190-衆-内閣委員会-7号 平成28年03月18日
○高井委員 おはようございます。岡山から参りました高井崇志でございます。
きょうは、同じ岡山の先輩であります加藤大臣に初めて質問できるチャンスということで、楽しみにして参りました。
ただ、去年の十月に加藤大臣就任以来、私は去年から内閣委員会に所属していたんですが、なかなか臨時国会が開かれなかったということで、加藤大臣もどの委員会に所属するかも決まらずに、閉会中審査が一回あったんですけれども、そのときも加藤大臣は呼べないということで、ちょっとそこは大変残念でありますけれども、ようやくきょう、そのチャンスをいただきました。
きょうは子ども・子育て支援法でありますが、やはり何といっても加藤大臣が所掌する一億総括社会の話をぜひお聞きしたいと思います。
ただ、いろいろ質問通告すると、加藤大臣というのはいろいろ所掌が、特に厚生労働省と重なっていたり、あるいは石原大臣の分野と重なっていたり、なかなか大臣に直接答えていただく通告が難しくて、最初にお断りしておきますと、少し通告していないこともあると思いますが、大きな方向性の考え方を聞きたいということもありますので、そこはちょっと御了承いただいて、ぜひ大きな方向性から加藤大臣の考え方をお聞きしたいというふうに思っております。
私は、新三本の矢の特に第二、第三の矢、希望出生率一・八それから介護離職ゼロというのは、このことを掲げていただいたということは率直に評価をしております。この間、NHKの「日曜討論」にも出させていただいたときも、そのことは申し上げました。
ただ、やはり問題は、方向性はいいにしても、どうやってそれを実現していくのかという具体的なところはまだまだ甚だ不十分だと考えておりまして、きょうのテーマであります子ども・子育てということでいえば、第二の矢の希望出生率一・八をどうやって実現していくかということであります。
これはもう何度も言われて、大臣も耳にたこができるぐらい言われていると思いますが、ハード整備ではだめなんだ、保育所をただ幾らつくっても、保育士の数が足りない、間に合っていないと。潜在保育士と言われる方はたくさんいるけれども、実際に保育士のなり手がいない。
その原因は何かといえば、最大の原因はやはりお給料が安過ぎる。ほかの産業と比べると、これもよく言われていますが、約十万円の差がある。これは厚生労働省の二〇一五年の月給の比較ですけれども、全産業を平均すると三十三万三千三百円であるものが、保育士は二十一万九千二百円と、十万円以上の開きがあるわけであります。
まず最初にお聞きしたいんですが、この保育士の給与を今の全産業平均並みに、十万円強だと思いますが、アップしようと思ったら一体幾らの財源が必要と試算されるのか、お答えください。
○武川政府参考人 お答えいたします。
保育士の給与を全産業平均にするための金額については、政府において試算、公表したことはございません。
ただ、子ども・子育て新制度の施行に当たりまして、量的拡充と質の向上について検討した際、私立幼稚園、保育園等、認定こども園の職員給与の改善として、三%の改善を行った場合は五百七十一億円、五%の改善を行った場合は九百五十二億円と試算したことがございます。
議員から事前説明の際にお示しいただきました算定式で仮に計算いたしますと、保育士の人数を現在四十七万五千人というふうに置きまして、一人当たり十万円、十二カ月の費用がかかるという計算をいたしますと、所要額はおおむね五千七百億円程度となると考えております。
○高井委員 五千七百億円という、やはり相当な金額であります。
今、政府においては、報道によれば、五月の一億総活躍プランに、約四百億円ぐらいの財源が必要になるけれども、二%の引き上げを検討されているとちょっと聞いています。これだと大体四、五千円ですね。今、十万円足りないと言っている中で四、五千円の金額では、これは焼け石に水だというふうに私は思います。しかし、その焼け石に水でも四百億円かかって、財源のめども立っていないということであります。
大臣、済みません、これは通告をしていませんけれども、この問題、非常に財源が必要な、今の話だと、十万円だと五千七百億円、そして数千円上げるだけでも四百億円ということですが、こういった財源を捻出する見通し、めどというのはあるんでしょうか。
○加藤国務大臣 まずその前に、委員から、これから春に取りまとめを予定しておりますニッポン一億総活躍プランで、別に二%ということを議論していることは何らございません。
ただ、一方で、民主党と自民、公明の三党合意の中で処遇改善五%。三%は既にやっておりますので、この二%というのは、例の〇・三兆円の財源を見つけてやるということで、これはいずれにしても宿題だということは私ども認識をしておりますが、その辺を踏まえてこれからしっかり議論していきたいと思っております。
また、財源についても、具体的にどういう形で処遇改善を行っていくのか、それによって財源が変わってくるわけであります。そこで私どもは具体的な方向性を出したいと思っていますから、したがって、財源の担保がなく具体的な方向性にはならないんだろうと思っていますので、その辺も踏まえながらこれからしっかり議論させていただきたいと思います。
○高井委員 諸外国、よく比較されるというか例に出されるのはスウェーデン。ここは、保育所への申し込みがあると、自治体に保育所を確保する義務が課されるということで、だから、待機児童というのは、そもそもそういう概念すらないという国であります。
そう言うと、いやいや、あそこは消費税が二五%だからできるんだ、そういう答えがよく返ってくるわけですが、それももちろんあるでしょうが、一方で、見落とされがちなのは、実は高齢者の年金の水準の引き下げであるとか、あるいは医療費を抑制するための受診の制限とか、そういった、まさに高齢者世代の方に少し我慢をしていただいて、そして次世代を担う子供たちにもっともっと予算を振り向けていこう、こういう大きな考えのもとにスウェーデンという国は成り立っているわけであります。
私は、そろそろ我が国もこういった世代間の予算の配分の見直しという、これは非常に大きな方向性で、なかなか質問通告しても誰が答えられる分野でもないと思いますが、一億総活躍社会を実現しようというまさに総理から直命を受けて担当されている加藤大臣に、大きな方向感として、こういった考え方についてどう思われるか、所見を伺いたいと思います。
