190-衆-厚生労働委員会-10号 平成28年04月01日
○井坂委員 井坂信彦です。
きょうから新年度ということで、まず冒頭に、昨年度の年金運用についてお伺いをいたします。
平成二十七年三月末、ちょうど一年前の日経平均株価が一万九千二百七円でした。そして、昨日の株価が一万六千七百五十九円ということで、昨年度一年間で株価は一二・七%下がったということになります。
まず、大臣に端的にお伺いをいたします。
平成二十七年度、GPIFによる年金積立金の運用では巨額の損失が出ているのではないでしょうか。
○塩崎国務大臣 GPIFは、年金積立金を、国内外の債券と株式の組み合わせをベストミックスをつくって運用しているわけであります。日経平均株価などの国内株式の指標がそのまま運用収益に反映されるものではないわけでございます。
年金積立金の運用というのは、もういつも申し上げているとおり、長期的な観点から安全かつ効率的な運用を行っていくことが重要であって、最も大事なのはお約束どおりの年金を支払うために年金財政上必要な利回りを確保できるか、今でいえば名目賃金上昇率プラス一・七を確保できるかどうか、これが一番大事なので、それも長期的にその観点から見てどうかということで、短期的な動向に過度にとらわれるべきではないということを申し上げてきているわけであります。
年金積立金については、平成十三年の自主運用開始以降のトータルの収益率は年率でプラス二・九九%、累積の収益額は五十・二兆円。二十六年度は十五・三兆円のプラスになるなど、安倍政権発足後の収益額は三十七・八兆円のプラスとなっておりまして、長期的には年金財政上必要な利回りを十分確保できているというふうに思います。
年明けからの短期的な市場動向によって、このような年金積立金の運用状況が大きく変化するものとは考えておらないところでございます。
○井坂委員 全くお答えになっておりませんので、繰り返しお尋ねをします。
これは確かに、別に、国内の株が下がったから直ちに年金積立金がそれに比例して減るというわけではありません。
そうおっしゃると思ったので、私、もう大まかに計算してきました。年金を株で運用することをふやした初年度ですから、実際どうなったのかということで、国内債券は、ベンチマークを見れば大体五%ぐらいふえているはずであります。ところが、国内株式は、さっき申し上げたように、TOPIXでも一二%減っている。そして外国債券も三%減っています。それから外国株式は一〇%減っています。大体、毎年GPIFの運用はベンチマークとそれほど変わらない成績を出しておりますから、ここから大幅にずれることはないというふうに思います。
この運用割合、国内債券三八%、国内株式二三%、外国債券一三%、外国株式二二%、去年一年間ほとんど変わっておりませんので、大まかに計算すると、国内債券で随分プラスが出ておりますが、それでも、株のマイナスが大きく足を引っ張って、昨年一年度でマイナス五兆円ぐらいだというふうに思います。
ちなみに、株の割合をふやす前のポートフォリオであれば、昨年度一年間でも損失は出ておりません。しかし、株の割合を大幅にふやした初年度、まさに昨年度、平成二十七年度に株が原因で巨額の損失を出した、長期的動向はお聞きしていません、昨年一年間で株が原因で巨額の損失を出したということはお認めになりますね。
○塩崎国務大臣 先ほど来申し上げているように、年金財政にとって大事なのは長期的な運用の結果でありまして、それを見ながらいかなきゃいけないわけであります。
昨年度の数字は、つまり二十七年度の数字はことしの七月に公表される予定でございますので、それを今試算していただきましたが、それが合っているかどうかは七月に結果としてわかりますので、具体的な数字などについては、今私が答える立場でも、能力的にもできない。それは、数字がまだ固まっていないわけでございますので、この三月末までの数字については七月までお待ちをいただきたいというふうに思います。
○井坂委員 数字と理由もお示しをして、この数字からそんなに大きく上下ずれることはないというふうに思います。それはもう仕組みも大臣は御存じなわけで、これが急に、七月にふたをあけてみたらプラスでしたなんていうことはないというふうに私は思います。何か、こんな簡単な事実すら認識されていないということでしょうか。
○塩崎国務大臣 旧民主党の皆さん方も、政権を担われて、あの三年余りの間にいろいろ知り得たこと、学ばれたことがあるんだろうと思いますけれども、前も申し上げたように、これは小宮山大臣のときでも、マイナスになったのではないかということで共産党の方から御批判を受けたときにお答えになっているのは、「積立金の運用というのは長期的な観点から行われるということが重要だ」ということを明確におっしゃっているので、先ほど申し上げたように、長い目で見て、安倍政権になってからでも三十七・八兆円収益が上がっているわけでありますから、長期的なトレンドとしてどうか。これは二十五年の財政計算をしているわけでありますけれども、その中でどういうふうになるのかということが大事であります。
これは、当然、きょうも朝のニュースで、日本郵政が、債券の運用だけではとてもやっていけないのでリスクを管理しながらより利回りの高いものに運用をふやしていくということをおっしゃっていました。
この間、参議院で民主党の尾立先生が御質問になったときに、まず最初にゆうちょの方を呼んでおっしゃいました。まさに負債に見合った利回りを稼ぐことが大事で、それ以上のことをやる必要はないので、今は彼らは株式はやっていないということでありましたが、きょうの長門日本郵政社長さんの御発言を聞けば、やはり、負債の求める利回りについて、現状であってももう国債中心ではやっていけないということをゆうちょも言っているということだろうと私は理解をいたしました。
