恐らく積極的に株式運用という立場かと思うんですが、ただ、年金受給者の立場から見ると、これは非常に不安だと思います。
 もう一度ここで確認したいんですが、損失が出た場合に年金の支給額が減額というのは、論理的にはあり得るんでしょうか。

○とかしき副大臣 お答えさせていただきます。
 二月の十九日の予算委員会で総理の答弁がございまして、そこでも同じように田村委員の方から質問がございまして、そこで総理は、株価が下がったからといって年金が下がるといったことは全くないと、はっきりとおっしゃっております。
 ということで、年金の積立金は長期的な観点で行うものでありますので、今確かに株価が下がっておりますけれども、短期的ではなくて、目先の運用実績がすぐに年金にはね返ってくるということはございません。
 ということで、運用も長期的視点から今実績もきちっと出しておりまして、平均収益率は年率でプラス二・七九ということで、収益額も累計で四十五・五兆円ということで、年金財政上必要な運用利回りを十分確保させていただいているということで、御心配には当たらないと思います。

○奥野(総)分科員 これは時価評価でやっているから、確かに、下がればどっと損失がふえるし、上がればもうかっているように見えるんですが、確かに、売却をして確定しないと損失が見えてこないんですね。
 そうなんですが、しかし、論理的には高値づかみしている可能性もあるわけです。ちょうど去年の秋ぐらい、上がり局面でポートフォリオを拡大して買いに行っているわけですよね。多分、二五%いっているんですか、これもまだ買い増している。一番高いところで買ってしまった可能性もあるわけですよ。これが、今、例えば一万四千円とか、そのあたりで塩漬けになると、そこは損失としてずっと抱えたままということになりますよね。そうすると、外債もそうなんだけれども、運用に失敗すれば年金の支給額には影響が出る、これは論理的にはあり得るわけですね。

○とかしき副大臣 一〇〇%ないとは申し上げられないかもしれませんけれども、多分、総理の方の答弁はそういう形で、万が一ということで答弁になったと思いますけれども、ただ、この二月のこの間の予算委員会で、先ほどから申し上げましたように、株価が下がったからといって年金額がすぐ下がるということは全くないということを総理もきちっと答弁なさっておりますので、その辺は安心していただければと思います。

○奥野(総)分科員 まあ、論理的にはあり得るわけですよ。
 大臣に伺っているんですが、何度も何度も仕事上大変だと思いますけれども、大臣に伺いたい。
 論理的にはあり得る。だとすれば、もう少し運用に対しては慎重であるべきじゃないか。積極的に、公的年金ですから、公的年金はアメリカだって株式の運用はしていないはずですね、たしか。公的資金でリスクをそれだけとっていいのか、資金の性格上リスクをとりに行っていいのかという問題があるわけです。
 今言ったように、論理的に、損失を出して、それが年金支給額に影響する可能性は全くないとは言えないわけですよね。だとすれば、そういう資金の性格を踏まえて、もう少し、昔、僕らが言っていたのは安心、安全、確実、そこまで言う必要はない、年金だから、もう少し郵貯なんかよりはリスクをとっていいと思いますが、しかし、これはやり過ぎじゃないですか。もう少しリスクを抑えた運用にすべきだと思いますが、大臣、どうですか。