○加藤国務大臣 これまでも、スウェーデンを初めとしたヨーロッパ諸国等と比べて、社会保障に占める高齢者への割合と、子供を中心に家庭に対する割合は日本は低いんじゃないか、こういう指摘を受けているわけであります。また、他方で、日本の場合には高齢化がかなり進んでいるという実態もあろうかと思います。
これからの議論においては、これは総理も申し上げていますように、社会保障の関係費も聖域ではなく、常にこれは見直しをしていかなければならないというふうに思っておりますけれども、それとは別に、先ほどの〇・三兆の財源はしっかり確保しながら、それも実施をしていく。それから、さらに新たな議論も出てくるわけでございますので、それに対する財源も、いろいろと我々としてもやりくりをしながら、しっかりと確保するよう努力をしていきたいと思っております。
○高井委員 通告外の質問を二問続けましたけれども、加藤大臣に答えていただきました。
きょうは、私、追及型の質問というよりも提案型の質問でぜひいきたいと思っておりまして、次は通告させていただいています。これも本来は加藤大臣の所掌外でありますけれども、ぜひ加藤大臣に聞いていただきたいし、お願いしたいということで、質問します。
実は、保育士のなり手がいないというのは、給料だけではない。もちろんお給料がたくさんあればあるにこしたことはないけれども、実はもう一つ、非常に勤務が大変だ、残業も多い、お給料の割に労働時間も長い、ここが非常に問題になっています。この部分は、私は、要するに、お給料を上げるのは財源を見つけるという大変な作業がありますけれども、残業を減らすというのは工夫の仕方で幾らでもできるんじゃないか。
私が一番注目しているのはITなんですね。私はITをずっと専門でやってきたんですけれども、このITを使って保育士の業務負担を減らそうと。実は厚生労働省もそういうことを考えていただいて、補助金が補正予算でできたんですけれども、問題は、その中身をもっとよくしたい、ブラッシュアップしたい。
どういうことかというと、ITの予算というのがついて、保育所にパソコンを導入したり、あるいはサーバーを導入したりする補助金がついたんですけれども、しかし、パソコンとかサーバーが入っても、保育士さんは、それだけではやはり勤務時間は減らない。
私が注目しているのはスマートフォンです。今、保育士さんは多分、ほぼ全員スマートフォンを持っておられるし、また保護者、親御さんも、お子さんがいる世代だとほとんどもう持っていると思うんですね。
ところが、いまだに保護者と保育士のやりとりは紙の連絡帳なんですね。それから、保育園の中での業務の報告なんかも紙だし、あと、例えば子供がちょっと病気になった、きょうはおくれますとか休みます、こういう連絡も全部今は電話でやっているのが実態だそうです。
そうすると、電話を受ける側に一人、朝の時間、張りついていなきゃいけない。それから、かけるお母さん、お父さんも、地下鉄の中では電話ができませんから、わざわざ駅でおりて電話をかけると、ほかに連絡もあってつながらない。こんなのは、スマホで、携帯でメール一本でやれば、地下鉄の中でもできるし、それから保育士さんも、別に張りついていなくてもいいわけです。
スマートフォンなり携帯なり、こういったものを活用することをもっともっと普及すれば、これは私が実際保育園を百以上回ったという方からアドバイスを受けて聞いている話なんですけれども、保育士さんもぜひそういうのをやってほしい。
しかし、これは政府だけじゃなくてやはり保育園側にも問題があって、保育園の園長がそういう理解がないとなかなか進まない。しかし、それをただ黙っていても一向に進みませんから、やはりこれは政府として音頭をとるべきだ。
実は、これは予算委員会の分科会で厚生労働大臣にはお聞きをしたんですけれども、なかなかいい返事がいただけていなくて、ぜひ加藤大臣、今の話を聞いてどう思われるか。そして、これを厚生労働省に提案というかアドバイスというかしていただいて、とにかく保育士さんの業務負担を減らす努力を加藤大臣のリーダーシップでとっていただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 委員御指摘のように、保育の現場の困難さの中に、冒頭申し上げた賃金を含めた処遇改善の問題、あるいは休みがとりにくい等の問題と加えて、やはり業務負担が大変重たいというお話を私も聞かせていただいております。
もう委員御承知のように、これまでも、保育士が事務処理や会議出席、休憩の時間を確保できるように加配される休憩保育士の人件費を評価していくとか、あるいは研修を受講するときに保育士のかわりに保育に従事されるための研修代替保育士を加配するとか、そして先ほど御指摘がありました二十七年度補正予算でも、保育士業務の負担軽減のためのICT化あるいは保育補助者の雇い上げの補助、こういうことをさせていただいております。
さらに、スマートフォンの活用等のお話もありました。私も、保育園でのそういう活用例は余り承知しておりませんけれども、介護施設ではそうしたスマートフォンをうまく使って情報を共有化し、かなり効率的に、そしてそのことが働く方の業務負担を軽減しているという事例も承知をさせていただいております。
まさに、そうしたICTの活用等を通じて業務の軽減を図り、そして労働の負担が軽減されるとともに、保育士の方々がやる子供さんとの相対する時間をしっかり確保していくということは非常に大事だと思っております。
ただ、どういう事例がうまくいっているかというところもあろうかと思いますので、よくその辺は私どもも実態を把握させていただきたいと思いますし、また、委員から、こういう保育園でこういうやり方があるぞということがあれば、ぜひ御提案をいただければと思います。
○高井委員 日本保育協会というところの平成二十六年度保育士における業務の負担軽減に関する調査研究報告というのを私は読ませていただいて、それを見ると、保育士さんの事務的な仕事の時間というのは平均七十二・九分かかっているそうです。それから、半分以上の方が家に持ち帰ってやっている。これが本当に現実だと思うんですね。
とかしき副大臣もきょうお見えですので、せっかく予算をつくっても、本当に現場の声を聞くと、やはりちょっと使い勝手がという声が上がっていますので、厚労省の方に聞くと、いやいや、そんなことはないとおっしゃるんですけれども、やはり現場の声を直接聞いていただいて、せっかくの予算ですから、ぜひ使い勝手のいいものにしていただきたいと思います。