これは資産運用の常識中の常識でありまして、このような、かつてのようなことではない経済状況の中でしっかりと年金の利回りを確保していくということは、やはり資産運用上も工夫をしていかなければいけないということでありますので、いずれにしても、小宮山大臣もおっしゃっているように、長期的な観点で物を見ていくということが年金財政の常識であろうというふうに思います。
○井坂委員 長期で見ることを私は何も否定なんかしていないんですよ。それは、長期的に、最後、利率を確保することは大事だと思います。
そんなことはお聞きしていなくて、私がお聞きしているのは、ポートフォリオを大きく変えた、特に初年度ですから、単純に、その運用成績は大幅に損失を出したのではないですかと。別に、それはお認めになった上で、去年は損失を出したけれども、しかし長期的にはまたこれから取り返していくんだということでいいんじゃないんですか。(発言する者あり)多分おっしゃらないと思いますよ。
実は、これは発表の日付のことなんですね。七月というふうに大臣はぼかしておっしゃいましたけれども、これは七月二十九日に損失額を発表されるということであります。ちなみに、参議院議員の任期は七月二十五日ですから、それまでには参議院選挙が行われます。ですから、公表日七月二十九日というのは、もう見事に参議院選挙後ということになるわけであります。
GPIF、去年は七月十日に発表しています。おととしは七月四日、その前は七月二日、その前は七月六日。GPIFが平成十八年にできてから、平成十九年度以降はもう毎年必ず七月初旬、早い年には六月末に前年度の運用実績を公表してきました。ところが、ことしに限って参院選後の七月二十九と、もう今から公表の日時を決めているわけであります。これは、株で年金を運用した結果、五兆円の損失を出したことしに限って、運用結果の公表日を参議院選挙後に先送りしている。
まずお伺いしたいのは、なぜかということ、年金運用の損失隠しではないかということをお伺いしたいと思います。
○塩崎国務大臣 まず第一に、損失隠しとかいう発想で我々は年金運用をやっているわけではない、長期の年金財政にとって必要な利回りを確保できるかどうかという観点で、経済情勢を考えた上で新しいポートフォリオの組み合わせをつくっているわけであります。したがって、参議院選挙があろうとなかろうと、我々は発表すべきものは発表するというのが基本であります。
この二十七年度の運用状況の公表についてでありますけれども、これまで、もともとこれは七月末までにということになっていたわけでありますけれども、実は、今回一歩前進をさせたのは、末とか言うと、いつだろうか、七月一日も末に近い、までにですから。そういうことになると、やはりいろいろと臆測を呼んだりいたしますので、今回は、確定日付でGPIFが発表をして、七月二十九日という日にちを選びました。(発言する者あり)いいですか。少し聞いていただけますか。(発言する者あり)よく聞こえないような気がしたものですから。
そこで、年度ごとに今までまちまちでありましたけれども、公表日をあらかじめ明確にするために、GPIFが、平成二十八年度計画において、具体的な公表日を初めて明記いたしました。
その際、開示内容につきましては、検討を加えて、より充実をさせること。なぜかというと、二十八年度計画においては、GPIF設立からちょうど十年になるんですね、その間の運用状況を分析し、また公表するというのも、年金受給者や年金加入者に対する大きな責任であります。それから、保有する銘柄に関する情報の開示のあり方についても、検討して、よりオープンな形での情報開示をしようということになっています。
したがって、市場への影響に留意もしながら、情報公開の充実をどう図るのかということもじっくり考えなければいけないというふうに考えているわけでございます。
先ほど日付のことをおっしゃいましたけれども、かつて、例えば、平成十三年度は七月の三十日でありました。それから、GPIFがスタートした平成十八年度は七月三十一日でございました。したがって、早いときもあれば遅いときもあり、なおかつ……(発言する者あり)いいですか。聞いていただけるならお話ししたいと思うので。
要は、ちょうど十年で、これまでの十年のGPIFの中の運用は一体どうだったのかということもやはり虚心坦懐に分析をしてお示しをするということが私は大事なことだと思うので、GPIFがそこのところをよく考えてやるものだというふうに理解をしております。
○井坂委員 いろいろごまかしておられると思いますが、GPIFになってからは、これはずっと早いんですよ。GPIFの初年度は、たしか何かあったのかもしれませんよ、七月下旬になっていますが。それから後はずっと七月初旬、または六月末で一貫してやっているんです。
大臣、お伺いしたいのは、公表日を決めたのはどなたでしょうか。GPIFなんでしょうか。
それから、もう一つお伺いしたいのが、大臣や厚労省側、あるいは総理や政府側から、発表をおくらせてくれとか、七月末にしてくれとか、GPIF側に伝えたことはありますでしょうか。
○塩崎国務大臣 当然、これはGPIFがお決めになったことであります。
先ほど来申し上げているように……(井坂委員「伝えたことはありますか」と呼ぶ)もちろんございません。今申し上げたように、GPIFが決めたことだということなので、私どもがいつにせいなどということは一切言っていませんし、何度も申し上げるように、当然、きちっとした分析を示して、十年目というのは十年に一回しかないことですから、少し時間がかかってもおかしくはない話であって、今後どうするかということは、GPIFがまたお決めになることだと思います。
○井坂委員 保有する銘柄の発表なども今回から同時に行うんだということで、それも理由で、ずっと早くやってきたのを遅くするということであります。
私は、年金の運用は、大臣のおっしゃるように、長期で見るということ、その視点は大事だというふうに思います。
