190-衆-厚生労働委員会-18号 平成28年05月18日
○井坂委員 井坂信彦です。
本日は、児童福祉法の改正について、二十分ですが、幾つか質疑をさせていただきます。
まず一点目ですけれども、ちょうど二カ月前の三月十八日に、大臣と、十八歳を過ぎてからの児童養護ということについて議論をさせていただきました。
当時御提案申し上げたのが、十八歳になって施設を出て、会社に入って、会社でいろいろ問題があったり、あるいは会社もやめなければいけない、そして社員寮も出なければいけない、こういうときに、案外、もといた児童養護施設に相談がすっとできないケースも多いんです、これを解消するためにも、もともといた児童養護施設の職員さん、担当していた職員さんが、月に一度でも二カ月に一度でもいいので、ちょっと最初の二、三年は、退所したOB、OGの子たちに電話一本、本当に三分ぐらいでいいと思うんです、元気でやっているか、会社はどうや、何か問題があったらいつでも遊びにおいで、相談においで、こういうフォローの電話ぐらいは何とか現行の人員、予算の範囲内でできないかということをお尋ねいたしました。
それに対して、大臣も非常に前向きに、確かにおっしゃるとおりで、「月に一遍電話を入れてフォローを三年間ぐらいするというのは、私はあり得る対処の方法だろうと思います」「そういうところについて何ができるか、児童養護施設協議会ともよく話し合ってみたいというふうに思います。」こういうふうに答弁をいただいたわけであります。
そこでお伺いいたしますが、今回、法改正、この委員会でいよいよ審議をするわけでありますが、二カ月前にお願いをした、フォローの電話を入れて、退所後もいつでも相談に来てもらえるように、平成十六年改正の趣旨をしっかり実効性あるものにするためにこうした仕組みを取り入れることについて、実現できそうかどうか、大臣にお伺いをしたいと思います。
○塩崎国務大臣 まさに、養護施設に入所して、社会に羽ばたいていかれるという方は、先ほど、中根先生おられなくなっちゃって残念なんですが、第一義的責任を負う保護者がいないということでありますから、先生御指摘のように、社会には出たけれども誰も頼る人がいないということで、いろいろな問題があって、それで、今回、少なくとも二十二歳まで、必要な場合にはそのままいてもいいじゃないかということだったりするようなことを考えているわけであります。
ちなみに、さっきの、第一義的責任を保護者が負うという言葉は、そのまま子ども・子育て支援法、民主党政権下にできた法律でありますが、そこに入っておりますので、ぜひ中根先生にお伝えをいただければと思います。
先々月の委員会の場でおっしゃっていただいた、電話をするべしというフォローの仕方については、私は大賛成だということを申し上げたわけで、定期的な状況確認については、厚労省と全国児童養護施設協議会を中心に、他の社会的養護関係団体にも声がけをして、議員の提案も含めて、施設退所後の継続的な自立支援が大事だということを伝え、そして幅広く今検討していただいておるわけでございます。
退所した方が円滑に自立をするためには、必要に応じてやはり継続的な支援というものも必要なので、施設退所後の支援の充実について、全国児童養護施設協議会を含む関係団体の皆様方、退所者御本人の意見も聞きながら取り組んでいこうというふうに思っているところでございます。
○井坂委員 理想的には、もちろんこういう退所後のフォロー専門の職員さんがちゃんと配置をされてということだと私も思いますが、ただ、職員の配置が予算的、人員的に仮に難しいというような段階であっても、ぜひ、こういうできるところから、実効性のある一つの手段として取り組んでいただきたいというふうに思います。
二点目なんですけれども、今大臣も答弁の中でおっしゃった、十八を過ぎても、あるいは場合によっては二十を過ぎてもということで、今回の法改正、またその関連する中で、自立援助ホームの対象、また施設入所後の継続支援が二十二歳の年度末までできるようになります。
先ほど初鹿議員の方から、これは学生だけに限る必要はないんじゃないかというような質問もありましたけれども、私の方も、少し観点が初鹿議員とはまた別の方向性なんですが、仮に、学生さん、これは二十二歳の年度末、もちろん現役で四年制大学に受かって、そしてもちろん品行方正で留年もすることなくということであれば、二十二歳の年度末で全く問題ないと思います。ただ、私も実は一浪して大学に入っておりますし、また、大学の中でやむにやまれず留年をしてしまうということもないわけではない。こうした中で、二十二歳の年度末というのは、これは本当に全て順調にいった場合には問題ないにしても、一浪、あるいは場合によっては一留、よくあることなので、大学をあと一年で出られるのに二十二歳の年度末でこうした支援が途切れてしまうというのは、これはこれで少し現実的ではないのかなというふうに思います。