○塩崎国務大臣 アメリカの例をよく出される方がおられて、株で運用していないじゃないかということをおっしゃいますが、あそこは完全賦課方式という方式で、そこの、言ってみればこれはペイロールタックスという形で税収で入ってくるわけですね、保険料じゃなくて。それを一般会計に預けている形が、受け取る借金証書が特別な国債ということなので、これは国債で運用しているという発想では全くないということをまず御理解をいただいた方がよろしいのではないかというふうに思うんです。
 我が国の場合は、完全賦課方式ではなくて、よく言われる修正賦課方式と言われるもので、どこが修正されているかというと、積立金が今であれば百三十とか百四十兆とかあって、この年金の、言ってみれば賦課方式部分と、それに加えて、運用の収益から乗っけて約束された年金をお支払いするという格好になっているわけであります。
 したがって、長期的に見て、これは五年に一遍財政検証を行うことになっていて、さまざまな経済要件や人口、あるいは高齢化のペースとか、そういうことを全部加味した上で財政検証をするわけでありまして、今は、御案内のように、名目賃金上昇率プラス一・七という形でGPIFには運用してくださいということをお願いして、そのような形で運用するならば、経済情勢がデフレの時期から脱して、新しく賃金、物価が上昇し得る経済環境のもとで新たなポートフォリオを組むとすればこういうものではないのかというのでGPIFから出てきたのが現在の基本ポートフォリオで、これは厚労大臣がもちろん認可をしているわけでございます。
 したがって、私どもとして最も大事なのは、やはり長期的に見て年金財政上必要な利回りを確保できるのかどうかということが最も大事で、これが約束どおりの年金を支払うことができるかどうかにかかってきますので、それを、経済情勢を分析した上でさまざまなケースを考えて、このくらいが一番妥当ではないかということで決めさせていただいています。
 何しろ大事なことは、今副大臣からも答弁申し上げたように、長期的に見てどうなのかということなので、もちろんリーマン・ショックのようなことがあったら、今の組み合わせは、短期的にはぶれは大きくなったけれども、長期的に見て年金財政上必要な利回りを確保できないというリスクは小さくなったというのが今回のポートフォリオの組み合わせでございまして、我々にとって大事なのは、もちろん大きなぶれがあるということも御心配をされるという意味においては大変大事なことでありますので、私たちはしっかりと説明責任を果たして、御心配は要らないということを申し上げなきゃいけません。
 少なくとも、長期的に見て、今のポートフォリオでいけば、いわゆるこの十年間の、リーマン・ショックを含むパフォーマンスについてよく総理から御答弁申し上げていますけれども、新しいポートフォリオだとこの十年間で四・三%の利回りで回っていたはずであるということでありますけれども、変更前であれば三・二ということで、よく国債で運用を全部したらいいじゃないかということをおっしゃる方がおられますけれども、それだと、この十年間で一・八六%しか回らない。
 そうなると、名目賃金上昇率プラス一・七、名目賃金上昇率が例えば三とか二とかいうことであれば、当然、二だとしても三・七%で回らなきゃいけないので、そうすると、長期的に見ると、皆様方、国民に対してお約束をした支給額を年金としてお支払いすることができなくなってしまうということになるので、そうならないようにするためのポートフォリオを考えたというのが今の組み合わせでございます。

○奥野(総)分科員 言い出すと根本的な話になって、修正賦課方式だから、ある程度利回りを稼がなきゃいけないんだという話になるわけですよね。そこはもうそうなってしまっているからということなんでしょうか。
 その上で、今のアベノミクスの先行きの見通しを前提にポートフォリオを組まれたということをおっしゃっておられたと思うんですが、その前提が正しいかどうかというのがもちろんありますよね。名目賃金がそのとおり上がっていくのか、あるいは本当に物価が上がっていくのか、その前提が違っていた場合もあり得るわけですよ。
 だから、非常に僕は、このタイミングで本当にやるのか、もう少し落ちついて、もう少しアベノミクスの成果を見たところでポートフォリオの見直しをやるというならわかるんですが、案の定、見直した途端に、一時的に株価は上がりましたけれども、下がっていくわけですよね、今は。わからないですよ、これはまた戻るかもしれないし、戻らないかもしれないし。ただ、言われているのは、やはり日本の労働力人口は減っていく。消費が減っていくのはそのあたりにあるんじゃないかと言われている。これは、そういう説もあるというにとどまる。でも、それはだんだん認識されてきているわけですよね。
 そうした中で、今のこの見込みが本当に正しいのか。副大臣、さっき図らずもお認めになったけれども、減額の可能性が〇・〇%じゃないんだ、それはそのとおりだと思うんですね。だから、そういうことも踏まえていただいて、慎重に運用していただきたい。
 これをやっていると障害年金のことが聞けなくなるから、一言。

○塩崎国務大臣 総理が、一般論として給付水準に影響があるかもわかりませんよということは、法律上書いてあることを申し上げているだけで、それは何が書いてあるかというと、財政検証というのを、さっき申し上げたように五年に一遍やるわけですね、基本的には。次の財政検証までに所得代替率が五〇%を下回ることが見込まれるような場合に初めて、まずマクロ経済スライドそのものの調整を終えようとか、あるいは保険料の引き上げも含めた負担と給付、このあり方を検討するということが法律に書いてございます。
 しかし、五〇%を代替率が割るというのは、今、御存じだと思いますけれども、代替率は六二%で、これから三十年かけてマクロ経済スライドをかけていこうということになっていますので、これが五〇を割るというときになったら、さっき申し上げたように、負担と給付のあり方を検討するということにもなるので、さっき申し上げたのは、給付が削られる可能性があるのかという御質問だった。これは玉木さんがされて、今も先生が御質問されていますけれども、これは、給付だけじゃなくて、負担と給付のあり方を考えろというふうに書いてあります。
 ちなみに、今、この代替率は六二%ありますので、これを三十年ぐらいでスライドをかけていこう、調整をしていこうと言っておりますので、究極の、法律的にどうなるかということで、可能性はもちろん法律上否定されていないけれども、そのときはやはり給付と負担と両方を考えなければいけなくなるんだということでございますので、まず、そういうことは想定すること自体も余り意味があることではないんじゃないかなと私は思っております。
 長々説明しようと思ったらずっとまだほかにもありますけれども、基本的な考え方はそういうことで、一年ぐらいのタームで変動が大きくなるということはそのとおりでありますけれども、これだけをリスクと呼ぶんじゃなくて、国民にとって一番大きなリスクは、予定された年金額をもらえないというのが最大のリスクでありますので、長期的な運用の考え方をしっかりと御理解を賜るように、我々ももちろん努力をしてまいりたいというふうに思います。