それでは、きょうはちょっと資料を配らせていただきました。長々と九ページにもわたる対談録で恐縮なんですが、十一月六日の、サイボウズという会社の青野さんというまだ四十三歳ぐらいの若い社長ですが、この青野さんと小室さんとの対談録なんです。私は実際に聞いていて非常に感銘を受けたので、きょうは全文を紹介させていただきました。
その二ページ目をちょっと見ていただきますと、この青野社長というのは、ベンチャー企業で、仕事が大好きだった。長時間労働は当たり前だった。ところが、子供が生まれる前のスケジュールを見ると、月曜の午後六時半から定例会議が入っていて、八時から経営会議、そして翌朝の朝八時からも事業戦略会議、よくこんなので頭が働くな、今ではそう思うけれども、当時は当たり前のようにやっていたと。ところが、子供ができて、それからは半年間、四時に退社する。ベンチャー企業の社長が四時に退社して大丈夫かと思うわけでありますが、しかし、大丈夫だと。それは、時間が半減した、でも、半減すると、限られた時間の中で何ができるか、自分の仕事は何だろうかというのを物すごく考えたと。
それは、ちょっと変な例えですけれども、インベーダーゲームという昔はやったゲームで、一番後ろにあるUFOを撃ち落とせば高得点がとれるわけです。その手前の、ここに書いてあります雑魚キャラを撃ち落とすのではなくて、UFOを撃ち落とす、これが大事なんだと。自分にとってそのUFOは何だろうかと考えたら、意思決定と価値観の浸透だ、企業の価値観を社員に浸透させる、この二点だけ社長はやればいいんだというふうに思ったらできるようになったと。
さらに、もう一つ言っているのが、もっと驚いたのが、育児、家事に参加することで、これまで会社のことしか知らなかったのが、医療とか教育とか自治体の動きとか、そういったことまで知れるようになって、そのことが会社にとってもプラスになったと。
これは社長の話でありますけれども、会社全体に通じることもできると思うんですね。長時間労働は諸悪の根源だと。
その次の三ページ目を見ると、小室さんという方も、ベンチャーを立ち上げた方ですけれども、残業ゼロで、有休消化一〇〇%をやって、九年間増収増益だと。ですから、長時間労働じゃなくてもできるわけです。
ところが、我が国というのは、非常にまだまだ長時間労働が続いていて、私は、このことが育児、子育て、希望出生率をふやすということにおいても非常に重要だと思いますが、労働時間短縮や育休をとれる環境をつくる、あるいはワークシェアとかワーク・ライフ・バランス、こういったものはどのように取り組みを考えておられるのか、お聞かせください。
○とかしき副大臣 お答えさせていただきます。
質問の御答弁の前に、先ほど御提案いただいたことをしっかりと厚労省でも検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
さて、長時間労働のお話でございますけれども、御指摘のとおり、仕事と育児の両立を図っていく上では、長時間労働の是正、働き方の改革はとても重要であると考えております。
私も、実はILOの本部に行って日本の女性の社会進出についての話し合いをしていたときに、日本の場合はどこが一番問題だと思われますかと質問したら、一番最初に出てきたのが長時間労働と言われました。
ということで、私たちの国も、労働の時間で評価する、今そういうのがスタンダードになっておりますけれども、これを生産性で評価するというふうに今後少しずつ変えていく必要があるのではないか、このように考えております。
厚生労働大臣の方も、この問題に積極的に取り組もうということで、実は大臣を本部長といたしまして、長時間労働削減推進本部の決定に基づきまして、昨年の一月から、月百時間超えの残業を把握した全ての事業場に監督指導の徹底、さらに昨年の四月から、複数の労働局にまたがる過重労働に係る事案等に関する特別チーム、これは「かとく」というんですけれども、これを東京と大阪の労働局に新設させていただきました。
実は、この「かとく」は、この間「ガイアの夜明け」でも取り上げていただきまして、今、あちこちの企業で実績を上げているところでございます。
また、現在提出しております労働基準法改正法案では、働く人の働き過ぎを防止するために、企業に対して、働く人の意見をしっかり聞いて、年に五日の休暇を指定することを義務づけるとか、中小企業における月六十時間超えの時間外労働に対する割り増し賃金率の引き上げ、現行は二五%ですが、これを五〇%にまで引き上げていただくということを行おうというふうに考えております。
さらに、今国会で御審議いただいております雇用保険法等改正法案におきましては、育児休暇の取得促進を積極的に手がけていこうということで、有期契約労働者の育児休業取得要件の緩和等の改正を行う、有期契約の労働者の方々が育児に対しての時間を確保することがなかなか難しいということで、ここら辺にも配慮していこうというふうに考えております。
ということで、働き方改革や育児・介護休業法の改正等を進めていくことによって職場の環境整備にしっかり取り組んでいきたい、このように考えております。
○高井委員 先ほどの対談録に戻るんですけれども、七ページをちょっとごらんください。
今度は小室さんの発言なんですけれども、三年間だっこし放題という安倍政権の政策、だっこし放題はつらいんです、わかりますかと。それから、女性、女性と言い過ぎて、これも女性が優遇されることで、何かげたを履かされてその地位に来たかのように思われる、これは頑張ってきた女性ほど嫌なことですと。小室さんが言うから説得力がありますよね。
その下の線を引いた、ここが非常に重要なところです。子供が生まれた方、一人目を持った家庭、一人お子さんが生まれた家庭で、二人目、三人目にいかなかった要因って何だろうかというのを調査したときに、五年間追跡調査をしたら、その後、二人目を持ったか否かに一番影響を与えていたのが、一人目が生まれたときの夫の帰宅時間だったんですと。これで、うわあと青野さんが、会場じゅうがおお、なるほどと。私も本当にそのとおりだなと感じました。
実は、女性の労働時間の短縮や育休の取得ということがクローズアップされがちですが、やはり男性側の労働時間短縮や育児休暇取得が非常に重要だと考えます。しかしながら、日本は、男性の有償労働時間というのがOECD二十九カ国の中で最も長いということであります。