そこで、大臣にお伺いいたしますが、在学中、そして浪人あるいは留年その他いろいろな理由で、これは五年も十年も延長ということになるとまた制度の根幹から変わってまいりますが、二十二と言わず、在学中で、こういう事情があれば二十三歳の年度末というところまでこれは現実的に見てもよいのではないか、また、そこに係る予算というのもある程度限定されてくるのではないかというふうに思いますが、二十二ではなくて二十三ということについて、大臣のお考えを伺いたいと思います。
○塩崎国務大臣 今回、今の制度でも二十歳までは延ばすことはできるわけでございますけれども、しかし、到達後も自立に向けた支援が必要だという方がやはり間々おられるという中で、二十二歳の年度末まで引き続き支援ができるようにということで、これは予算事業で対応していこうじゃないかということで、措置の世界ではないけれども、実質的に同じことをやれるようにしようと。ただ、これはもちろん、ただここが居心地がいいからという形で残るようなことは許されないことだというふうに思っています、それは税金を使うわけですから。
今お話しのように、先生は一浪をされたということですが、私は一浪プラス一年休学をして、二年おくれでございますので、そういう対応があり得るということはよくわかることでございまして、もちろん、今のようなケースをどうするかということについては検討はしたいというふうに思っています。
さっき申し上げたように、イギリスのコネクションズというのは二十五歳までで、つまり、社会的にまあこれで何とかいけるかなという年齢というのは、二十二とか二十三ではまだ難しい人も中にはおられるんだろうというふうに思います。
そんなことも考えながら、今の御提案を受けて、少し考えてみたいというふうに思います。
○井坂委員 さすが一浪一年休学の大臣の御答弁だというふうに、大変心強く思います。
ぜひ、本当に現実的な、本当に大臣がおっしゃったとおりで、別に何でもかんでも二十五歳ということがよいとは思いませんけれども、もともとの趣旨である、ちゃんと社会人として働いて自立ができるまではというところと、現実的に二十三がいいのか二十四がいいのか二十五がいいのか、このあたりのボリュームの話もあると思いますので、御検討いただきたいというふうに思います。
三点目に、本法律案で、大きな流れとして、やはり、社会的養護が必要な児童に対して、できる限り良好な家庭的環境のもとでの養育の推進を国と地方の責務として児童福祉法に位置づけられることになります。これは私はよいことだというふうに思います。
この流れでいくと、今後は、国としては、里親などの家庭養護の割合をふやしていくことになろうかと思います。一方で、これまでの児童養護施設には、里親などでは対応が難しい、例えば虐待であったり、あるいは重い障害であったり、こういう、里親ではなかなか対応が難しいようなケースのお子さんが施設により集まってくることに、反射的に、結果的になってくるというふうに思います。
そこで、お伺いをしたいのですが、今後、こういう非常に里親では難しいようないろいろな課題を抱えたお子さんが施設にふえてくる、割合がふえてくる、これに対して、個別対応職員あるいは心理療法担当職員、これまでどおりの配置基準だと、これは人数的にはこれまでと変わらない人数だとしても、一人一人の濃さといいますか、お子さん一人一人の対応にかかる大変さが施設ではより変わってくると思います。ここの配置基準が、私は変更が必要ではないかというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 先ほど、ドイツは就学前は基本的に施設には入れないというお話を申し上げ、またイギリスでは六年生まで入れないという話を申し上げましたが、一方で、六年生以降に入る施設では、日本は長い間、六対一を五・五対一にし、今四対一にまで来た配置基準でありますけれども、イギリスの場合には、子供の数よりスタッフの方が多い。ですから、四対一どころの騒ぎじゃないということで、一対二とか一対三とか、そういうことで、先生がおっしゃるように、難しい状況の子供たちの支援をしていくということが施設の役割というふうになっていると私は聞いております。
現在、施設に入所している児童のうちで、約六割は虐待を受けた経験があり、また三割が障害を有している。そういうことで、傾向は、どちらかというと近年その傾向が強くなっているということだと思っております。