一方で、年金の積立金というのは、政府が国民から預かっている預かり金です。ですから、国民の側からしたら、預けている政府がちゃんと毎年どういう運用をしてくれているのか、そして、まさにその運用成績もよくよく見ながら、この政府に預け続けていいのか、それとも、この政府にはおきゅうを据えなければいけないのか、まさにその判断材料になるものだというふうに思います。
私は、もう今はGPIFはパッシブ運用ですから、保有銘柄の公表はそれほど重要な意味は持たないというふうに思います。まあ、やってもいいですよ、十年の歩みもやってもいいですよ。ただ、毎年やっている、平成二十七年度の運用結果、五兆円損失を出しているわけでありますけれども、取ってつけたような理由でことしだけ公表日をおくらせるのではなく、銘柄の発表とか十年の歩み、これは別途やったらいいと思いますよ、ただ、例年どおりやっている年度の数字は、これは例年どおり七月初旬に年金運用の結果を発表して、堂々と国民の審判を仰ぐべきだと考えますが、どうでしょうか。
○塩崎国務大臣 もともとこれは年度で発表していた数字であります。それを四半期ごとに発表した方がいいだろうということで、速報のような形でこれまでも出してきたわけでありまして、いつも年度はやはり年度できっちり出すということをやってきたので、今回もそのようにお願いをしたいというふうに思っています。(井坂委員「年度を七月初旬に出しているんですよ、毎年」と呼ぶ)
さっき申し上げたように、今回はいろいろ年度の通期での分析もしながらやるということでありますので、そのようなことを含めてGPIFがきちっと判断するものだというふうに思っています。
○井坂委員 年金は、もちろん必要な額に届く利回りを確保しなければいけない。ただ、私は、この議論をすれば、きょうはしませんが、いろいろ言いたいことがあって、要は、年金というのは、本来は手がたく運用をしてちゃんと届くようにやっているはずなんですよ。ところが、リスクを負ってギャンブル的なことをしないと必要な利回りが確保できないような状態に現状落ち込んでいる、そちらの方の問題が、実はこのGPIF、単年度の損失よりもはるかに大きな問題だというふうに思っておりますので、これはまた大きな問題ですから別途議論をさせていただきたいというふうに思います。
本来の保育所の話に移りたいというふうに思いますが、前回の議論で、私、最後までわからなかったのは、結局、国基準の保育士で人数は十分なのかということであります。私、別に保育の質とかゆとりとか、そういうことは前回一切言っておりません。そうではなくて、それで現場は本当に回るのかというその一点であります。
前回お聞きできませんでしたので改めてお伺いいたしますが、前回は、自治体で独自に加配をしているところがいっぱいあるのではないかとお聞きをしました。きょうは、重ねてお伺いするのは、国基準あるいは自治体の上乗せ基準、これにかかわらず、保育所独自で保育士さんをたくさん配置している、こういうところが全体の何%ぐらいあるか、お伺いしたいと思います。
○とかしき副大臣 お答えさせていただきます。
委員おっしゃるように、今、加配している保育園の具体的な数や割合、これについては残念ながら把握しておりませんが、参考になる資料をちょっと御案内申し上げますと、平成二十二年ですけれども、「「新たな次世代育成支援のための包括的・一元的な制度」の設計に向けたタイムスタディ調査」によりますと、平均的に、保育園で配置基準上必要とされている保育人材より五、六人程度多くの人員が配置されている傾向にあるということがわかりました。この中には、もちろん、休憩保育士や十一時間開所に伴い必要となる保育士の確保など、国の運営費上の加配も含まれております。
さらに、このほかには、自治体の単独事業となる助成を受けて行われているものもあれば、園独自として、運営費全体のやりくりの中で人を加配しているというケースもあります。
ということで、いろいろなケースがあるということで、実態は残念ながらまだ把握できておりません。
○井坂委員 今、保育所独自で大体国基準より五、六人多く配置をしているという御紹介がありました。もちろん、これは、十一時間保育とか休憩保育ということで、国の基準で加配している部分もあるんですけれども、国基準の加配は、私、仕組みを調べましたけれども、二、三人だというふうに思います。ですから、やはり国基準よりもさらに多く保育士を配置している、自治体としてそれを条例として求めている市もたくさんあるし、自治体が求めていなくても国基準以上に保育士をたくさん配置をしている、これが現場の現状だというふうに思います。
これが何か保育の質とかゆとりとか、まあ、ぜいたくとまでは言わないですけれども、ある種余裕のあるような話で保育士さんをふやしているとは私は思わないんです。やはりいろいろお聞きをすると、本当に国基準どおりの保育士の人数だとさすがに現場は回らないという声ばかりを聞きます。
しかし、実態は把握をしておられないということでありますから、やはり私はここは把握をしていただきたいというふうに思うんです。各保育所が国基準に加えてどれだけ保育士を配置しているのか、これをわからずに、今回の緊急対策のように、国基準でまだ余裕があるんだったらその分受け入れてくれみたいなことをやると、私は保育の質とか以前に、もう現場が回らなくなるところが出てくるのではないか、これを心配しておりますので、大臣、この件、一言だけお伺いしたいと思います。
○塩崎国務大臣 やはり実態はきちっと押さえた方がいいと思いますので、私も調査をした方がいいと思います。
○井坂委員 ありがとうございます。
続きまして、保育士の給与アップ、我々も提案しておりますし、大臣もそれが一番重要な問題である、ボトルネックであるとまではお認めになっておりませんが、重要な問題であるということはおっしゃっているわけであります。
ただし、これは誰でも彼でも保育士さんであれば給与を上げればよいというものではありません。
資料一をごらんいただきたいんですけれども、公立の保育所の保育士さん、それから私立の保育所の保育士さん、これは給与に差があるわけであります。