○奥野(総)分科員 仕組み自体は理解をしているつもりですが、余計な懸念を与えるとか、余計なファクターとしてリスクをとり過ぎないようにということを申し上げているということです。これ以上やっていると肝要なことができなくなるので。
 きょう聞きたかったのは、去年も伺ったんですが、障害年金の等級判定ガイドライン、去年はちょうど支給の地域格差が明らかになって、それについてどうするんですかという質問をしたと思うんですが、それについて見直していくんだ、判定方法も含めて見直していくということで、ずっと検討会をされてこられておるのですが、これは今年度末にはガイドラインができるというふうに伺っています。
 それで、ちょっとこれも気になったんですが、七十九万人、障害年金受給者がいて、そのうち一割、七万九千人が、このガイドラインに沿って、新しい判定基準によった場合に支給停止や支給減額になるおそれがある。これは、全国の精神科医の団体、精神科七者懇談会という方々がこういう主張をしておられるということなんですが、これを踏まえて、ガイドラインというのは今どうなっているんでしょうか。

○福本政府参考人 お答え申し上げます。
 今先生御指摘いただきましたけれども、昨年の二月以降、専門家検討会を設けまして、障害認定の地域差についてどうするかという検討を進めてまいりました。今月ですけれども、二月の四日、専門家検討会においてガイドラインの案というのを取りまとめたところでございます。
 そのガイドラインの案をまず申し上げますと、このガイドラインの案では、一つには、等級の目安というものをつくりまして、これは、障害による日常生活能力の程度あるいは日常生活能力の判定、これはそれぞれ生活に与える影響を数字的に評価したものでございますが、その組み合わせでまず等級の目安を確認するということをし、これが一つ目ですが、二つ目に、それ以外に考慮すべき要素、これは生活環境とか就労についてどういう影響を与えているかということを具体的なところを聞き取って、それは診断書とか御本人あるいは家族が記載される書類から確認をすることによって、それを組み合わせて総合的に判定をするという仕組みをつくったものでございます。
 ただいま先生が御指摘されました関係団体の指摘なんですけれども、この案に対して、精神科七者懇談会、これは病院とか診療所の精神科の医師から成る団体でございますけれども、このガイドラインを当てはめると障害年金を受給できなくなる方が七・九万人生ずる、こういう話でございました。
 実際、この計算なんですけれども、これは、一定のサンプルを用いまして、先ほど申し上げました等級の目安、これは数字の組み合わせですので、そこだけで、そこだけ当てはめて認定に至るかどうかを判断し、その結果から全体母数を機械的に推計して、七・九万人が認定が得られなくなるおそれがある、こういうふうなことで推計をされたということだと思います。
 これについては、我々、今、案としてつくりましたガイドラインの案は、等級の目安という数字の組み合わせだけではなくて、生活環境の考慮すべき要素等を考慮して、総合的に判定するということも加えておりますし、加えて、先ほども申し上げましたけれども、主治医の方々に対して診断書の標準的な記載の仕方を記載要領という形でお示しをすること、それから、請求者御本人から詳細な日常生活状況を把握するための照会書の様式というものもこの検討会であわせて検討いたしまして示すということにしておりまして、そういうことを踏まえまして全体で正確な認定をするということですので、必ずしも、この関係団体が推計したような数字、機械的な当てはめにはならないというふうに認識しております。

○奥野(総)分科員 年金の運用の話で少し時間を使い過ぎてしまったんですけれども、聞きたかったのは、ガイドラインに新しく加わった部分というのがあって、この団体の意見を受けて、「受給者の障害の状態が従前と変わらない場合については、当分の間、等級非該当への変更は行わない」と。
 要するに、基礎年金でいえば二級から三級への変更は行わないと言っているんだと思うんですが、これだけ読むと、では一級から二級への減額はあり得るんですか、あり得ると読めます。
 それから、では、二級から三級への変更は行わないというのは、これはどういうロジックで、当然、新しい基準によれば変更は起こり得るんだけれども、新しい基準で判断してもなお、二級の人については三級あるいは等級外への変更は行わない、これはどういうロジックなんでしょうか。