これはぜひ改善をしていきたいと考えますが、政府としてはどのような取り組みを考えておられますか。
○とかしき副大臣 お答えさせていただきます。
男性の長時間労働は、育児や家事の分担を困難にすることから、少子化の要因として大きく挙げられております。
夫の平日の家事、育児時間別に見た第二子以降の出生の割合を見ますと、やはり家事、育児時間を全くしない夫ですと、なかなか第二子以降のお子さんを産みにくいというのがデータでかなり出ておりまして、家事、育児を全くしない方ですと第二子以降の出産をなさったのが三九・五%、もし夫が四時間以上協力していただくとこれが七七・八%というふうに数字がはね上がってまいります。ということで、男性がいかに育児や家事に協力をしてくださるかということが少子化対策の大きな一つとなります。
ということで、先ほどからの繰り返しになりますけれども、長時間残業を徹底的に監督指導して、そしてこれを強化していくこと。あと、働き過ぎの防止は、先ほどお話ししましたように、労働基準法改正法案を国会の中で今審議していただいているのが現状でございます。
このほかには、イクメンプロジェクトというのを実施させていただきまして、男性の仕事と育児の両立を推進していこう、もしくはそれを積極的に応援するイクメン企業アワード、そしてさらに、上司を表彰していこうということでイクボスアワード、こういったものも実施させていただきまして、職場の環境整備を図らせていただいております。
実は、厚生労働省でもこれを積極的にやっていこうということで、私もこの間参加したんですが、子供が生まれたお父さん方、お子さんがお生まれになった職員の方とその上司の方に集まっていただきまして、お互いに決意表明をしていただいて、環境づくりに尽力をしてくださいというふうにお話をしますと育児休業の取得率がはね上がってまいりまして、始める前は、平成二十六年、一二・一%でしたが、この活動を始めてから二六・七%ということで、倍以上の取得率に変わりました。
ということで、本人の意識と周りの環境とをしっかりそろえてあげることが、男性の育児休暇、育児に関する時間を確保する上では大きな力となりますので、これからも積極的に取り組んでいきたい、このように考えております。
○高井委員 今お答えいただいたとおり、まさに職場の環境とか風土とか、周りの空気だと思うんですね。政府が幾らいろいろな政策とか補助金とかを出すよりも、やはり企業風土というか、これを変えるのはなかなか大変ですけれども、しかし、これは誰かがやらなきゃ、民間が勝手に盛り上がるということじゃありませんから、政府がぜひここは音頭をとって、これは厚労省だけじゃなくて加藤大臣にも、非常に一億総活躍社会のキーポイントだと私は思っていますから、本当はちょっと聞きたいんですけれども、もう時間がありませんのでお答えは結構ですが、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
それでは、もう一つの問題で、不妊治療支援。
これはまさに希望出生率一・八を目指す最もダイレクトな、子供を産みたいと思っているのに、いろいろそういった医療的な問題で授からない、しかし、治療を受ければ授かるという方は多いんですね。
実は私も不妊治療をしておりまして、いろいろ話をすると、私もやっていた、私もやっていたと、余り大っぴらに皆さん言いませんけれども、やっている方は潜在的にたくさんいます。しかし、物すごくお金がかかる。一回五十万近くかかります。
これは今、保険の適用がないんですね。助成金はあるんですけれども、今回、一億総活躍社会、加藤大臣が就任していただいて、これも非常にふやしたと。百五十億ぐらいですか、かなり目玉として新聞なんかにも出ているんですけれども、しかし、注意していただきたいのは、実は二年前、平成二十六年度に減らしているんですね。今まで回数制限は十回までだったのが六回に減っているし、それから年齢制限というのが入って、四十三歳未満になってしまったということなんです。ここは、私は、一旦減らしておいて今回ふやしてそれが目玉だと言われても、ちょっと釈然としないものがあります。
この点は厚生労働省に三回か四回聞いていますので、きょうは厚生労働省にはもう聞きません。ぜひ、この不妊治療支援、平成二十六年度に減らした分はまずもとに戻して、さらにもっと力を入れる、それから、やはり根本的には保険の適用をやるべきだと私は思いますけれども、加藤大臣の考えをお聞かせください。
○加藤国務大臣 まず、先ほどの男性側の育児参加が促進できるように、まさにそれはしっかりやっていかなきゃいけないことだろうというふうに思っております。
そして、今、不妊治療のお話がありました。本当に、今不妊治療に当たっておられる御夫婦の方、また、不妊治療の費用も大変でありますけれども、実際不妊治療をするときに、仕事とやった場合には非常に大変だということを先般私もお聞かせいただきまして、その御苦労を共有させていただいたところであります。
今回の補正予算等の対応は先ほどお話があったところでありますけれども、その前に見直しの話がありました。これはちょっと私の直接の所掌ではございませんけれども、当時は、有識者の検討会において、年齢別の不妊治療による分娩割合や妊娠、出産に伴うリスク等の医学的知見に基づいて議論を行われて、先ほど委員が御指摘になったような話になっているというふうに承知をしております。
したがって、これはどこまでやるのが有用なのかどうか、かなり医学的な知見に基づいて話をしていくのがやはり大事なんだろうなというふうには思っております。
それから、保険適用については、一部は既に保険適用になっているのは御承知のとおりだと思いますけれども、その他の治療については、まさに有効性がどうなのか、安全性がどうなのか、いろいろな課題もあるようでありまして、慎重に検討すべき問題だというふうに考えております。その点も踏まえて、厚生労働省において、今後保険適用するかどうかを含めて検討されるんだろうと思います。
ただ、いずれにしても、不妊治療に当たっておられる方々の思い、そして、今申し上げた、働きながらそれを実施していることの大変さ、その辺をよく共有しながら我々も政策を進めさせていただきたいと思います。
○高井委員 時間が参りました。用意した質問の半分しかできなかったんですが、引き続き、これは本当に加藤大臣と厚労省の連携が非常に必要だと思いますので、また質問させていただきます。