現状をお伺いしようと思っていたんですけれども、ちょっと時間がないので、これと同じ数字を多分お答えになると思いますから、これを見ますと、公立の保育所の保育士さんは一人当たり月額二十八万円、私立は二十五万円というふうに政府の保育所経営実態調査ではなっています。
ただし、ここにはからくりがありまして、公立の保育所の保育士さんには大きく二通りおられます。それは、公務員である保育士さんと公務員でない臨時職員、常勤ですよ、パートでなくて常勤でも公務員でない臨時職員の保育士さんがおられるわけであります。
そこで、お伺いをいたしますけれども、公立保育所の公務員である保育士さんと、それから、公務員ではない臨時職員である常勤保育士、非正規だけれども常勤の保育士さんの平均給与はどうなっておりますでしょうか。
○とかしき副大臣 お答えさせていただきます。
公営の保育園に勤務する臨時職員である常勤保育士の給与については、残念ながら把握しておりませんが、公営保育園に勤務する常勤保育士の平均給与は、先ほど資料でお示しいただきましたように、平成二十五年の幼稚園・保育所等の経営実態調査によれば、保育士一人当たり年収三百四十五万円となっております。
ということで、公営保育園の保育士の処遇については、今大変問題になっておりますし、それに対しては、保育園を運営する自治体において、それぞれの実情に応じて職員規程等によって定められているというふうには承知しておりますけれども、いずれにいたしましても、公営の保育園に勤務する職員の正規、非正規といった区分も含めて、保育士の実態をやはり把握していくようなことがこれから必要なのではないかなと思っておりますので、これから実態把握の方に努めていきたい、このように考えております。
○井坂委員 実態把握、あらかじめ事務方にもお願いしておりましたが。
これは、三百四十五万円とおっしゃいましたけれども、もう雲泥の差がありますから。公務員である保育士さんと臨時職員である保育士さんで、給料は倍ほど違うというふうにも聞いておりますので、それの平均をとったら三百四十五万ということですけれども、この数字はほとんど何の意味もない数字です。二通り全然違う人、しかも、大体半分ずつぐらいいますから、それの平均をとってといったら、この三百四十五万という給与の保育士さんは果たして存在するんだろうかというぐらい意味のない数字です。
ですから、実態を把握するとおっしゃいましたけれども、公務員である保育士さんの平均、それから臨時職員である保育士さんの平均、ちゃんとこちらを把握していただきたいというふうに思います。こういう基礎的なデータもないと処遇改善も何も議論できないと思いますから、これは早急にお願いをしたいというふうに思います。
さらに、資料二をごらんいただきたいと思います。
今申し上げたように、公立保育所の方が非正規の保育士さんの割合が非常に高いんです。これをごらんいただきましたら、公立はもう半分以上が非正規じゃないかというふうに思うわけであります。下の私立と比べても、非正規の方が圧倒的に多い。非常に賃金構造上もゆがんでいる上に、下のグラフを見ていただきたいんですけれども、その非正規の職員さんのほとんど全員が正規職員と同じような仕事を行っているというふうに現場から報告をされているんです。
大臣、お伺いいたしますが、私も昨年、同一労働同一賃金法を通していただきましたし、今や安倍総理も同一労働同一賃金をうたっておられるわけであります。この非正規の保育士さんの処遇改善、特に公立保育所の内部の公務員それから常勤臨時職員の格差について、どう解消していかれるのか、大臣にお伺いします。
○塩崎国務大臣 つぶさな実態がわからないというところがございますが、その件については、先ほど私が申し上げたとおり、やはり実態は把握をした方がいいというふうに思いますので、先ほどとかしき副大臣から申し上げたように、きちっと調べたらいいんだろうというふうに思っています。
今の、公立の保育園の常勤と非常勤の格差、この問題については、やはり……(井坂委員「常勤と非常勤じゃないです。常勤と非常勤じゃなくて、常勤の中でも公務員とそうでない人の差を言っているんです」と呼ぶ)公務員と私立の保育士ですか。
○井坂委員 これは事前に事務方の人が何度も間違って、常勤、非常勤の差ばかり出してきて、私、三往復ぐらいそれを突き返して、違うんです、常勤の中でも公務員である人とそうでない人で倍ほど給与が違うでしょうという話をしているんです。そこが伝わっていないとしたら、ちょっと事務方の怠慢だというふうに私は思いますよ。
それで、その数字は持っていないということだったから、しかし、実態はもうみんな知っている話ですので、別につぶさな数字がなくたって、格差はあるんですよ、同じ仕事をしているのに、公務員の人とそれから常勤の非公務員の人とで物すごい差があると言っているんです。同一労働同一賃金の考え方からいったら、これは全然説明のつかない状態になっていますから、大臣、どうされるんですかということです。
○塩崎国務大臣 正規、非正規のつもりで言ったので大変失礼しましたが、そこにおける格差は、やはり、同じ専門職としての保育士でありますから、適切な給与が払われるのが当然だろうと思います。いわゆる多様な正社員というのと同じような発想で払われるべきではないかというふうに思うわけであって、やはり保育士の実態を、どういう働き方をしているかということも含めてですけれども、さらなる処遇改善について考えていかなきゃいけないというふうに思います。
○井坂委員 時間が参りましたので、三枚目の資料は、これは私立の方が長時間やっていたり、あるいは低年齢をたくさん受け入れていますよという資料であります。
この処遇改善と同時に、官民格差、また、公立の内部でも公務員である人とそうでない人の格差、ここも含めて人件費の問題はしっかり総合的に解決をしていくべきだということを申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございます。