○福本政府参考人 お答え申し上げます。
 今回つくりましたガイドラインですけれども、その経緯を先ほども申し上げましたが、きっかけとしては、これは、今まで認定をしてきておる、その認定の結果に地域差がある、それを是正するべきではないかという問題提起から始まっております。
 その結果として、今、新たにつくりましたガイドラインに沿って運用を行った場合には、今までの地域差を解消するということからすると、再認定をした際に、新たなガイドラインに当てはめますと認定の非該当の方が出てくるということは想定し得ることではあります。機械的ではなくて、いろいろな総合的判断をいたしますけれども、その結果、変わることはあり得る。地域差が是正されていくということであれば、そういうことがあり得ると思います。
 ただし、既に認定を受けておられる方ですけれども、それは、今までの認定のプロセスにおいては、今までは、適正な手続に基づいて、認定医が医学的判断を行い、障害の程度が認定されてきた、今までのやり方で正しいやり方でやってきたということには違いありませんし、さらに加えて、年金収入を前提として今生活をされておる方々でございます。障害非該当ということになりまして年金が受給できなくなると、生活上の困難が生ずることで、特にこれは精神障害の方ですから、その程度を、障害の症状を悪化させるおそれがあるというような御意見も関係の方々からいただきました。
 それで、新たに認定される方々とはやはり違う事情がある、従来認定された方についてはそういう事情があるということから、障害の状態が従前と変わらなければ、当分の間は、等級非該当にして年金額をゼロにするという扱いについてはしないという経過措置を講ずるということにしたものでございます。

○奥野(総)分科員 それをやめてくれと言っているわけじゃなくて、それはそれでいいと思うんですが、ただ、地域差があったわけですから、そもそも、ある地域ではもらえていた人が、同じ基準で、ある地域ではもらえなかった可能性があるわけですよね、別の地域に引っ越して。もらえなかった人は今ももらえないままで、相変わらずもらえません。ということは、すごく不公平だと思うんですね。どこかの地域に住んでいたから、経過措置があって今ももらい続けられます、一方の人は相変わらずもらえません、こういうのは僕は不公正だと思うんです。
 であれば、あのとき、日常生活の能力の程度、二段階、三段階、どっちにそろえるかと。今回、そういうのではなくて、もっと総合的にという話なんだけれども、何をみんな懸念しているかというと、厳しくなるんじゃないか。これは、もう時間がなくてできなかったんですが、再認定も厳しくなっているという一部データもありますし、それから、今回の新しいガイドラインで、厳しい方にそろえられるんじゃないか、絞られるんじゃないか、こういう懸念があるから、こういう七十九万人、七万九千人、それは正確じゃないという話かもしれないけれども、受給者の皆さんにとっては非常に不安なんですよね。
 だから、やるべき方向としては、そんなに大した額じゃないと思うんですよ、こんなことを言っちゃいけないけれども。一兆円の軽減税率に比べれば、障害者の方に少し寛容に障害年金を給付するというのは、僕はあっていいと思うんですよね。そのあたりはどうなんですか。それが一つ。
 それから最後、時間がなくなったんですが、認定医の数が少ないんじゃないかという話がありますが、それについてどう対処しようとしているのか、伺いたいと思います。

○福本政府参考人 お答えいたします。
 先生御指摘いただきましたこと、関係団体の方々からそういう懸念が示されておることは十分認識をしておりますし、それを踏まえて、先ほど申し上げたような経過措置を設けたということでございます。
 これを実際どういうふうに施行するかということですけれども、一定の準備期間を経て施行いたしたいと思っていますけれども、実際、有期認定を受けておられる方が多いということですから、次の期限が来ます。そのときにこのガイドラインを当てはめた認定をするということであります。
 そのときに、下がる形になる方については、あるいは認定を受けられないことになる方については、先ほどの経過措置を適用するということでありますし、新たなこれに基づけば従来とは違って上のクラスに行けるという方々は、これに当てはめて適用していくことによって地域差をならしていくということを考えておるわけでございます。
 それから、実際これを進めていくときに、スタッフとしては、日本年金機構の方で、事務的スタッフに加えて認定医という者が携わります。その認定医が十全にこういう事務を行える体制になっているかということは確かにあると思います。できれば数多く確保したいということではありますし、これを機会に関係のところにも我々持ちかけて、できるだけ多くの方々を確保したいと思っております。体制を整えたいと思っております。

○奥野(総)分科員 済みません、たくさん通告したのに全部聞けなくて申しわけなかったんですが、ぜひ温かい行政をやっていただきたいとお願いして、終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。