どうもありがとうございました。
○高井委員 おはようございます。岡山から参りました高井崇志でございます。
きょうは、同じ岡山の先輩であります加藤大臣に初めて質問できるチャンスということで、楽しみにして参りました。
ただ、去年の十月に加藤大臣就任以来、私は去年から内閣委員会に所属していたんですが、なかなか臨時国会が開かれなかったということで、加藤大臣もどの委員会に所属するかも決まらずに、閉会中審査が一回あったんですけれども、そのときも加藤大臣は呼べないということで、ちょっとそこは大変残念でありますけれども、ようやくきょう、そのチャンスをいただきました。
きょうは子ども・子育て支援法でありますが、やはり何といっても加藤大臣が所掌する一億総括社会の話をぜひお聞きしたいと思います。
ただ、いろいろ質問通告すると、加藤大臣というのはいろいろ所掌が、特に厚生労働省と重なっていたり、あるいは石原大臣の分野と重なっていたり、なかなか大臣に直接答えていただく通告が難しくて、最初にお断りしておきますと、少し通告していないこともあると思いますが、大きな方向性の考え方を聞きたいということもありますので、そこはちょっと御了承いただいて、ぜひ大きな方向性から加藤大臣の考え方をお聞きしたいというふうに思っております。
私は、新三本の矢の特に第二、第三の矢、希望出生率一・八それから介護離職ゼロというのは、このことを掲げていただいたということは率直に評価をしております。この間、NHKの「日曜討論」にも出させていただいたときも、そのことは申し上げました。
ただ、やはり問題は、方向性はいいにしても、どうやってそれを実現していくのかという具体的なところはまだまだ甚だ不十分だと考えておりまして、きょうのテーマであります子ども・子育てということでいえば、第二の矢の希望出生率一・八をどうやって実現していくかということであります。
これはもう何度も言われて、大臣も耳にたこができるぐらい言われていると思いますが、ハード整備ではだめなんだ、保育所をただ幾らつくっても、保育士の数が足りない、間に合っていないと。潜在保育士と言われる方はたくさんいるけれども、実際に保育士のなり手がいない。
その原因は何かといえば、最大の原因はやはりお給料が安過ぎる。ほかの産業と比べると、これもよく言われていますが、約十万円の差がある。これは厚生労働省の二〇一五年の月給の比較ですけれども、全産業を平均すると三十三万三千三百円であるものが、保育士は二十一万九千二百円と、十万円以上の開きがあるわけであります。
まず最初にお聞きしたいんですが、この保育士の給与を今の全産業平均並みに、十万円強だと思いますが、アップしようと思ったら一体幾らの財源が必要と試算されるのか、お答えください。
○武川政府参考人 お答えいたします。
保育士の給与を全産業平均にするための金額については、政府において試算、公表したことはございません。
ただ、子ども・子育て新制度の施行に当たりまして、量的拡充と質の向上について検討した際、私立幼稚園、保育園等、認定こども園の職員給与の改善として、三%の改善を行った場合は五百七十一億円、五%の改善を行った場合は九百五十二億円と試算したことがございます。
議員から事前説明の際にお示しいただきました算定式で仮に計算いたしますと、保育士の人数を現在四十七万五千人というふうに置きまして、一人当たり十万円、十二カ月の費用がかかるという計算をいたしますと、所要額はおおむね五千七百億円程度となると考えております。
○高井委員 五千七百億円という、やはり相当な金額であります。
今、政府においては、報道によれば、五月の一億総活躍プランに、約四百億円ぐらいの財源が必要になるけれども、二%の引き上げを検討されているとちょっと聞いています。これだと大体四、五千円ですね。今、十万円足りないと言っている中で四、五千円の金額では、これは焼け石に水だというふうに私は思います。しかし、その焼け石に水でも四百億円かかって、財源のめども立っていないということであります。
大臣、済みません、これは通告をしていませんけれども、この問題、非常に財源が必要な、今の話だと、十万円だと五千七百億円、そして数千円上げるだけでも四百億円ということですが、こういった財源を捻出する見通し、めどというのはあるんでしょうか。
○加藤国務大臣 まずその前に、委員から、これから春に取りまとめを予定しておりますニッポン一億総活躍プランで、別に二%ということを議論していることは何らございません。
ただ、一方で、民主党と自民、公明の三党合意の中で処遇改善五%。三%は既にやっておりますので、この二%というのは、例の〇・三兆円の財源を見つけてやるということで、これはいずれにしても宿題だということは私ども認識をしておりますが、その辺を踏まえてこれからしっかり議論していきたいと思っております。
また、財源についても、具体的にどういう形で処遇改善を行っていくのか、それによって財源が変わってくるわけであります。そこで私どもは具体的な方向性を出したいと思っていますから、したがって、財源の担保がなく具体的な方向性にはならないんだろうと思っていますので、その辺も踏まえながらこれからしっかり議論させていただきたいと思います。
○高井委員 諸外国、よく比較されるというか例に出されるのはスウェーデン。ここは、保育所への申し込みがあると、自治体に保育所を確保する義務が課されるということで、だから、待機児童というのは、そもそもそういう概念すらないという国であります。
そう言うと、いやいや、あそこは消費税が二五%だからできるんだ、そういう答えがよく返ってくるわけですが、それももちろんあるでしょうが、一方で、見落とされがちなのは、実は高齢者の年金の水準の引き下げであるとか、あるいは医療費を抑制するための受診の制限とか、そういった、まさに高齢者世代の方に少し我慢をしていただいて、そして次世代を担う子供たちにもっともっと予算を振り向けていこう、こういう大きな考えのもとにスウェーデンという国は成り立っているわけであります。
私は、そろそろ我が国もこういった世代間の予算の配分の見直しという、これは非常に大きな方向性で、なかなか質問通告しても誰が答えられる分野でもないと思いますが、一億総活躍社会を実現しようというまさに総理から直命を受けて担当されている加藤大臣に、大きな方向感として、こういった考え方についてどう思われるか、所見を伺いたいと思います。