○井坂委員 井坂信彦です。
きょうから新年度ということで、まず冒頭に、昨年度の年金運用についてお伺いをいたします。
平成二十七年三月末、ちょうど一年前の日経平均株価が一万九千二百七円でした。そして、昨日の株価が一万六千七百五十九円ということで、昨年度一年間で株価は一二・七%下がったということになります。
まず、大臣に端的にお伺いをいたします。
平成二十七年度、GPIFによる年金積立金の運用では巨額の損失が出ているのではないでしょうか。
○塩崎国務大臣 GPIFは、年金積立金を、国内外の債券と株式の組み合わせをベストミックスをつくって運用しているわけであります。日経平均株価などの国内株式の指標がそのまま運用収益に反映されるものではないわけでございます。
年金積立金の運用というのは、もういつも申し上げているとおり、長期的な観点から安全かつ効率的な運用を行っていくことが重要であって、最も大事なのはお約束どおりの年金を支払うために年金財政上必要な利回りを確保できるか、今でいえば名目賃金上昇率プラス一・七を確保できるかどうか、これが一番大事なので、それも長期的にその観点から見てどうかということで、短期的な動向に過度にとらわれるべきではないということを申し上げてきているわけであります。
年金積立金については、平成十三年の自主運用開始以降のトータルの収益率は年率でプラス二・九九%、累積の収益額は五十・二兆円。二十六年度は十五・三兆円のプラスになるなど、安倍政権発足後の収益額は三十七・八兆円のプラスとなっておりまして、長期的には年金財政上必要な利回りを十分確保できているというふうに思います。
年明けからの短期的な市場動向によって、このような年金積立金の運用状況が大きく変化するものとは考えておらないところでございます。
○井坂委員 全くお答えになっておりませんので、繰り返しお尋ねをします。
これは確かに、別に、国内の株が下がったから直ちに年金積立金がそれに比例して減るというわけではありません。
そうおっしゃると思ったので、私、もう大まかに計算してきました。年金を株で運用することをふやした初年度ですから、実際どうなったのかということで、国内債券は、ベンチマークを見れば大体五%ぐらいふえているはずであります。ところが、国内株式は、さっき申し上げたように、TOPIXでも一二%減っている。そして外国債券も三%減っています。それから外国株式は一〇%減っています。大体、毎年GPIFの運用はベンチマークとそれほど変わらない成績を出しておりますから、ここから大幅にずれることはないというふうに思います。
この運用割合、国内債券三八%、国内株式二三%、外国債券一三%、外国株式二二%、去年一年間ほとんど変わっておりませんので、大まかに計算すると、国内債券で随分プラスが出ておりますが、それでも、株のマイナスが大きく足を引っ張って、昨年一年度でマイナス五兆円ぐらいだというふうに思います。
ちなみに、株の割合をふやす前のポートフォリオであれば、昨年度一年間でも損失は出ておりません。しかし、株の割合を大幅にふやした初年度、まさに昨年度、平成二十七年度に株が原因で巨額の損失を出した、長期的動向はお聞きしていません、昨年一年間で株が原因で巨額の損失を出したということはお認めになりますね。
○塩崎国務大臣 先ほど来申し上げているように、年金財政にとって大事なのは長期的な運用の結果でありまして、それを見ながらいかなきゃいけないわけであります。
昨年度の数字は、つまり二十七年度の数字はことしの七月に公表される予定でございますので、それを今試算していただきましたが、それが合っているかどうかは七月に結果としてわかりますので、具体的な数字などについては、今私が答える立場でも、能力的にもできない。それは、数字がまだ固まっていないわけでございますので、この三月末までの数字については七月までお待ちをいただきたいというふうに思います。
○井坂委員 数字と理由もお示しをして、この数字からそんなに大きく上下ずれることはないというふうに思います。それはもう仕組みも大臣は御存じなわけで、これが急に、七月にふたをあけてみたらプラスでしたなんていうことはないというふうに私は思います。何か、こんな簡単な事実すら認識されていないということでしょうか。
○塩崎国務大臣 旧民主党の皆さん方も、政権を担われて、あの三年余りの間にいろいろ知り得たこと、学ばれたことがあるんだろうと思いますけれども、前も申し上げたように、これは小宮山大臣のときでも、マイナスになったのではないかということで共産党の方から御批判を受けたときにお答えになっているのは、「積立金の運用というのは長期的な観点から行われるということが重要だ」ということを明確におっしゃっているので、先ほど申し上げたように、長い目で見て、安倍政権になってからでも三十七・八兆円収益が上がっているわけでありますから、長期的なトレンドとしてどうか。これは二十五年の財政計算をしているわけでありますけれども、その中でどういうふうになるのかということが大事であります。
これは、当然、きょうも朝のニュースで、日本郵政が、債券の運用だけではとてもやっていけないのでリスクを管理しながらより利回りの高いものに運用をふやしていくということをおっしゃっていました。
この間、参議院で民主党の尾立先生が御質問になったときに、まず最初にゆうちょの方を呼んでおっしゃいました。まさに負債に見合った利回りを稼ぐことが大事で、それ以上のことをやる必要はないので、今は彼らは株式はやっていないということでありましたが、きょうの長門日本郵政社長さんの御発言を聞けば、やはり、負債の求める利回りについて、現状であってももう国債中心ではやっていけないということをゆうちょも言っているということだろうと私は理解をいたしました。