こうした児童に対して適切な支援をしていくためには、やはり施設において、通常の児童指導員等に加えて、個別の対応ができる職員を全ての施設に配置し、個別の対応が必要となった児童への一対一の対応とか、その保護者への相談支援などを行うことが大事であって、今御指摘の心理療法担当職員でありますが、心理療法を行う必要があると認められる子供さんも当然多いわけでありますから、こういった施設には心理療法担当職員を配置して、専門的なケアを今ももちろん実施しているわけであります。
この個別対応職員について、既に全ての施設に配置をしておって、現時点でさらなる配置はすぐにはそう簡単ではないというふうに考えておりますけれども、心理療法担当職員については、全ての施設に配置できていないのが現状です。したがって、一兆円と言っていた子育て支援の予算の中の〇・三兆、三千億円程度の消費税以外の財源を確保して実施をする社会保障の充実分、この中で全ての児童養護施設に配置をすることというふうになっているわけでありますので、引き続き財源の確保に努めて、実現を早くしていかなければならないというふうに思います。
○井坂委員 財源の問題、これは大きいと思います。ただ、先ほど申し上げたように、理屈の上でも、これまでの体制ではなかなか対応できないぐらい非常に濃い、要は、人数だけでははかり切れない濃い対応が必要になってくる。これは理屈の上で、今回の法改正でそうなってくるわけでありますから、ぜひそこに対応する人員配置というものを優先してやっていただきたいというふうに思います。
次に、要保護児童対策地域協議会について伺います。
これまでは努力義務であった要保護児童対策地域協議会における専門職の配置、これが努力義務から今回義務化をされます。ところが、現時点ではどうなっているかといいますと、これは昨年の四月一日時点ですけれども、全体の八〇・四%で配置が行われている。逆に言えば、これは既に財政支援もあるわけです、こういう専門職の配置に対して財政支援があるにもかかわらず、二割の自治体はこういう専門職の配置ができていない。お金の問題ではないんだと思います。
こういう現状がある中で、今回法律で努力義務から義務に変えた、義務化をしたというだけで、急に全ての自治体で配置ができるのか、私は懸念をしておりますが、いかがでしょうか。
○とかしき副大臣 お答えさせていただきます。
市町村における要保護児童対策地域協議会、要対協といいますけれども、この調整機関は、支援を要する個々のケースについて、児童相談所や警察、学校、医療機関等の関係機関との調整や協力要請とか、支援の進捗状況などの確認、管理、評価とか、あと、責任を持って対応すべき支援の機関の選定などの業務、結構重要な業務を行っているわけであります。
これが今度は、法改正によりまして、市町村における要対協の調整機関への専門職配置につきましては、現行法上では努力義務とされておりましたけれども、今回、義務とさせていただきました。さらに、その専門職に研修を課すことにより、責任を持って個々のケースに対応できるように応じていただきたいということで、実効性のある役割が果たせるようにしていただきたいというふうに考えております。
ということで、この調整機関に配置される専門職は、児童福祉司たる資格を有する者とか、保健師、助産師、看護師、保育士、教員免許を有する者、児童指導員とされておりまして、既に八〇・四%の市町村において配置をされております。
この専門職は、非常勤でも差し支えないとされており、小規模な町村を含めて全ての市町村で配置することは十分に可能である、このように考えておりますが、今後、平成二十九年四月一日の施行までの間に、地方公共団体の意見も一応聞かせていただいて、専門職を確保するための対応について検討もしていきたいということで、しっかり応援をさせていただきたいというふうに思っております。
○井坂委員 この問題、これまでも、財政支援がある中で、しかも置いた方がいいに決まっているのに、しかし二割の市町村が置いてこなかったという実態があるわけです。
臨時職員も含めて、置けるだろうという見通しでいらっしゃるわけですが、私がお聞きしたところでは、むしろ、やはり本当に、そういう専門職、国家資格を持っているような専門職そのものがなかなか手配ができない、そこが一つ大きなネックになっているというふうにも伺っております。
方法としては、専門職といったときに、いわゆるこういう国家資格保持者ということに限るのか、それとも、現場でまさに児童福祉を長年やってきた市の職員さんにこういう所定の研修をしてもらって、まさにこの分野のプロ、専門職としてこういう部分に入っていただくのか。こういういろいろなやり方もあると思いますので、ぜひ現実的な対応をお願いしたいと思います。
最後に、ちょっと飛ばして申しわけないんですけれども、今回の法改正に当たって、各種の専門団体、日本社会福祉士会、あるいは臨床心理士会、弁護士会連合会、こういった各種の専門職の団体が専門委員会のメンバーに入っていなかったという問題があります。こういう専門職団体と連携をしなければいけないにもかかわらず、こういったところの意見聴取が十分にできてこなかったのではないかというふうに指摘をされております。
そこで、大臣にお伺いいたしますが、これまでのことはもう過ぎた話でありますが、今後、国とこれら専門職団体が協議をする枠組みをつくるなど、連携の強化が不可欠と思いますが、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 今回、この改正法案が成立したとしても、詰めなきゃいけない課題はたくさんございます。
例えば、今回、国、都道府県、市町村の役割というのを明確にしました、責任も。その中で、やはり市町村が身近な自治体として支援の中心を担ってもらう。どういうふうにやるのかということについてもしっかり議論していくことが大事で、これについてもワーキンググループを立ち上げようと思っています。
それから、今の御指摘のとおり、専門性を高めるための、各種専門団体の専門性を虐待対策にも利用させていただくということで、研修や専門性の向上についてもそうだろうと思いますので、それについてもワーキンググループを立ち上げようと思っています。
そういう中で、今お話しの弁護士会や臨床心理士会、社会福祉士会、そういったところについては、今回の専門委員会では業界代表としてお入りをいただかないということを哲学として貫徹をしただけで、個人の資格でお入りをいただいている弁護士さんなんかもいたわけでございます。
ただ、日弁連に出してくださいという形では出していないので、これからまさにそういった団体の意見をしっかり聞き、また、これまでももちろん要望書をたくさんいただいておりましたので、それはしっかりと専門委員会でも生かさせていただきました。
施行後二年以内に、児童及び妊産婦の福祉に係る業務に従事する者の資質の向上を図るための方策について検討して、必要な措置を講ずるということでありますから、引き続き、この専門職団体の意見をしっかりと聞きながら検討を進めたいというふうに思います。
○井坂委員 時間が参りました。
本日、通告でもう一点、西日本にも二つ目の研修拠点をというのも用意しておりましたが、前の委員が質問しましたので、申し上げるにとどめておきます。
本日はどうもありがとうございました。
○井坂委員 井坂信彦です。
本日は、児童福祉法の改正について、二十分ですが、幾つか質疑をさせていただきます。
まず一点目ですけれども、ちょうど二カ月前の三月十八日に、大臣と、十八歳を過ぎてからの児童養護ということについて議論をさせていただきました。
当時御提案申し上げたのが、十八歳になって施設を出て、会社に入って、会社でいろいろ問題があったり、あるいは会社もやめなければいけない、そして社員寮も出なければいけない、こういうときに、案外、もといた児童養護施設に相談がすっとできないケースも多いんです、これを解消するためにも、もともといた児童養護施設の職員さん、担当していた職員さんが、月に一度でも二カ月に一度でもいいので、ちょっと最初の二、三年は、退所したOB、OGの子たちに電話一本、本当に三分ぐらいでいいと思うんです、元気でやっているか、会社はどうや、何か問題があったらいつでも遊びにおいで、相談においで、こういうフォローの電話ぐらいは何とか現行の人員、予算の範囲内でできないかということをお尋ねいたしました。
それに対して、大臣も非常に前向きに、確かにおっしゃるとおりで、「月に一遍電話を入れてフォローを三年間ぐらいするというのは、私はあり得る対処の方法だろうと思います」「そういうところについて何ができるか、児童養護施設協議会ともよく話し合ってみたいというふうに思います。」こういうふうに答弁をいただいたわけであります。
そこでお伺いいたしますが、今回、法改正、この委員会でいよいよ審議をするわけでありますが、二カ月前にお願いをした、フォローの電話を入れて、退所後もいつでも相談に来てもらえるように、平成十六年改正の趣旨をしっかり実効性あるものにするためにこうした仕組みを取り入れることについて、実現できそうかどうか、大臣にお伺いをしたいと思います。
○塩崎国務大臣 まさに、養護施設に入所して、社会に羽ばたいていかれるという方は、先ほど、中根先生おられなくなっちゃって残念なんですが、第一義的責任を負う保護者がいないということでありますから、先生御指摘のように、社会には出たけれども誰も頼る人がいないということで、いろいろな問題があって、それで、今回、少なくとも二十二歳まで、必要な場合にはそのままいてもいいじゃないかということだったりするようなことを考えているわけであります。
ちなみに、さっきの、第一義的責任を保護者が負うという言葉は、そのまま子ども・子育て支援法、民主党政権下にできた法律でありますが、そこに入っておりますので、ぜひ中根先生にお伝えをいただければと思います。
先々月の委員会の場でおっしゃっていただいた、電話をするべしというフォローの仕方については、私は大賛成だということを申し上げたわけで、定期的な状況確認については、厚労省と全国児童養護施設協議会を中心に、他の社会的養護関係団体にも声がけをして、議員の提案も含めて、施設退所後の継続的な自立支援が大事だということを伝え、そして幅広く今検討していただいておるわけでございます。
退所した方が円滑に自立をするためには、必要に応じてやはり継続的な支援というものも必要なので、施設退所後の支援の充実について、全国児童養護施設協議会を含む関係団体の皆様方、退所者御本人の意見も聞きながら取り組んでいこうというふうに思っているところでございます。
○井坂委員 理想的には、もちろんこういう退所後のフォロー専門の職員さんがちゃんと配置をされてということだと私も思いますが、ただ、職員の配置が予算的、人員的に仮に難しいというような段階であっても、ぜひ、こういうできるところから、実効性のある一つの手段として取り組んでいただきたいというふうに思います。
二点目なんですけれども、今大臣も答弁の中でおっしゃった、十八を過ぎても、あるいは場合によっては二十を過ぎてもということで、今回の法改正、またその関連する中で、自立援助ホームの対象、また施設入所後の継続支援が二十二歳の年度末までできるようになります。
先ほど初鹿議員の方から、これは学生だけに限る必要はないんじゃないかというような質問もありましたけれども、私の方も、少し観点が初鹿議員とはまた別の方向性なんですが、仮に、学生さん、これは二十二歳の年度末、もちろん現役で四年制大学に受かって、そしてもちろん品行方正で留年もすることなくということであれば、二十二歳の年度末で全く問題ないと思います。ただ、私も実は一浪して大学に入っておりますし、また、大学の中でやむにやまれず留年をしてしまうということもないわけではない。こうした中で、二十二歳の年度末というのは、これは本当に全て順調にいった場合には問題ないにしても、一浪、あるいは場合によっては一留、よくあることなので、大学をあと一年で出られるのに二十二歳の年度末でこうした支援が途切れてしまうというのは、これはこれで少し現実的ではないのかなというふうに思います。
そこで、大臣にお伺いいたしますが、在学中、そして浪人あるいは留年その他いろいろな理由で、これは五年も十年も延長ということになるとまた制度の根幹から変わってまいりますが、二十二と言わず、在学中で、こういう事情があれば二十三歳の年度末というところまでこれは現実的に見てもよいのではないか、また、そこに係る予算というのもある程度限定されてくるのではないかというふうに思いますが、二十二ではなくて二十三ということについて、大臣のお考えを伺いたいと思います。
○塩崎国務大臣 今回、今の制度でも二十歳までは延ばすことはできるわけでございますけれども、しかし、到達後も自立に向けた支援が必要だという方がやはり間々おられるという中で、二十二歳の年度末まで引き続き支援ができるようにということで、これは予算事業で対応していこうじゃないかということで、措置の世界ではないけれども、実質的に同じことをやれるようにしようと。ただ、これはもちろん、ただここが居心地がいいからという形で残るようなことは許されないことだというふうに思っています、それは税金を使うわけですから。
今お話しのように、先生は一浪をされたということですが、私は一浪プラス一年休学をして、二年おくれでございますので、そういう対応があり得るということはよくわかることでございまして、もちろん、今のようなケースをどうするかということについては検討はしたいというふうに思っています。
さっき申し上げたように、イギリスのコネクションズというのは二十五歳までで、つまり、社会的にまあこれで何とかいけるかなという年齢というのは、二十二とか二十三ではまだ難しい人も中にはおられるんだろうというふうに思います。
そんなことも考えながら、今の御提案を受けて、少し考えてみたいというふうに思います。
○井坂委員 さすが一浪一年休学の大臣の御答弁だというふうに、大変心強く思います。
ぜひ、本当に現実的な、本当に大臣がおっしゃったとおりで、別に何でもかんでも二十五歳ということがよいとは思いませんけれども、もともとの趣旨である、ちゃんと社会人として働いて自立ができるまではというところと、現実的に二十三がいいのか二十四がいいのか二十五がいいのか、このあたりのボリュームの話もあると思いますので、御検討いただきたいというふうに思います。
三点目に、本法律案で、大きな流れとして、やはり、社会的養護が必要な児童に対して、できる限り良好な家庭的環境のもとでの養育の推進を国と地方の責務として児童福祉法に位置づけられることになります。これは私はよいことだというふうに思います。
この流れでいくと、今後は、国としては、里親などの家庭養護の割合をふやしていくことになろうかと思います。一方で、これまでの児童養護施設には、里親などでは対応が難しい、例えば虐待であったり、あるいは重い障害であったり、こういう、里親ではなかなか対応が難しいようなケースのお子さんが施設により集まってくることに、反射的に、結果的になってくるというふうに思います。
そこで、お伺いをしたいのですが、今後、こういう非常に里親では難しいようないろいろな課題を抱えたお子さんが施設にふえてくる、割合がふえてくる、これに対して、個別対応職員あるいは心理療法担当職員、これまでどおりの配置基準だと、これは人数的にはこれまでと変わらない人数だとしても、一人一人の濃さといいますか、お子さん一人一人の対応にかかる大変さが施設ではより変わってくると思います。ここの配置基準が、私は変更が必要ではないかというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 先ほど、ドイツは就学前は基本的に施設には入れないというお話を申し上げ、またイギリスでは六年生まで入れないという話を申し上げましたが、一方で、六年生以降に入る施設では、日本は長い間、六対一を五・五対一にし、今四対一にまで来た配置基準でありますけれども、イギリスの場合には、子供の数よりスタッフの方が多い。ですから、四対一どころの騒ぎじゃないということで、一対二とか一対三とか、そういうことで、先生がおっしゃるように、難しい状況の子供たちの支援をしていくということが施設の役割というふうになっていると私は聞いております。
現在、施設に入所している児童のうちで、約六割は虐待を受けた経験があり、また三割が障害を有している。そういうことで、傾向は、どちらかというと近年その傾向が強くなっているということだと思っております。
こうした児童に対して適切な支援をしていくためには、やはり施設において、通常の児童指導員等に加えて、個別の対応ができる職員を全ての施設に配置し、個別の対応が必要となった児童への一対一の対応とか、その保護者への相談支援などを行うことが大事であって、今御指摘の心理療法担当職員でありますが、心理療法を行う必要があると認められる子供さんも当然多いわけでありますから、こういった施設には心理療法担当職員を配置して、専門的なケアを今ももちろん実施しているわけであります。
この個別対応職員について、既に全ての施設に配置をしておって、現時点でさらなる配置はすぐにはそう簡単ではないというふうに考えておりますけれども、心理療法担当職員については、全ての施設に配置できていないのが現状です。したがって、一兆円と言っていた子育て支援の予算の中の〇・三兆、三千億円程度の消費税以外の財源を確保して実施をする社会保障の充実分、この中で全ての児童養護施設に配置をすることというふうになっているわけでありますので、引き続き財源の確保に努めて、実現を早くしていかなければならないというふうに思います。
○井坂委員 財源の問題、これは大きいと思います。ただ、先ほど申し上げたように、理屈の上でも、これまでの体制ではなかなか対応できないぐらい非常に濃い、要は、人数だけでははかり切れない濃い対応が必要になってくる。これは理屈の上で、今回の法改正でそうなってくるわけでありますから、ぜひそこに対応する人員配置というものを優先してやっていただきたいというふうに思います。
次に、要保護児童対策地域協議会について伺います。
これまでは努力義務であった要保護児童対策地域協議会における専門職の配置、これが努力義務から今回義務化をされます。ところが、現時点ではどうなっているかといいますと、これは昨年の四月一日時点ですけれども、全体の八〇・四%で配置が行われている。逆に言えば、これは既に財政支援もあるわけです、こういう専門職の配置に対して財政支援があるにもかかわらず、二割の自治体はこういう専門職の配置ができていない。お金の問題ではないんだと思います。
こういう現状がある中で、今回法律で努力義務から義務に変えた、義務化をしたというだけで、急に全ての自治体で配置ができるのか、私は懸念をしておりますが、いかがでしょうか。
○とかしき副大臣 お答えさせていただきます。
市町村における要保護児童対策地域協議会、要対協といいますけれども、この調整機関は、支援を要する個々のケースについて、児童相談所や警察、学校、医療機関等の関係機関との調整や協力要請とか、支援の進捗状況などの確認、管理、評価とか、あと、責任を持って対応すべき支援の機関の選定などの業務、結構重要な業務を行っているわけであります。
これが今度は、法改正によりまして、市町村における要対協の調整機関への専門職配置につきましては、現行法上では努力義務とされておりましたけれども、今回、義務とさせていただきました。さらに、その専門職に研修を課すことにより、責任を持って個々のケースに対応できるように応じていただきたいということで、実効性のある役割が果たせるようにしていただきたいというふうに考えております。
ということで、この調整機関に配置される専門職は、児童福祉司たる資格を有する者とか、保健師、助産師、看護師、保育士、教員免許を有する者、児童指導員とされておりまして、既に八〇・四%の市町村において配置をされております。
この専門職は、非常勤でも差し支えないとされており、小規模な町村を含めて全ての市町村で配置することは十分に可能である、このように考えておりますが、今後、平成二十九年四月一日の施行までの間に、地方公共団体の意見も一応聞かせていただいて、専門職を確保するための対応について検討もしていきたいということで、しっかり応援をさせていただきたいというふうに思っております。
○井坂委員 この問題、これまでも、財政支援がある中で、しかも置いた方がいいに決まっているのに、しかし二割の市町村が置いてこなかったという実態があるわけです。
臨時職員も含めて、置けるだろうという見通しでいらっしゃるわけですが、私がお聞きしたところでは、むしろ、やはり本当に、そういう専門職、国家資格を持っているような専門職そのものがなかなか手配ができない、そこが一つ大きなネックになっているというふうにも伺っております。
方法としては、専門職といったときに、いわゆるこういう国家資格保持者ということに限るのか、それとも、現場でまさに児童福祉を長年やってきた市の職員さんにこういう所定の研修をしてもらって、まさにこの分野のプロ、専門職としてこういう部分に入っていただくのか。こういういろいろなやり方もあると思いますので、ぜひ現実的な対応をお願いしたいと思います。
最後に、ちょっと飛ばして申しわけないんですけれども、今回の法改正に当たって、各種の専門団体、日本社会福祉士会、あるいは臨床心理士会、弁護士会連合会、こういった各種の専門職の団体が専門委員会のメンバーに入っていなかったという問題があります。こういう専門職団体と連携をしなければいけないにもかかわらず、こういったところの意見聴取が十分にできてこなかったのではないかというふうに指摘をされております。
そこで、大臣にお伺いいたしますが、これまでのことはもう過ぎた話でありますが、今後、国とこれら専門職団体が協議をする枠組みをつくるなど、連携の強化が不可欠と思いますが、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 今回、この改正法案が成立したとしても、詰めなきゃいけない課題はたくさんございます。
例えば、今回、国、都道府県、市町村の役割というのを明確にしました、責任も。その中で、やはり市町村が身近な自治体として支援の中心を担ってもらう。どういうふうにやるのかということについてもしっかり議論していくことが大事で、これについてもワーキンググループを立ち上げようと思っています。
それから、今の御指摘のとおり、専門性を高めるための、各種専門団体の専門性を虐待対策にも利用させていただくということで、研修や専門性の向上についてもそうだろうと思いますので、それについてもワーキンググループを立ち上げようと思っています。
そういう中で、今お話しの弁護士会や臨床心理士会、社会福祉士会、そういったところについては、今回の専門委員会では業界代表としてお入りをいただかないということを哲学として貫徹をしただけで、個人の資格でお入りをいただいている弁護士さんなんかもいたわけでございます。
ただ、日弁連に出してくださいという形では出していないので、これからまさにそういった団体の意見をしっかり聞き、また、これまでももちろん要望書をたくさんいただいておりましたので、それはしっかりと専門委員会でも生かさせていただきました。
施行後二年以内に、児童及び妊産婦の福祉に係る業務に従事する者の資質の向上を図るための方策について検討して、必要な措置を講ずるということでありますから、引き続き、この専門職団体の意見をしっかりと聞きながら検討を進めたいというふうに思います。
○井坂委員 時間が参りました。
本日、通告でもう一点、西日本にも二つ目の研修拠点をというのも用意しておりましたが、前の委員が質問しましたので、申し上げるにとどめておきます。
本日はどうもありがとうございました。