○加藤国務大臣 これまでも、スウェーデンを初めとしたヨーロッパ諸国等と比べて、社会保障に占める高齢者への割合と、子供を中心に家庭に対する割合は日本は低いんじゃないか、こういう指摘を受けているわけであります。また、他方で、日本の場合には高齢化がかなり進んでいるという実態もあろうかと思います。
これからの議論においては、これは総理も申し上げていますように、社会保障の関係費も聖域ではなく、常にこれは見直しをしていかなければならないというふうに思っておりますけれども、それとは別に、先ほどの〇・三兆の財源はしっかり確保しながら、それも実施をしていく。それから、さらに新たな議論も出てくるわけでございますので、それに対する財源も、いろいろと我々としてもやりくりをしながら、しっかりと確保するよう努力をしていきたいと思っております。
○高井委員 通告外の質問を二問続けましたけれども、加藤大臣に答えていただきました。
きょうは、私、追及型の質問というよりも提案型の質問でぜひいきたいと思っておりまして、次は通告させていただいています。これも本来は加藤大臣の所掌外でありますけれども、ぜひ加藤大臣に聞いていただきたいし、お願いしたいということで、質問します。
実は、保育士のなり手がいないというのは、給料だけではない。もちろんお給料がたくさんあればあるにこしたことはないけれども、実はもう一つ、非常に勤務が大変だ、残業も多い、お給料の割に労働時間も長い、ここが非常に問題になっています。この部分は、私は、要するに、お給料を上げるのは財源を見つけるという大変な作業がありますけれども、残業を減らすというのは工夫の仕方で幾らでもできるんじゃないか。
私が一番注目しているのはITなんですね。私はITをずっと専門でやってきたんですけれども、このITを使って保育士の業務負担を減らそうと。実は厚生労働省もそういうことを考えていただいて、補助金が補正予算でできたんですけれども、問題は、その中身をもっとよくしたい、ブラッシュアップしたい。
どういうことかというと、ITの予算というのがついて、保育所にパソコンを導入したり、あるいはサーバーを導入したりする補助金がついたんですけれども、しかし、パソコンとかサーバーが入っても、保育士さんは、それだけではやはり勤務時間は減らない。
私が注目しているのはスマートフォンです。今、保育士さんは多分、ほぼ全員スマートフォンを持っておられるし、また保護者、親御さんも、お子さんがいる世代だとほとんどもう持っていると思うんですね。
ところが、いまだに保護者と保育士のやりとりは紙の連絡帳なんですね。それから、保育園の中での業務の報告なんかも紙だし、あと、例えば子供がちょっと病気になった、きょうはおくれますとか休みます、こういう連絡も全部今は電話でやっているのが実態だそうです。
そうすると、電話を受ける側に一人、朝の時間、張りついていなきゃいけない。それから、かけるお母さん、お父さんも、地下鉄の中では電話ができませんから、わざわざ駅でおりて電話をかけると、ほかに連絡もあってつながらない。こんなのは、スマホで、携帯でメール一本でやれば、地下鉄の中でもできるし、それから保育士さんも、別に張りついていなくてもいいわけです。
スマートフォンなり携帯なり、こういったものを活用することをもっともっと普及すれば、これは私が実際保育園を百以上回ったという方からアドバイスを受けて聞いている話なんですけれども、保育士さんもぜひそういうのをやってほしい。
しかし、これは政府だけじゃなくてやはり保育園側にも問題があって、保育園の園長がそういう理解がないとなかなか進まない。しかし、それをただ黙っていても一向に進みませんから、やはりこれは政府として音頭をとるべきだ。
実は、これは予算委員会の分科会で厚生労働大臣にはお聞きをしたんですけれども、なかなかいい返事がいただけていなくて、ぜひ加藤大臣、今の話を聞いてどう思われるか。そして、これを厚生労働省に提案というかアドバイスというかしていただいて、とにかく保育士さんの業務負担を減らす努力を加藤大臣のリーダーシップでとっていただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 委員御指摘のように、保育の現場の困難さの中に、冒頭申し上げた賃金を含めた処遇改善の問題、あるいは休みがとりにくい等の問題と加えて、やはり業務負担が大変重たいというお話を私も聞かせていただいております。
もう委員御承知のように、これまでも、保育士が事務処理や会議出席、休憩の時間を確保できるように加配される休憩保育士の人件費を評価していくとか、あるいは研修を受講するときに保育士のかわりに保育に従事されるための研修代替保育士を加配するとか、そして先ほど御指摘がありました二十七年度補正予算でも、保育士業務の負担軽減のためのICT化あるいは保育補助者の雇い上げの補助、こういうことをさせていただいております。
さらに、スマートフォンの活用等のお話もありました。私も、保育園でのそういう活用例は余り承知しておりませんけれども、介護施設ではそうしたスマートフォンをうまく使って情報を共有化し、かなり効率的に、そしてそのことが働く方の業務負担を軽減しているという事例も承知をさせていただいております。
まさに、そうしたICTの活用等を通じて業務の軽減を図り、そして労働の負担が軽減されるとともに、保育士の方々がやる子供さんとの相対する時間をしっかり確保していくということは非常に大事だと思っております。
ただ、どういう事例がうまくいっているかというところもあろうかと思いますので、よくその辺は私どもも実態を把握させていただきたいと思いますし、また、委員から、こういう保育園でこういうやり方があるぞということがあれば、ぜひ御提案をいただければと思います。
○高井委員 日本保育協会というところの平成二十六年度保育士における業務の負担軽減に関する調査研究報告というのを私は読ませていただいて、それを見ると、保育士さんの事務的な仕事の時間というのは平均七十二・九分かかっているそうです。それから、半分以上の方が家に持ち帰ってやっている。これが本当に現実だと思うんですね。
とかしき副大臣もきょうお見えですので、せっかく予算をつくっても、本当に現場の声を聞くと、やはりちょっと使い勝手がという声が上がっていますので、厚労省の方に聞くと、いやいや、そんなことはないとおっしゃるんですけれども、やはり現場の声を直接聞いていただいて、せっかくの予算ですから、ぜひ使い勝手のいいものにしていただきたいと思います。