これは資産運用の常識中の常識でありまして、このような、かつてのようなことではない経済状況の中でしっかりと年金の利回りを確保していくということは、やはり資産運用上も工夫をしていかなければいけないということでありますので、いずれにしても、小宮山大臣もおっしゃっているように、長期的な観点で物を見ていくということが年金財政の常識であろうというふうに思います。
○井坂委員 長期で見ることを私は何も否定なんかしていないんですよ。それは、長期的に、最後、利率を確保することは大事だと思います。
そんなことはお聞きしていなくて、私がお聞きしているのは、ポートフォリオを大きく変えた、特に初年度ですから、単純に、その運用成績は大幅に損失を出したのではないですかと。別に、それはお認めになった上で、去年は損失を出したけれども、しかし長期的にはまたこれから取り返していくんだということでいいんじゃないんですか。(発言する者あり)多分おっしゃらないと思いますよ。
実は、これは発表の日付のことなんですね。七月というふうに大臣はぼかしておっしゃいましたけれども、これは七月二十九日に損失額を発表されるということであります。ちなみに、参議院議員の任期は七月二十五日ですから、それまでには参議院選挙が行われます。ですから、公表日七月二十九日というのは、もう見事に参議院選挙後ということになるわけであります。
GPIF、去年は七月十日に発表しています。おととしは七月四日、その前は七月二日、その前は七月六日。GPIFが平成十八年にできてから、平成十九年度以降はもう毎年必ず七月初旬、早い年には六月末に前年度の運用実績を公表してきました。ところが、ことしに限って参院選後の七月二十九と、もう今から公表の日時を決めているわけであります。これは、株で年金を運用した結果、五兆円の損失を出したことしに限って、運用結果の公表日を参議院選挙後に先送りしている。
まずお伺いしたいのは、なぜかということ、年金運用の損失隠しではないかということをお伺いしたいと思います。
○塩崎国務大臣 まず第一に、損失隠しとかいう発想で我々は年金運用をやっているわけではない、長期の年金財政にとって必要な利回りを確保できるかどうかという観点で、経済情勢を考えた上で新しいポートフォリオの組み合わせをつくっているわけであります。したがって、参議院選挙があろうとなかろうと、我々は発表すべきものは発表するというのが基本であります。
この二十七年度の運用状況の公表についてでありますけれども、これまで、もともとこれは七月末までにということになっていたわけでありますけれども、実は、今回一歩前進をさせたのは、末とか言うと、いつだろうか、七月一日も末に近い、までにですから。そういうことになると、やはりいろいろと臆測を呼んだりいたしますので、今回は、確定日付でGPIFが発表をして、七月二十九日という日にちを選びました。(発言する者あり)いいですか。少し聞いていただけますか。(発言する者あり)よく聞こえないような気がしたものですから。
そこで、年度ごとに今までまちまちでありましたけれども、公表日をあらかじめ明確にするために、GPIFが、平成二十八年度計画において、具体的な公表日を初めて明記いたしました。
その際、開示内容につきましては、検討を加えて、より充実をさせること。なぜかというと、二十八年度計画においては、GPIF設立からちょうど十年になるんですね、その間の運用状況を分析し、また公表するというのも、年金受給者や年金加入者に対する大きな責任であります。それから、保有する銘柄に関する情報の開示のあり方についても、検討して、よりオープンな形での情報開示をしようということになっています。
したがって、市場への影響に留意もしながら、情報公開の充実をどう図るのかということもじっくり考えなければいけないというふうに考えているわけでございます。
先ほど日付のことをおっしゃいましたけれども、かつて、例えば、平成十三年度は七月の三十日でありました。それから、GPIFがスタートした平成十八年度は七月三十一日でございました。したがって、早いときもあれば遅いときもあり、なおかつ……(発言する者あり)いいですか。聞いていただけるならお話ししたいと思うので。
要は、ちょうど十年で、これまでの十年のGPIFの中の運用は一体どうだったのかということもやはり虚心坦懐に分析をしてお示しをするということが私は大事なことだと思うので、GPIFがそこのところをよく考えてやるものだというふうに理解をしております。
○井坂委員 いろいろごまかしておられると思いますが、GPIFになってからは、これはずっと早いんですよ。GPIFの初年度は、たしか何かあったのかもしれませんよ、七月下旬になっていますが。それから後はずっと七月初旬、または六月末で一貫してやっているんです。
大臣、お伺いしたいのは、公表日を決めたのはどなたでしょうか。GPIFなんでしょうか。
それから、もう一つお伺いしたいのが、大臣や厚労省側、あるいは総理や政府側から、発表をおくらせてくれとか、七月末にしてくれとか、GPIF側に伝えたことはありますでしょうか。
○塩崎国務大臣 当然、これはGPIFがお決めになったことであります。
先ほど来申し上げているように……(井坂委員「伝えたことはありますか」と呼ぶ)もちろんございません。今申し上げたように、GPIFが決めたことだということなので、私どもがいつにせいなどということは一切言っていませんし、何度も申し上げるように、当然、きちっとした分析を示して、十年目というのは十年に一回しかないことですから、少し時間がかかってもおかしくはない話であって、今後どうするかということは、GPIFがまたお決めになることだと思います。
○井坂委員 保有する銘柄の発表なども今回から同時に行うんだということで、それも理由で、ずっと早くやってきたのを遅くするということであります。
私は、年金の運用は、大臣のおっしゃるように、長期で見るということ、その視点は大事だというふうに思います。
一方で、年金の積立金というのは、政府が国民から預かっている預かり金です。ですから、国民の側からしたら、預けている政府がちゃんと毎年どういう運用をしてくれているのか、そして、まさにその運用成績もよくよく見ながら、この政府に預け続けていいのか、それとも、この政府にはおきゅうを据えなければいけないのか、まさにその判断材料になるものだというふうに思います。
私は、もう今はGPIFはパッシブ運用ですから、保有銘柄の公表はそれほど重要な意味は持たないというふうに思います。まあ、やってもいいですよ、十年の歩みもやってもいいですよ。ただ、毎年やっている、平成二十七年度の運用結果、五兆円損失を出しているわけでありますけれども、取ってつけたような理由でことしだけ公表日をおくらせるのではなく、銘柄の発表とか十年の歩み、これは別途やったらいいと思いますよ、ただ、例年どおりやっている年度の数字は、これは例年どおり七月初旬に年金運用の結果を発表して、堂々と国民の審判を仰ぐべきだと考えますが、どうでしょうか。
○塩崎国務大臣 もともとこれは年度で発表していた数字であります。それを四半期ごとに発表した方がいいだろうということで、速報のような形でこれまでも出してきたわけでありまして、いつも年度はやはり年度できっちり出すということをやってきたので、今回もそのようにお願いをしたいというふうに思っています。(井坂委員「年度を七月初旬に出しているんですよ、毎年」と呼ぶ)
さっき申し上げたように、今回はいろいろ年度の通期での分析もしながらやるということでありますので、そのようなことを含めてGPIFがきちっと判断するものだというふうに思っています。
○井坂委員 年金は、もちろん必要な額に届く利回りを確保しなければいけない。ただ、私は、この議論をすれば、きょうはしませんが、いろいろ言いたいことがあって、要は、年金というのは、本来は手がたく運用をしてちゃんと届くようにやっているはずなんですよ。ところが、リスクを負ってギャンブル的なことをしないと必要な利回りが確保できないような状態に現状落ち込んでいる、そちらの方の問題が、実はこのGPIF、単年度の損失よりもはるかに大きな問題だというふうに思っておりますので、これはまた大きな問題ですから別途議論をさせていただきたいというふうに思います。
本来の保育所の話に移りたいというふうに思いますが、前回の議論で、私、最後までわからなかったのは、結局、国基準の保育士で人数は十分なのかということであります。私、別に保育の質とかゆとりとか、そういうことは前回一切言っておりません。そうではなくて、それで現場は本当に回るのかというその一点であります。
前回お聞きできませんでしたので改めてお伺いいたしますが、前回は、自治体で独自に加配をしているところがいっぱいあるのではないかとお聞きをしました。きょうは、重ねてお伺いするのは、国基準あるいは自治体の上乗せ基準、これにかかわらず、保育所独自で保育士さんをたくさん配置している、こういうところが全体の何%ぐらいあるか、お伺いしたいと思います。
○とかしき副大臣 お答えさせていただきます。
委員おっしゃるように、今、加配している保育園の具体的な数や割合、これについては残念ながら把握しておりませんが、参考になる資料をちょっと御案内申し上げますと、平成二十二年ですけれども、「「新たな次世代育成支援のための包括的・一元的な制度」の設計に向けたタイムスタディ調査」によりますと、平均的に、保育園で配置基準上必要とされている保育人材より五、六人程度多くの人員が配置されている傾向にあるということがわかりました。この中には、もちろん、休憩保育士や十一時間開所に伴い必要となる保育士の確保など、国の運営費上の加配も含まれております。
さらに、このほかには、自治体の単独事業となる助成を受けて行われているものもあれば、園独自として、運営費全体のやりくりの中で人を加配しているというケースもあります。
ということで、いろいろなケースがあるということで、実態は残念ながらまだ把握できておりません。
○井坂委員 今、保育所独自で大体国基準より五、六人多く配置をしているという御紹介がありました。もちろん、これは、十一時間保育とか休憩保育ということで、国の基準で加配している部分もあるんですけれども、国基準の加配は、私、仕組みを調べましたけれども、二、三人だというふうに思います。ですから、やはり国基準よりもさらに多く保育士を配置している、自治体としてそれを条例として求めている市もたくさんあるし、自治体が求めていなくても国基準以上に保育士をたくさん配置をしている、これが現場の現状だというふうに思います。
これが何か保育の質とかゆとりとか、まあ、ぜいたくとまでは言わないですけれども、ある種余裕のあるような話で保育士さんをふやしているとは私は思わないんです。やはりいろいろお聞きをすると、本当に国基準どおりの保育士の人数だとさすがに現場は回らないという声ばかりを聞きます。
しかし、実態は把握をしておられないということでありますから、やはり私はここは把握をしていただきたいというふうに思うんです。各保育所が国基準に加えてどれだけ保育士を配置しているのか、これをわからずに、今回の緊急対策のように、国基準でまだ余裕があるんだったらその分受け入れてくれみたいなことをやると、私は保育の質とか以前に、もう現場が回らなくなるところが出てくるのではないか、これを心配しておりますので、大臣、この件、一言だけお伺いしたいと思います。
○塩崎国務大臣 やはり実態はきちっと押さえた方がいいと思いますので、私も調査をした方がいいと思います。
○井坂委員 ありがとうございます。
続きまして、保育士の給与アップ、我々も提案しておりますし、大臣もそれが一番重要な問題である、ボトルネックであるとまではお認めになっておりませんが、重要な問題であるということはおっしゃっているわけであります。
ただし、これは誰でも彼でも保育士さんであれば給与を上げればよいというものではありません。
資料一をごらんいただきたいんですけれども、公立の保育所の保育士さん、それから私立の保育所の保育士さん、これは給与に差があるわけであります。