それでは、きょうはちょっと資料を配らせていただきました。長々と九ページにもわたる対談録で恐縮なんですが、十一月六日の、サイボウズという会社の青野さんというまだ四十三歳ぐらいの若い社長ですが、この青野さんと小室さんとの対談録なんです。私は実際に聞いていて非常に感銘を受けたので、きょうは全文を紹介させていただきました。
その二ページ目をちょっと見ていただきますと、この青野社長というのは、ベンチャー企業で、仕事が大好きだった。長時間労働は当たり前だった。ところが、子供が生まれる前のスケジュールを見ると、月曜の午後六時半から定例会議が入っていて、八時から経営会議、そして翌朝の朝八時からも事業戦略会議、よくこんなので頭が働くな、今ではそう思うけれども、当時は当たり前のようにやっていたと。ところが、子供ができて、それからは半年間、四時に退社する。ベンチャー企業の社長が四時に退社して大丈夫かと思うわけでありますが、しかし、大丈夫だと。それは、時間が半減した、でも、半減すると、限られた時間の中で何ができるか、自分の仕事は何だろうかというのを物すごく考えたと。
それは、ちょっと変な例えですけれども、インベーダーゲームという昔はやったゲームで、一番後ろにあるUFOを撃ち落とせば高得点がとれるわけです。その手前の、ここに書いてあります雑魚キャラを撃ち落とすのではなくて、UFOを撃ち落とす、これが大事なんだと。自分にとってそのUFOは何だろうかと考えたら、意思決定と価値観の浸透だ、企業の価値観を社員に浸透させる、この二点だけ社長はやればいいんだというふうに思ったらできるようになったと。
さらに、もう一つ言っているのが、もっと驚いたのが、育児、家事に参加することで、これまで会社のことしか知らなかったのが、医療とか教育とか自治体の動きとか、そういったことまで知れるようになって、そのことが会社にとってもプラスになったと。
これは社長の話でありますけれども、会社全体に通じることもできると思うんですね。長時間労働は諸悪の根源だと。
その次の三ページ目を見ると、小室さんという方も、ベンチャーを立ち上げた方ですけれども、残業ゼロで、有休消化一〇〇%をやって、九年間増収増益だと。ですから、長時間労働じゃなくてもできるわけです。
ところが、我が国というのは、非常にまだまだ長時間労働が続いていて、私は、このことが育児、子育て、希望出生率をふやすということにおいても非常に重要だと思いますが、労働時間短縮や育休をとれる環境をつくる、あるいはワークシェアとかワーク・ライフ・バランス、こういったものはどのように取り組みを考えておられるのか、お聞かせください。
○とかしき副大臣 お答えさせていただきます。
質問の御答弁の前に、先ほど御提案いただいたことをしっかりと厚労省でも検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
さて、長時間労働のお話でございますけれども、御指摘のとおり、仕事と育児の両立を図っていく上では、長時間労働の是正、働き方の改革はとても重要であると考えております。
私も、実はILOの本部に行って日本の女性の社会進出についての話し合いをしていたときに、日本の場合はどこが一番問題だと思われますかと質問したら、一番最初に出てきたのが長時間労働と言われました。
ということで、私たちの国も、労働の時間で評価する、今そういうのがスタンダードになっておりますけれども、これを生産性で評価するというふうに今後少しずつ変えていく必要があるのではないか、このように考えております。
厚生労働大臣の方も、この問題に積極的に取り組もうということで、実は大臣を本部長といたしまして、長時間労働削減推進本部の決定に基づきまして、昨年の一月から、月百時間超えの残業を把握した全ての事業場に監督指導の徹底、さらに昨年の四月から、複数の労働局にまたがる過重労働に係る事案等に関する特別チーム、これは「かとく」というんですけれども、これを東京と大阪の労働局に新設させていただきました。
実は、この「かとく」は、この間「ガイアの夜明け」でも取り上げていただきまして、今、あちこちの企業で実績を上げているところでございます。
また、現在提出しております労働基準法改正法案では、働く人の働き過ぎを防止するために、企業に対して、働く人の意見をしっかり聞いて、年に五日の休暇を指定することを義務づけるとか、中小企業における月六十時間超えの時間外労働に対する割り増し賃金率の引き上げ、現行は二五%ですが、これを五〇%にまで引き上げていただくということを行おうというふうに考えております。
さらに、今国会で御審議いただいております雇用保険法等改正法案におきましては、育児休暇の取得促進を積極的に手がけていこうということで、有期契約労働者の育児休業取得要件の緩和等の改正を行う、有期契約の労働者の方々が育児に対しての時間を確保することがなかなか難しいということで、ここら辺にも配慮していこうというふうに考えております。
ということで、働き方改革や育児・介護休業法の改正等を進めていくことによって職場の環境整備にしっかり取り組んでいきたい、このように考えております。
○高井委員 先ほどの対談録に戻るんですけれども、七ページをちょっとごらんください。
今度は小室さんの発言なんですけれども、三年間だっこし放題という安倍政権の政策、だっこし放題はつらいんです、わかりますかと。それから、女性、女性と言い過ぎて、これも女性が優遇されることで、何かげたを履かされてその地位に来たかのように思われる、これは頑張ってきた女性ほど嫌なことですと。小室さんが言うから説得力がありますよね。
その下の線を引いた、ここが非常に重要なところです。子供が生まれた方、一人目を持った家庭、一人お子さんが生まれた家庭で、二人目、三人目にいかなかった要因って何だろうかというのを調査したときに、五年間追跡調査をしたら、その後、二人目を持ったか否かに一番影響を与えていたのが、一人目が生まれたときの夫の帰宅時間だったんですと。これで、うわあと青野さんが、会場じゅうがおお、なるほどと。私も本当にそのとおりだなと感じました。
実は、女性の労働時間の短縮や育休の取得ということがクローズアップされがちですが、やはり男性側の労働時間短縮や育児休暇取得が非常に重要だと考えます。しかしながら、日本は、男性の有償労働時間というのがOECD二十九カ国の中で最も長いということであります。
これはぜひ改善をしていきたいと考えますが、政府としてはどのような取り組みを考えておられますか。
○とかしき副大臣 お答えさせていただきます。
男性の長時間労働は、育児や家事の分担を困難にすることから、少子化の要因として大きく挙げられております。
夫の平日の家事、育児時間別に見た第二子以降の出生の割合を見ますと、やはり家事、育児時間を全くしない夫ですと、なかなか第二子以降のお子さんを産みにくいというのがデータでかなり出ておりまして、家事、育児を全くしない方ですと第二子以降の出産をなさったのが三九・五%、もし夫が四時間以上協力していただくとこれが七七・八%というふうに数字がはね上がってまいります。ということで、男性がいかに育児や家事に協力をしてくださるかということが少子化対策の大きな一つとなります。
ということで、先ほどからの繰り返しになりますけれども、長時間残業を徹底的に監督指導して、そしてこれを強化していくこと。あと、働き過ぎの防止は、先ほどお話ししましたように、労働基準法改正法案を国会の中で今審議していただいているのが現状でございます。
このほかには、イクメンプロジェクトというのを実施させていただきまして、男性の仕事と育児の両立を推進していこう、もしくはそれを積極的に応援するイクメン企業アワード、そしてさらに、上司を表彰していこうということでイクボスアワード、こういったものも実施させていただきまして、職場の環境整備を図らせていただいております。
実は、厚生労働省でもこれを積極的にやっていこうということで、私もこの間参加したんですが、子供が生まれたお父さん方、お子さんがお生まれになった職員の方とその上司の方に集まっていただきまして、お互いに決意表明をしていただいて、環境づくりに尽力をしてくださいというふうにお話をしますと育児休業の取得率がはね上がってまいりまして、始める前は、平成二十六年、一二・一%でしたが、この活動を始めてから二六・七%ということで、倍以上の取得率に変わりました。
ということで、本人の意識と周りの環境とをしっかりそろえてあげることが、男性の育児休暇、育児に関する時間を確保する上では大きな力となりますので、これからも積極的に取り組んでいきたい、このように考えております。
○高井委員 今お答えいただいたとおり、まさに職場の環境とか風土とか、周りの空気だと思うんですね。政府が幾らいろいろな政策とか補助金とかを出すよりも、やはり企業風土というか、これを変えるのはなかなか大変ですけれども、しかし、これは誰かがやらなきゃ、民間が勝手に盛り上がるということじゃありませんから、政府がぜひここは音頭をとって、これは厚労省だけじゃなくて加藤大臣にも、非常に一億総活躍社会のキーポイントだと私は思っていますから、本当はちょっと聞きたいんですけれども、もう時間がありませんのでお答えは結構ですが、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
それでは、もう一つの問題で、不妊治療支援。
これはまさに希望出生率一・八を目指す最もダイレクトな、子供を産みたいと思っているのに、いろいろそういった医療的な問題で授からない、しかし、治療を受ければ授かるという方は多いんですね。
実は私も不妊治療をしておりまして、いろいろ話をすると、私もやっていた、私もやっていたと、余り大っぴらに皆さん言いませんけれども、やっている方は潜在的にたくさんいます。しかし、物すごくお金がかかる。一回五十万近くかかります。
これは今、保険の適用がないんですね。助成金はあるんですけれども、今回、一億総活躍社会、加藤大臣が就任していただいて、これも非常にふやしたと。百五十億ぐらいですか、かなり目玉として新聞なんかにも出ているんですけれども、しかし、注意していただきたいのは、実は二年前、平成二十六年度に減らしているんですね。今まで回数制限は十回までだったのが六回に減っているし、それから年齢制限というのが入って、四十三歳未満になってしまったということなんです。ここは、私は、一旦減らしておいて今回ふやしてそれが目玉だと言われても、ちょっと釈然としないものがあります。
この点は厚生労働省に三回か四回聞いていますので、きょうは厚生労働省にはもう聞きません。ぜひ、この不妊治療支援、平成二十六年度に減らした分はまずもとに戻して、さらにもっと力を入れる、それから、やはり根本的には保険の適用をやるべきだと私は思いますけれども、加藤大臣の考えをお聞かせください。
○加藤国務大臣 まず、先ほどの男性側の育児参加が促進できるように、まさにそれはしっかりやっていかなきゃいけないことだろうというふうに思っております。
そして、今、不妊治療のお話がありました。本当に、今不妊治療に当たっておられる御夫婦の方、また、不妊治療の費用も大変でありますけれども、実際不妊治療をするときに、仕事とやった場合には非常に大変だということを先般私もお聞かせいただきまして、その御苦労を共有させていただいたところであります。
今回の補正予算等の対応は先ほどお話があったところでありますけれども、その前に見直しの話がありました。これはちょっと私の直接の所掌ではございませんけれども、当時は、有識者の検討会において、年齢別の不妊治療による分娩割合や妊娠、出産に伴うリスク等の医学的知見に基づいて議論を行われて、先ほど委員が御指摘になったような話になっているというふうに承知をしております。
したがって、これはどこまでやるのが有用なのかどうか、かなり医学的な知見に基づいて話をしていくのがやはり大事なんだろうなというふうには思っております。
それから、保険適用については、一部は既に保険適用になっているのは御承知のとおりだと思いますけれども、その他の治療については、まさに有効性がどうなのか、安全性がどうなのか、いろいろな課題もあるようでありまして、慎重に検討すべき問題だというふうに考えております。その点も踏まえて、厚生労働省において、今後保険適用するかどうかを含めて検討されるんだろうと思います。
ただ、いずれにしても、不妊治療に当たっておられる方々の思い、そして、今申し上げた、働きながらそれを実施していることの大変さ、その辺をよく共有しながら我々も政策を進めさせていただきたいと思います。
○高井委員 時間が参りました。用意した質問の半分しかできなかったんですが、引き続き、これは本当に加藤大臣と厚労省の連携が非常に必要だと思いますので、また質問させていただきます。
どうもありがとうございました。