現状をお伺いしようと思っていたんですけれども、ちょっと時間がないので、これと同じ数字を多分お答えになると思いますから、これを見ますと、公立の保育所の保育士さんは一人当たり月額二十八万円、私立は二十五万円というふうに政府の保育所経営実態調査ではなっています。
ただし、ここにはからくりがありまして、公立の保育所の保育士さんには大きく二通りおられます。それは、公務員である保育士さんと公務員でない臨時職員、常勤ですよ、パートでなくて常勤でも公務員でない臨時職員の保育士さんがおられるわけであります。
そこで、お伺いをいたしますけれども、公立保育所の公務員である保育士さんと、それから、公務員ではない臨時職員である常勤保育士、非正規だけれども常勤の保育士さんの平均給与はどうなっておりますでしょうか。
○とかしき副大臣 お答えさせていただきます。
公営の保育園に勤務する臨時職員である常勤保育士の給与については、残念ながら把握しておりませんが、公営保育園に勤務する常勤保育士の平均給与は、先ほど資料でお示しいただきましたように、平成二十五年の幼稚園・保育所等の経営実態調査によれば、保育士一人当たり年収三百四十五万円となっております。
ということで、公営保育園の保育士の処遇については、今大変問題になっておりますし、それに対しては、保育園を運営する自治体において、それぞれの実情に応じて職員規程等によって定められているというふうには承知しておりますけれども、いずれにいたしましても、公営の保育園に勤務する職員の正規、非正規といった区分も含めて、保育士の実態をやはり把握していくようなことがこれから必要なのではないかなと思っておりますので、これから実態把握の方に努めていきたい、このように考えております。
○井坂委員 実態把握、あらかじめ事務方にもお願いしておりましたが。
これは、三百四十五万円とおっしゃいましたけれども、もう雲泥の差がありますから。公務員である保育士さんと臨時職員である保育士さんで、給料は倍ほど違うというふうにも聞いておりますので、それの平均をとったら三百四十五万ということですけれども、この数字はほとんど何の意味もない数字です。二通り全然違う人、しかも、大体半分ずつぐらいいますから、それの平均をとってといったら、この三百四十五万という給与の保育士さんは果たして存在するんだろうかというぐらい意味のない数字です。
ですから、実態を把握するとおっしゃいましたけれども、公務員である保育士さんの平均、それから臨時職員である保育士さんの平均、ちゃんとこちらを把握していただきたいというふうに思います。こういう基礎的なデータもないと処遇改善も何も議論できないと思いますから、これは早急にお願いをしたいというふうに思います。
さらに、資料二をごらんいただきたいと思います。
今申し上げたように、公立保育所の方が非正規の保育士さんの割合が非常に高いんです。これをごらんいただきましたら、公立はもう半分以上が非正規じゃないかというふうに思うわけであります。下の私立と比べても、非正規の方が圧倒的に多い。非常に賃金構造上もゆがんでいる上に、下のグラフを見ていただきたいんですけれども、その非正規の職員さんのほとんど全員が正規職員と同じような仕事を行っているというふうに現場から報告をされているんです。
大臣、お伺いいたしますが、私も昨年、同一労働同一賃金法を通していただきましたし、今や安倍総理も同一労働同一賃金をうたっておられるわけであります。この非正規の保育士さんの処遇改善、特に公立保育所の内部の公務員それから常勤臨時職員の格差について、どう解消していかれるのか、大臣にお伺いします。
○塩崎国務大臣 つぶさな実態がわからないというところがございますが、その件については、先ほど私が申し上げたとおり、やはり実態は把握をした方がいいというふうに思いますので、先ほどとかしき副大臣から申し上げたように、きちっと調べたらいいんだろうというふうに思っています。
今の、公立の保育園の常勤と非常勤の格差、この問題については、やはり……(井坂委員「常勤と非常勤じゃないです。常勤と非常勤じゃなくて、常勤の中でも公務員とそうでない人の差を言っているんです」と呼ぶ)公務員と私立の保育士ですか。
○井坂委員 これは事前に事務方の人が何度も間違って、常勤、非常勤の差ばかり出してきて、私、三往復ぐらいそれを突き返して、違うんです、常勤の中でも公務員である人とそうでない人で倍ほど給与が違うでしょうという話をしているんです。そこが伝わっていないとしたら、ちょっと事務方の怠慢だというふうに私は思いますよ。
それで、その数字は持っていないということだったから、しかし、実態はもうみんな知っている話ですので、別につぶさな数字がなくたって、格差はあるんですよ、同じ仕事をしているのに、公務員の人とそれから常勤の非公務員の人とで物すごい差があると言っているんです。同一労働同一賃金の考え方からいったら、これは全然説明のつかない状態になっていますから、大臣、どうされるんですかということです。
○塩崎国務大臣 正規、非正規のつもりで言ったので大変失礼しましたが、そこにおける格差は、やはり、同じ専門職としての保育士でありますから、適切な給与が払われるのが当然だろうと思います。いわゆる多様な正社員というのと同じような発想で払われるべきではないかというふうに思うわけであって、やはり保育士の実態を、どういう働き方をしているかということも含めてですけれども、さらなる処遇改善について考えていかなきゃいけないというふうに思います。
○井坂委員 時間が参りましたので、三枚目の資料は、これは私立の方が長時間やっていたり、あるいは低年齢をたくさん受け入れていますよという資料であります。
この処遇改善と同時に、官民格差、また、公立の内部でも公務員である人とそうでない人の格差、ここも含めて人件費の問題はしっかり総合的に解決をしていくべきだということを申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございます。