190-参-厚生労働委員会-17号 平成28年04月28日
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。
今日も午前中議論がございまして、また先日の審議の際も養育費については大変充実した審議が行われたわけでございますけれども、私もこの問題、関心を持っておりまして、私の方からも是非何点か少し具体的なところを質問をさせていただきたいと思います。
この養育費の問題は、私は子供の視点から考えなければならない問題だと思っております。この児童扶養手当という制度もそうですけれども、子供の生活、養育に関しては、親の経済状態、また様々な事情にかかわらずしっかりと国の方で支えていくと、そのための一つの制度としてこの児童扶養手当があるわけであります。ですから、まず例えば養育費の確保をしてからにしてくださいとか、そういったことはあってはならないわけであります。
とはいえ、これまでも議論にあったとおり、本来子供の養育の義務を負っている別居親が養育費の履行を不当に免れるということはやはりあってはならないわけでありまして、どのようにその確保を支援をしていくかということが重要なわけでございます。それで、離婚届の際に、この養育費の支払の合意についてはできるだけ早い段階で当事者間で合意がされるのが適切だと思いますので、この離婚届を提出する段階で話合いがなされることが望ましいわけでございます。
それに関しては、先日もありましたけれども、平成二十四年四月から改正民法が施行されるに伴って、離婚届に、養育費の分担について取決めをしている、していないというチェックの欄が設けられました。しかしながら、先日、有村委員からも御指摘があったわけでございますけれども、その欄だけを見てなかなか当事者が、特に義務者が養育費の支払をしなきゃいけないんだと、こういうことを認識できるかというと少し疑問があると私も思っております。
そこで、この段階の支援としては、法務省の方で、養育費の取決めに関する合意書のひな形またパンフレットをこれから作成をして配付をするということで今作成中だというふうに聞いております。この合意書のひな形またパンフレットについては、是非分かりやすく、また実効性のあるものにしていただきたいと思います。
このパンフレットに、有村委員からも御指摘がありましたけれども、まず一番最初の方に分かりやすく大きな字で、是非、親権者ではなくても親であることは変わりがないので法的に養育費の支払をする義務があるんだということを大きく分かりやすく書いていただきたいと思いますけれども、お願いできますでしょうか。
○政府参考人(金子修君) 貴重な御意見、ありがとうございます。
今後、作成する予定の御指摘の養育費に関するパンフレットにおきましては、非監護親につきましても養育費の支払義務があるということを明示して、それから養育費に関する法的な知識を分かりやすく解説し、また、協議で養育費の取決めをすることができない場合に取り得る法的手段等についても分かりやすく解説することを予定しております。
○佐々木さやか君 きちんと分かりやすく書いていただくということを約束していただいたんだと思います。よろしくお願いいたします。
今、強制執行の手続についても書いていただくというようなことがありましたけれども、それも是非お願いをしたいですし、例えばですけれども、この合意書も、合意書にある、ひな形にある項目について話し合って決めることができれば、それをそのまま公証役場に持っていった際に公正証書として作成できる必要記載事項を漏れなく入れるとか、いろいろとこの実効性ということを是非考えていただきたいと思います。
それから、離婚届のチェック欄を設けたということは一歩前進ということで評価しているんですけれども、このチェック欄というのは、取決めをした、取決めをしていないということしかチェックをするようになっておりませんので、その内容が適切かどうかというのは分からないわけですね。
二十六日の参考人質疑でも島崎参考人が、取決めをしているといっても払わない旨の取決めをしているかもしれませんしということをおっしゃっていましたが、そういうこともあり得るわけで、やはりこの内容がどういうものであるか分析していくことも必要だと今後思いますし、また、できるだけ、せっかくですから離婚届作成時に適切な合意がなされるようにしていただきたいと思います。
それから、法務省の方では離婚届にチェックをしていただく目標として七〇%ですかね、これを目標として掲げてやっていただくそうですけれども、養育費についてチェックをするだけではなくて、きちんと養育費の専門的なアドバイスを受けられる相談機関、相談窓口に相談をしたと、この割合も私は本来は目標を立ててやっていっていただくべきではないかなというふうに思っております。是非そこは、質問はいたしませんけれども、厚労省の方でも私は取り組んでいただきたいと思います。
パンフレットの関係につきましては、相談窓口、様々あると思いますので、これも是非分かりやすくパンフレットに記載をしていただきたいと思います。お願いできますでしょうか。
○政府参考人(金子修君) パンフレットは、その性質上、関係する方々の個別のニーズに細かくお応えするということが難しい面があります。したがいまして、個別にパンフレットを見た方が相談できるように、パンフレットに法テラスや母子家庭等就業・自立支援センター等の相談機関の連絡先を明示しまして、養育費の支払に関して御相談ができるような記載を作成してまいりたいというふうに思います。
○佐々木さやか君 よろしくお願いいたします。
今おっしゃっていただいたように、母子家庭等就業・自立支援センター、この連絡先もパンフレットには書いてくださるということであります。この母子家庭等就業・自立支援センター、連絡先が書いてある、それを受け取った方が、じゃ、ここで養育費の相談をしようかなと思ったときに実際にできるかどうかということも重要でありまして、この母子家庭等就業・自立支援センター、取組を進めていただいているわけでありますけれども、残念ながら現時点では全国で行われているわけではないというふうに聞いております。
パンフレットにせっかく書いていてもうちの近くにはないということでは困りますので、是非これを普及をしっかりと進めていただきたいと思うんですけれども、まず、この母子家庭等就業・自立支援センターでの養育費の専門相談の実施状況と、それから普及のための取組についてお聞きしたいと思います。
○政府参考人(香取照幸君) 養育費の問題もそうですし、それから面会交流等もそうなんですが、最終的に離婚届に判を押して出す前の段階で、離婚に至るプロセスの中で様々考えなければいけない問題についてやはり御相談申し上げると。あるいは、離婚の後、今日の午前中の質疑にもありましたが、様々なきめの細かい施策を私ども用意しているわけでございますけれども、それをきちんと御説明し、理解をし、その人ごとに施策をどうやって利用していくかということを御相談申し上げると。そういった体制をきちんと用意するということが恐らく私どもの仕事ということになろうかと思います。
今お話ありました母子家庭就業支援センターですが、平成十九年から、今申し上げましたような養育費の取決めでありますとか、あるいは支払の確保でありますとか、あるいは面会交流でありますとか、こういったことにつきまして専門に相談に応じる専門員というのを配置をいたしまして御相談申し上げているところでございます。
この専門支援員の配置をして行っている相談でございますが、二十六年度末で全体のセンターのうちで約三割ということで、配置されております専門員が人数でいいますと約百名ということでございます。これにつきましては、やはり今後ともこういった相談がきちんとできるように体制を強化していく必要があるというふうに思っております。あわせて、各センターで行われています効果的な取組については、やはりこれは横展開していくということをしようと思っています。
それからもう一つ、二十八年度からは、特に養育費とか慰謝料、財産分与等、法律的な相談の問題についてやはり相談できる体制を用意するということで、弁護士等による法律相談を行っている自治体について、これを支援申し上げるということをしております。これに関しましては、自治体と弁護士会との連携ですとか、そういったことで弁護士会の御協力をお願いするということで、自治体の取組への御協力を日弁連、日本弁護士連合会の方にも御相談申し上げて、少しそういった法制面からの御支援も強化をいたしたいと思っております。
今後とも、こういった取組につきましては積極的に強化をしていきまして、養育費の確保、面会交流等々、お子様の最善の利益が図れるような形で母子家庭の生活が支えられるようにということで努力してまいりたいと思っております。
○佐々木さやか君 今、母子家庭等就業・自立支援センターのうち三割に専門の相談支援員が配置されていて、人数にいうと六名ということで、事前のレクですとたしか全国で十六か所でしたかね、ちょっと今確認する書類が見当たらないので記憶による御紹介になりますけれども、全国都道府県四十七あるということだけを考えても、やはり少ないなと。支援員、相談員の確保ということも課題でありますけれども、パンフレットに書いていただいても、うちの近くではやっていないという人が多くなってしまうことになりますので、是非進めていっていただきたいと思います。
今御紹介があった、弁護士さんが専門的な相談に乗ってくださるようにもしていきたいということでありましたけれども、これも非常に有益だと思いますので、是非やっていただきたいと思います。
しかし、この一人親家庭支援についてはワンストップというのが今回もキーワードになっておりまして、例えば弁護士さんが相談窓口のある機関に常駐するかというと、恐らくそれはなかなか難しいと思います。ですから、出張で来ていただける場合ももちろんあると思いますけれども、せっかく相談に行ったんだけれども、また来週の火曜日に来てくださいねとか、せっかく行ったけれども、どこどこの弁護士会の無料法律相談の方がありますからということで、そっちを紹介されたと。それも大事なんですけれども、これについても、一日でも休みを取るのが非常に大変というようなお声があることを考えますと、やはりできるだけワンストップでやれるように、包括的に様々な支援を受けれるように工夫をしていただきたいと思いますので、お願いを申し上げておきたいと思います。
それから、先ほども申し上げたように、離婚届のチェック欄が設けられて大分時間もたってきました。これまでの実績がどのようであったのかとか、それから、本来であれば、合意した内容がどのような形で、またそれがどの程度履行されているのかということも調査をして分析をして、今後の養育費確保支援、実効性があるものになるようにしていっていただきたいと思うんですね。こういう離婚届のチェック欄の合意内容、履行状況の実態調査、法務省の方で是非やっていただけないでしょうか。
○政府参考人(金子修君) 離婚届書のチェック欄で養育費の分担について取決めをしたという方について、実際に支払がされているかどうかということを調査することはどうかというお尋ねかと思います。
そのような調査は、言わば国がチェック欄の記載を契機に把握した情報を基に追跡していくような調査ということになります。そうしますと、当事者のプライバシーの配慮が必要になるほか、チェック欄に記載さえしなければこのような調査を受けることもなかったというような発想につながってもいけません。そうしますと、チェック欄を記載することをちゅうちょするということにもなりかねないという問題があるように思います。
他方、養育費確保のための施策を実効的なものとするためには、養育費の取決め率や受給率について履行状況をきちんと調査するということが必要であることは間違いないと思います。これは厚労省の方の話かと思いますが、平成二十八年には母子世帯等調査を行うということを検討されているものと承知していますけれども、例えば調査項目につきまして我々として何か協力できるような御意見が申し上げられれば、そういうような形で協力していきたいというふうに思っております。
○佐々木さやか君 法務省ではできないので厚労省でやってくださいというような感じにも聞こえましたけれども、やっぱり調査というのは重要ですし、行うに当たってプライバシーに配慮するとか任意性を確保するとか、もちろん当然のことでありまして、方法についてはいろいろあるとは思うんですね。
午前中の津田委員の議論にもございましたように、例えば強制執行が養育費の履行について成功しているかどうかとか、どれぐらいの件数があるかどうかということもまだ分からないわけですし、この離婚届のことについても法務省の方でやってきてくださったことですから、やっぱりここは、せっかくやった施策についてしっかりとフォローの調査をしていくというのは、法務省も私は是非責任を持ってやっていただきたいなと思います。
今、次に質問しようと思った厚労省の方の全国母子家庭等調査、今年やるということでありますので、これについては、このように一人親家庭の支援ということを非常に充実した議論も行って進めていくという中での調査でありますので、是非実効性のあるような調査にしていただきたいと思いますけれども、どのような調査項目を行う予定なのか、またこの養育費の確保支援という関係ではどのように考えているんでしょうか。
○政府参考人(香取照幸君) 度々この委員会の御審議でも御答弁で引用しておりますが、全国母子世帯等調査というのを私ども五年に一度行っております。これは離婚した一人親家庭等の養育費の取決め状況あるいは受取状況についてもこの中で調査を行っております。現在の調査項目は、養育費については、主な相談相手と取決め状況、それから取決めをしていない理由、これは答弁でも引用させていただきましたが、あと受取の状況と養育額、こういうことになってございます。
今回、今お話ありましたように、二十八年度は五年に一度の調査を行うということで、今回は昨年の十二月のすくすくサポート・プロジェクトの中でも幾つか私どもとして取組をしなきゃいけないといったことでした項目ございます。その中でも養育費と面会交流については非常に大きな項目ということになりますので、この関係につきましては調査項目についてもうちょっと充実したものにしなければならないと思っておりまして、現在検討しております。
これは、調査自体は、調査設計は私どもでいたしますが、都道府県、政令市、中核市を経由して国勢調査の調査対象地域でのサンプリングで行うということになりますので、実施体制との関係もございますので、自治体とも御相談はいたしながら進めたいと思っておりますが、この問題については少しきちんと、もうちょっと詳細なことが分かるように、この後の私どもの政策立案にも資することができるような、そういった調査の項目にしてまいりたいと思っております。
○佐々木さやか君 よろしくお願いいたします。
合意が当事者間でできたとしても、それが任意に支払われない場合には、じゃ、それをどうやって確保していくか、強制的に支払を確保していくかという問題になります。
皆さんもう既に御存じのとおりかと思いますが、この強制的な確保がなかなか今の日本の制度の中で難しいということの原因の私はまず一つは、やはり手続が非常に複雑で、時間とお金と手間が掛かるというところが一つあります。当事者間で合意をしただけでは、支払がされなくても強制執行はできません。公証役場に行って公正証書という形で作っておかなければ債務名義にはならないと。それをしていなかった場合には、調停を申し立てて、そこで合意をして調停調書を作らなきゃいけないと。この調停も、申し立てると始まるまで大体一か月ぐらい掛かりますし、一か月に一回ぐらいのペースで進みますので、半年とか一年ぐらいもうすぐたってしまう場合もあります。
また、裁判を起こすということになると、これも、申し立ててから一か月ぐらいたたないと始まらないですし、裁判で一年ぐらい掛かるということもよくあることでありまして、そういう時間と手間を掛けるというのは、普通の御家庭でも大変だと思いますけれども、一人親家庭の場合には更に大変なのではないかなというふうに思います。
それから二つ目の点としては、私も津田委員と同じ考えのところが多くございまして、やはり情報というところ、そういう調停を申し立てる、また裁判を申し立てるという場合でも、相手方のまず所在が分からないと申し立てることができません。どこに住んでいるか分からない、どこに働いているか分からないということであれば、そういう手続自体、入ることができないということになっています。また、午前中の津田委員の指摘にもあったように、資産がどこにあるかと、こういうことも大きなハードルになります。
直接質問はいたしませんけれども、ちょっと参考までに御紹介しますと、情報の収集、特に所在の調査というところは非常にハードルが高いんです。基本的にはできません、探偵でも使って自分で費用を掛けて調べることぐらいしかできないんですけれども。先日、私、一般調査の質疑の際に面会交流支援のことを聞きました。そのときに、最後ちょっと時間がなくて余り御紹介できなかったんですけれども、面会交流支援のうち、ハーグ条約に基づく外務省の支援というのはすごく進んでいて、子供に会いたいという親の申請を受けて、日本にいる例えばお母さんと子供に、じゃ、外国にいる親に会わせようということでその支援がスタートするわけなんですけれども、すごくパッケージ化されていて、まずその親子の所在を調査するところから政府がやってくれるんですね。
それを聞いて私、結構びっくりしたんですけれども、その申請があった件数のうち、全て所在がちゃんと把握できているということでした。どうやって調べるんですかと言ったら、学校に問い合わせたり、職場を探してとか、あらゆる手段を使って政府が探してくれると。その分かった住所については相手にはプライバシーもありますので直接は教えないそうなんですけれども、そういうことも外務省がやっているんだなということで驚きました。
それを例えば養育費の支払請求のためにやるということにはなかなかならないかもしれませんけれども、それぐらい要するにいろんなハードルがあるわけでありますので、養育費の支払確保の支援というのもやっぱり是非本気を出して、いろんなハードルがあるかもしれませんけれども、もうパッケージで、ここに相談すれば最後の支払の履行の確保まで必ず行くというような、それぐらい本気を出した支援が私は本来は検討していただきたいなと思うので、ちょっと要望として、意見として述べたいと思います。
養育費の強制的な確保の手続の改善、これを是非検討していくべきじゃないですかということを私質問しようと思ったんですが、津田先生がもう質問されましたので、ちょっとこれは飛ばさせていただきたいと思います。
それからもう一点、この強制的な確保の手続をするに当たって一人親家庭にとって私はハードルだなと思うのが費用ですね。せっかく差押えを申し立てても差押えができないかもしれない、そのために例えば五千円、六千円、裁判所に納めて手続をしようかと思うかというと、ちゅうちょする方が多いと思います。参考人質疑のときに、住民票を取るための六百円のお金すら給料日まで待ってくださいという一人親の方がいらっしゃるというお話を聞きまして印象に残っているんですけれども、そういうふうに本当に困っている方はそういう差押えの制度を申し立てることすらできないわけなので、やっぱりそこをしっかり考えていかなければならないなと思っております。
質問といたしましては、この養育費の確保のための裁判費用の援助の制度が実はございまして、貸付けの制度があると聞いておりますので、その内容と利用実績について教えてください。
○政府参考人(香取照幸君) 養育費の確保支援ということでは、今先生お話ありました母子父子寡婦福祉資金貸付金という制度がございます。これは様々な理由で母子、父子の生活上の必要なお金について貸付けをするということで、いろんな項目があるんですが、平成十五年から、今お話しの養育費の取得に関して裁判を行う場合の裁判費用についての貸付けというのを一項目立てていまして、こういう貸付けが行えるということになってございます。
一応、一人親になってから七年未満の一人親の方を対象にいたしまして、限度額百二十三万六千円、返済期間八年以内、保証人を立てれば無利子で貸し付けるという形になってございます。なってございますが、実績で申し上げますと、平成二十六年度二自治体、新規貸付け五件、平成二十四年度はゼロ、二十五年度は一件ということで、この二自治体と申し上げますのは東京都と名古屋市でございます。この費用は主に弁護士費用の貸付けということで利用がされているということでございます。
○佐々木さやか君 今あったように、利用を余りされていない制度になってしまっております。制度がないよりあった方が私はいいと思っているんですけれども、やっぱりこの利用実績を見ると、もっと利用しやすい、多くの方に使っていただいて意味のある制度にするにはどうしたらいいんだろうかということを考えていただいてもいいんじゃないかなと思うので指摘をさせていただきました。
ちょっと時間がないので私が言ってしまいますけれども、この制度が活用されていない原因はどういうところにあるかというと、事前のレクで厚労省さんの考えを聞きましたら、やっぱり周知が足りていないんだろうとおっしゃっていました。それも一つもちろんあると思います。ですから、使いたい方が使っていただけるように周知に取り組んでいただきたいと思います。
私が思うのは、もう一点は、法務省さんの管轄なんですけれども、法テラスという制度があります。民事法律扶助、要するに経済的に厳しい方に裁判の費用を支援をすると。これは、法テラスの方が弁護士さんに一括して立て替えて支払って、利用者の方は法テラスに毎月分割で三千円とか五千円とか、もちろん利息なしで保証人もなしで分割して払っていけばいいですよと、こういう制度があるんですね。今御紹介していただいたように、この厚労省の方でやっていただいている制度というのは保証人が要ると、その場合は無利息だけれども、保証人がない場合には年利一%掛かりますから、どう考えても法テラスの方がいいので、恐らくそっちを使っていただいている方が多いんだと思います。
この法テラスの方は資力基準があるんですけれども、東京にお住まいの方の場合、二人家族で月額手取り、家賃加算入れて約三十四万円、月額三十四万円の収入までは使えますので、大体の方が恐らく法テラスを使われているんだと思います。
厚労省の今紹介していただいた制度というのは所得制限が一つはないというふうに聞いておりますので、そういう意味では、法テラスを使えない、資力基準を満たさない方が必要があればそっちを使っていただいてもいいかなとは思います。
ただ、一点申し上げたいのは、要するに、この厚労省の方の制度は、ないよりはいいんですけれども、そういう比較的資力が高い方のための制度になってしまっているので、できれば、印紙代六百円も負担が大変だと言っているような方、法テラスも実費は自己負担になっていますので、そういう本当に困っている方のために役立つような制度をつくるにはどうしたらいいのかということを是非御検討いただきたいと思います。
そこで、そこでといいますか、この養育費確保の問題としては最後の質問として、これまでいろいろと申し上げましたけれども、改めて副大臣に、この養育費の確保の問題、様々、強制確保についてもハードルが高いという中でどうやって非同居親に義務を果たしていただくのかということについてどのようにお考えか、御所見を伺います。
○副大臣(とかしきなおみ君) お答えさせていただきます。
佐々木委員御指摘のとおり、この間からも議論していただいておりますけれども、この養育費の問題、これはとても重要であります。一人親家庭の生活の安定と子供の健やかな成長のためには、養育費の確保、これが大切であり、養育費の重要性に関する当事者の意識、やっぱり親がちゃんとその責任を負うんだと、別れてもそれはずっと変わらないんだというこの当事者意識を高めていくこと、そして当事者間での養育費の取決めを促すこと、そしてそれが実際実行されるようにしていくこと、これがとても重要であると考えております。
このため、昨年十二月に決定いたしましたすくすくサポート・プロジェクトに基づきまして、平成二十八年度から、新たに地方自治体における弁護士による養育費確保のための相談実施の支援をさせていただくとともに、養育費に関する法的な知識を分かりやすく解説したパンフレット、先ほどからお話出ておりますけれども、もうひな形がだんだんできてきているそうでございますけれども、分かりやすいパンフレットをしっかり作っていって、そして養育費の取決めをする際に使用する合意書のひな形、これを作って実行していただけるように促していきたいと思っております。
ということで、今後とも、これ関係省庁、十分に連携を取りながら養育費の確保に向けた取組をしていくことが大切だと思いますので、委員会の中でいろいろ御指摘いただきましたので、少しでも実現できるように考えていきたいと思います。
○佐々木さやか君 文科省に来ていただいているので、最後に一問、ちょっとテーマが変わりますけれども、一人親家庭支援という中で、非常に経済的に厳しいと、そうした状況にかかわらず子供たちに大学等への進学をできるような環境をつくっていく、そのために給付奨学金、非常に我が党もずっと訴えてまいりまして、先日申入れをさせていただきました、一人親家庭また経済的に困難な状況に置かれた子供たちへの給付奨学金、是非創設していただけないでしょうか。
○政府参考人(松尾泰樹君) お答え申し上げます。
文部科学省におきましては、今先生御指摘の一人親家庭のお子様方また経済的に困難な状況に置かれたお子様方を含めまして、意欲と能力のある学生等が経済的な理由によりまして進学を断念することがないように、経済的負担の軽減に取り組んでいきたいというふうに思ってございます。
そういう中で、現在、無利子奨学金の拡充、それから新たな所得連動返還型奨学金制度の導入など、そういったことで学生等の経済的負担の軽減を図っていきたいと思っておりますし、基本的にはこうした制度をまず着実に運用していくことで経済的負担の軽減を図っていきたいと考えておりますが、その上で、御指摘の給付型奨学金についてでございますけれども、財源の確保、それから対象者の選定など、導入するには更に検討が必要と考えております。
なお、先生から今御指摘ありました、公明党からも御要望いただいておりますし、また自民党からも御要望いただいております、給付型奨学金始め奨学金制度の充実に係る御提言をいただいているところでございまして、文科省におきましては、義家副大臣をトップといたします奨学金制度の改善・充実に向けたプロジェクトチームを設置をし、奨学金制度全体についてでございますが、その充実、改善に向けての検討を進めているところでございます。
いずれにいたしましても、経済的な理由により進学等を断念することがないよう、支援の充実に努めてまいりたいと思っております。
○佐々木さやか君 終わります。
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
二十六日の質問で、私は一人親世帯への支援として現金給付も現物給付も極めて不十分だということを指摘いたしました。今日の質疑の中でも養育費が大分取り上げられているというふうにお聞きをしています。
養育費、確かに私も、離婚しても親が子供の成長に対する責任を果たすものとしてこれは確保されることは大切だというふうに思います。ただ、私の二十六日の質問の後で大臣の答弁を聞いていましたら、離婚の場合にはまず自己責任で養育費を確保することが必要なんだと、児童扶養手当の拡充には予算も必要だからと、こういうふうな御趣旨の答弁もあったわけです。私は、ちょっとこれは政府の姿勢としてはどうなんだろうかというふうに思うんですね。養育費を当事者間の自己責任としていることには様々な問題があって、これなかなか養育費が確保できていないというのが現状だというふうに思うんですね。
ですから、二〇〇二年のときの児童扶養手当法の質疑のときにも、やはり例えば保証機関による代理徴収などの制度が必要ではないかと、こういう問題提起も行われていたところだと思うんですよ。
何か、養育費なのか、これが取れれば児童扶養手当の予算が抑えられるのかと、こういう議論ではなくて、やっぱり児童扶養手当というのは国が一人親家庭の児童の福祉のために支給するものであると、子供の成長、発達の権利を保障するものなんだと、やはりこういう立場でしっかりと議論していくことが必要ではないか、このことは指摘をしておきたいというふうに思います。
生別母子世帯の就労収入、今日資料もお配りいたしました。直近の二〇一一年で中央値が百九十六万円、これ、児童扶養手当を加えても二百四十六万円にとどまります。資料で配付した生活保護基準と比較をしますと、東京二十三区や横浜市など一級地ではこれは保護基準以下の収入となります。世帯の人数によっては二級地などでも保護基準以下になる可能性があると私は思います。
また、母子世帯の半数近くが就労状況はパート等、そのうちの八割が二百万円未満の収入で、これ平均収入を見ると百二十五万円、正規雇用でも二百万円未満という方は三〇%に達しないわけですね。ということは、やはり児童扶養手当を受給しても、その大半が生活保護基準以下ということになります。こういう貧困線を下回る、保護水準を下回る母子世帯にどういう対応をするのかということが問われていると思います。
前回、民進党、石橋委員も提起をしていましたが、やはり就労しながら生活保護を受けて生活を安定させる、そうやって子供と向き合う時間も確保する、こういうことも母子支援策としては位置付けるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○副大臣(とかしきなおみ君) お答えさせていただきます。
我が国の一人親の家庭は約八割が就業しておりますけれども、そのうちの約半数がパート、アルバイト等の不安定な就労形態にございます。生活保護を受給している方、これは母子世帯のうちの一四・四%でございますけれども、こういった方々も含め、経済的に様々な困難を抱えているというのが現状であるというのは認識しております。
このため厚生労働省では、すくすくサポート・プロジェクトに基づきまして、パソコン技能等の簡易な技能習得が対象となる自立支援教育訓練給付金の支給額の引上げ、さらにマザーズハローワークにおける一人親支援の体制の充実等を図らせていただいております。あと、いろんな様々な支援がございますので、これを自治体の窓口を一本化してワンストップ化の推進もさせていただきます。ということで、生活保護を受給している方を含め、一人親家庭の生活や就労を支援するためにきめ細やかな措置を講じることとさせていただいております。
これに加えて、生活保護制度におきましては、例えば就労意欲の喚起を目的としたセミナーの受講等に必要な費用を技能実習費として支給する仕組みがございまして、これにより生活保護を受給している一人親の方を支援することも可能となっております。
このように一人親の支援施策とさらに生活保護施策、この二つは適切な役割分担、連携を図ることで生活保護世帯を含めた一人親家庭の自立支援にしっかりと取り組んでいくことが大切であると、このように考えております。
○田村智子君 これ、シングルマザーが追い詰められて児童虐待になってしまうようなケースというのも幾つも起きているわけですね。だから、それは私は、窓口で生活保護を受けてはどうですかと勧めるぐらいのことを経済状況においてはやるべきだというふうに思うわけですよ。
現状では、残念ながら自治体の側はむしろ勧めるどころかブロックするという問題をいっぱい聞いていますので、この方向転換、姿勢の転換が必要だと、これは指摘をしておきたいと思うのと、もう一方、やはり当事者の方も保護申請をためらうというケースは多いと。そのためらわせる要因として、保護世帯への差別的な扱いとかあるいは保護世帯を蔑視するような行政の在り方、これをやっぱり指摘しなければなりません。ちょっと具体の事例を出します。
千葉県の死別母子世帯から相談があったんです。今年三月から生活保護受給となりました。この保護申請の前から二人の高校生があしなが育英会の奨学金を借りている、これは高校生活のためであり、また進学の準備金に充てるためだと。ところが、ケースワーカーさんが、これはほとんど収入認定することになってしまうと、借金にもなるので奨学金は辞退をという指導をされているんです。進学のためにはアルバイトで貯金するしかないんだよという指導で、これはケースワーカーの勝手な判断ではないんですね。奨学金は、給付であっても貸付けであっても高校卒業後の進学費用に充てることはできないというのが今の扱いだからです。
あしなが育英会の奨学金、これは年三十万円、三年間で九十万円ですから、貯金していれば、例えば専門学校などで専門的な技能を身に付ける、そのための準備金になるわけですよ、十分に。同じだけをアルバイトで稼ごうとすれば、これは勉学の時間を削ることになってしまいます。現行の生活保護の収入認定のルール、これが奨学金を辞退させて高校生に働けと求めると。これは私は本末転倒ではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今、生活保護の問題と大学進学の問題、なかんずく奨学金との関係のお尋ねでございました。
生活保護は、利用できる資産、能力、その他あらゆるものを活用することを前提として行われるわけでありますが、生活保護世帯の子供たちの自立を支援するために、奨学金の使途を確認をして、高校の修学旅行費とか私立高校の授業料などに充てる場合については収入認定から除外するということを今やっているわけでございます。
一方で、高校卒業後は高校への就学を通じて得られた技能や知識を生かして就労をすべきという考え方から、保護を受けながら大学の就学は認めていないというのが現状でございます。こうした生活保護の原則や生活保護を受給されていない方との均衡を図る観点から、奨学金を大学入学料や授業料に充てる場合の収入認定除外は現行運用上は認めていないというものでございます。
生活保護制度におきまして、最低生活を保障しながらどこまで収入認定から除外をするかということについては、生活保護の原則に留意をしながら、生活保護世帯の子供たちの自立を助長するという観点なども踏まえて、今後、適切に検討をしてまいりたいというふうに考えております。
○田村智子君 今御答弁の現行運用を是非見直してほしいんですよ。
〔委員長退席、理事羽生田俊君着席〕
これ、例えば文部科学省の家計費の調査なんかを見ますと、親の学歴が子供の学習意欲に直結している、全国学力テストの結果に明確に表れていると、こういう研究調査がもう出されているわけですよ。そうすると、保護世帯の子供さんはもう高校を卒業したら働くのが当たり前なんだよと。私は、それでは貧困の連鎖を断ち切るということになっていかない。高校で習得した技能を生かして就職と言いますけど、それで果たして本当に正規の職業に就けるのか、それで本当に安定した生活保障になっていくのか、これ今の時点で考えると極めて疑問ですよ。
それで、生活家電の場合、全世帯の七割に普及すれば保護世帯でも保有を認めるという運用がなされてきたんです。これでクーラーの保有というのも認められるようになってきたわけですよね。今、大学や専門学校への進学というのは七割を超えているんです。これはやっぱり教育を受ける権利を保障するというこの点からも、生活保護世帯の高校生に、卒業したら働けじゃなくて、その先の進学の道があるよと、こういう運用を是非とも検討していただきたい。いかがでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 生活保護の制度というのは、もう御案内のように、憲法第二十五条の文化的な最低限度の生活を営む権利を有するということから生活保護法に定められているわけであって、最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とすると。
今、子供さんの大学進学の話でございまして、確かに貧困の連鎖が起きないようにするためにはやはり自らの能力アップをしていくことによって将来の自立に結び付けるという、そういう考え方はそのとおりだと思いますし、我々もそういう形で若い人たちを応援をしていくということは大事なことだと思っております。
今、この生活保護の制度における奨学金の中での扱いについての、もう少し収入認定の除外に、拡大をもっと考えるべきじゃないかと、こういうことだろうと思います。その問題意識は今申し上げたとおりでございますけれども、今後、先ほど申し上げましたように、生活保護世帯の子供たちの何しろ自立をどう促していくかということが大事でございますので、その点をよく踏まえて今後しっかりと検討をしてまいりたいと思います。
○田村智子君 是非前向きな検討をお願いします。
この千葉の母子世帯についてもう一点指摘したいんです。
現在、この方は千葉の郡部の自宅に住んでいますが、以前住んでいた自治体で国保料の滞納があって、それを理由に以前住んでいた自治体がその自宅を差し押さえてしまっているんですよ。しかし、直ちに換金できない住宅の場合、このような扱いはできないはずです。ところが、このことを指摘をしても、その自治体は、差押えを解除しないどころか、換価処分もできるんだと、こう豪語をしています。
地方税法十五条の七第一項二号は、滞納処分をすることによってその生活を著しく窮迫させるおそれがあるときは滞納処分の停止ができるとしています。この要件は、生活保護若しくは滞納処分によって生活保護になるおそれがある場合ということです。この法令に照らしても、このような滞納処分、当然停止すべきですし、やはり私が指摘した法令を改めて自治体に周知すべきだと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(唐澤剛君) 滞納処分の執行停止の要件、これは、先生今御指摘いただきましたとおり、滞納処分をすることによって生活を著しく窮迫させるおそれがあるときとは、滞納者の財産につき、滞納処分を行うことにより滞納者が生活保護法の適用を受けなければ生活を維持できない程度の状態になるおそれのある場合とされているわけでございます。
個別の事情は様々ございますけれども、一般的に申し上げれば、現に生活保護を受給している人は、滞納処分を行うことにより生活を著しく窮迫させるおそれがあるときに該当すると考えられるわけでございまして、速やかに執行停止を行う必要が高いと考えております。
厚生労働省といたしましては、これまでもこういうことは申し上げておりますけれども、様々な機会を捉えて周知を図ってまいりたいと考えております。
○田村智子君 もう一点、生活保護の問題で、これ不正受給とされる件数で多いのは、高校生など保護世帯の子供のアルバイトの収入が未申告だったという場合です。厚生労働省は二〇一二年七月に事務連絡を出して、このようなケースでは生活保護法六十三条ではなく原則七十八条を適用して費用徴収をすることとしました。
高校生のアルバイト収入の使途、これは就学、進学、修学旅行などで、申告すれば使った分は全額収入認定から除外をされる、これは六十三条では除外して収入認定になるんですけれども、七十八条適用をすると、使ってしまった分も含めて全部返しなさいということになるわけです。勤労控除も未成年控除も適用しないという極めて厳しい徴収になるわけですね。
保護を受けながらぜいたくをするために所得を隠す、これは悪質だと思います。七十八条適用、仕方がないと思います。しかし、高校生が制度を十分理解せずにアルバイトをして、その使途が学業のためであって既に使ってしまっていても全額返還させる、こういう扱いは余りにも酷だと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 生活保護制度は、もう先ほど来申し上げているとおり、資産、能力、あらゆるものを活用していただくということが要件であるわけでありますが、となれば収入がある場合の申告義務というのは、これは高校生を含めた未成年者に対しても同様に適用されるというのが現行の制度でございます。
したがって、不正に受給する意思がなくて申告を行わなかったことにやむを得ない理由があると認められるなどの特別な場合は別としまして、そういったことは除き、高校生のアルバイト収入であってもその申告がなかった場合には、収入未申告によって保護費の返還を求めるということとなっているわけでございます。
〔理事羽生田俊君退席、委員長着席〕
このため、アルバイトをする高校生に収入申告義務を理解をしていただくために、福祉事務所において、保護開始時であったり、あるいは受給中については年に一回以上、申告義務の内容について説明をすることとなっており、その説明を御理解をいただいた上で適切に対処していただくということで、この制度を運用していっていただきたいというふうに考えているところでございます。
○田村智子君 これ、昨年三月十一日に、未申告のアルバイトについて生活保護法七十八条が適用された、このことについて横浜地裁川崎支部での判決がありました。これは、事実関係省略しますけれども、判決では、高校生のアルバイト収入が申告されなかったことを理由に七十八条を適用するに当たっては、その収入の使途、使い道ですね、これについて少なくとも検討の対象とすべきものだと、こう指摘をしています。また、アルバイト収入全体は、本人の修学旅行や進学に有効に使われていたと、このことを指摘して、アルバイト収入全体について、これを申告せずに保護を受けたことをもって直ちに不実の申請その他不正な手段により保護を受けたと断ずるには原告にとって酷だと、こういう指摘もしているわけですね。
それで、大臣、今丁寧に説明も高校生に行うべきだということなんですけれども、保護開始のときには小学生だった、中学生だった、それから高校生になったという場合にちゃんと説明がされていないということは多々あるわけですよ。お母さんに用紙渡してね、お母さん、これ説明しておいてね、本人の署名をもらっておいてねと。お母さんが、ケースワーカーさんが来てこれ置いていったから署名しておいてね、高校生よく理解しないまま署名をしたと。この署名したことをもって、あなたは申告すると約束をしたのに申告しなかった、不実だからと。たとえ修学旅行のためにお金使ったとしても、これは稼いだ分は全部収入認定、遡っても収入認定、遡って返せと。これは、私は高校生の気持ちを物すごく傷つける、自立に対してむしろ阻害にもなりかねないというふうにも思うわけですよ。
だから、高校生のアルバイトについての七十八条適用、これやっぱり見直すべきだというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたように、アルバイトをする生活保護世帯の高校生に対しては、収入申告義務を負うことをしっかり御理解をいただくということが必要であって、福祉事務所は、先ほど申し上げたとおり、受給中については年に一遍以上、少なくとも、この申告義務の内容についての説明をすることということになっているわけでございます。
福祉事務所が、例えば訪問する際に、保護開始時や、受給中については年に一遍以上、保護のしおりを配付するなどによって、世帯主と高校生を含む世帯に収入申告義務について十分説明をするとともに、その際、確認書の様式を示しながら本人による署名を求めることとしているわけでございまして、こうした収入申告義務に関してしっかりと説明をすることについては、自治体による生活保護行政の実施状況を厚生労働省が監督する場で確認をしているほか、全国会議等を通じて周知徹底をしており、今後とも機会を捉えて適切に対応しなければならないと考えており、高校生が全く認識をしていないという状況をなくしていく上で、理解の下でこの制度を運用をしていくということが好ましい形ではないかというふうに思います。
○田村智子君 終わります。
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。
今日も午前中議論がございまして、また先日の審議の際も養育費については大変充実した審議が行われたわけでございますけれども、私もこの問題、関心を持っておりまして、私の方からも是非何点か少し具体的なところを質問をさせていただきたいと思います。
この養育費の問題は、私は子供の視点から考えなければならない問題だと思っております。この児童扶養手当という制度もそうですけれども、子供の生活、養育に関しては、親の経済状態、また様々な事情にかかわらずしっかりと国の方で支えていくと、そのための一つの制度としてこの児童扶養手当があるわけであります。ですから、まず例えば養育費の確保をしてからにしてくださいとか、そういったことはあってはならないわけであります。
とはいえ、これまでも議論にあったとおり、本来子供の養育の義務を負っている別居親が養育費の履行を不当に免れるということはやはりあってはならないわけでありまして、どのようにその確保を支援をしていくかということが重要なわけでございます。それで、離婚届の際に、この養育費の支払の合意についてはできるだけ早い段階で当事者間で合意がされるのが適切だと思いますので、この離婚届を提出する段階で話合いがなされることが望ましいわけでございます。
それに関しては、先日もありましたけれども、平成二十四年四月から改正民法が施行されるに伴って、離婚届に、養育費の分担について取決めをしている、していないというチェックの欄が設けられました。しかしながら、先日、有村委員からも御指摘があったわけでございますけれども、その欄だけを見てなかなか当事者が、特に義務者が養育費の支払をしなきゃいけないんだと、こういうことを認識できるかというと少し疑問があると私も思っております。
そこで、この段階の支援としては、法務省の方で、養育費の取決めに関する合意書のひな形またパンフレットをこれから作成をして配付をするということで今作成中だというふうに聞いております。この合意書のひな形またパンフレットについては、是非分かりやすく、また実効性のあるものにしていただきたいと思います。
このパンフレットに、有村委員からも御指摘がありましたけれども、まず一番最初の方に分かりやすく大きな字で、是非、親権者ではなくても親であることは変わりがないので法的に養育費の支払をする義務があるんだということを大きく分かりやすく書いていただきたいと思いますけれども、お願いできますでしょうか。
○政府参考人(金子修君) 貴重な御意見、ありがとうございます。
今後、作成する予定の御指摘の養育費に関するパンフレットにおきましては、非監護親につきましても養育費の支払義務があるということを明示して、それから養育費に関する法的な知識を分かりやすく解説し、また、協議で養育費の取決めをすることができない場合に取り得る法的手段等についても分かりやすく解説することを予定しております。
○佐々木さやか君 きちんと分かりやすく書いていただくということを約束していただいたんだと思います。よろしくお願いいたします。
今、強制執行の手続についても書いていただくというようなことがありましたけれども、それも是非お願いをしたいですし、例えばですけれども、この合意書も、合意書にある、ひな形にある項目について話し合って決めることができれば、それをそのまま公証役場に持っていった際に公正証書として作成できる必要記載事項を漏れなく入れるとか、いろいろとこの実効性ということを是非考えていただきたいと思います。
それから、離婚届のチェック欄を設けたということは一歩前進ということで評価しているんですけれども、このチェック欄というのは、取決めをした、取決めをしていないということしかチェックをするようになっておりませんので、その内容が適切かどうかというのは分からないわけですね。
二十六日の参考人質疑でも島崎参考人が、取決めをしているといっても払わない旨の取決めをしているかもしれませんしということをおっしゃっていましたが、そういうこともあり得るわけで、やはりこの内容がどういうものであるか分析していくことも必要だと今後思いますし、また、できるだけ、せっかくですから離婚届作成時に適切な合意がなされるようにしていただきたいと思います。
それから、法務省の方では離婚届にチェックをしていただく目標として七〇%ですかね、これを目標として掲げてやっていただくそうですけれども、養育費についてチェックをするだけではなくて、きちんと養育費の専門的なアドバイスを受けられる相談機関、相談窓口に相談をしたと、この割合も私は本来は目標を立ててやっていっていただくべきではないかなというふうに思っております。是非そこは、質問はいたしませんけれども、厚労省の方でも私は取り組んでいただきたいと思います。
パンフレットの関係につきましては、相談窓口、様々あると思いますので、これも是非分かりやすくパンフレットに記載をしていただきたいと思います。お願いできますでしょうか。
○政府参考人(金子修君) パンフレットは、その性質上、関係する方々の個別のニーズに細かくお応えするということが難しい面があります。したがいまして、個別にパンフレットを見た方が相談できるように、パンフレットに法テラスや母子家庭等就業・自立支援センター等の相談機関の連絡先を明示しまして、養育費の支払に関して御相談ができるような記載を作成してまいりたいというふうに思います。
○佐々木さやか君 よろしくお願いいたします。
今おっしゃっていただいたように、母子家庭等就業・自立支援センター、この連絡先もパンフレットには書いてくださるということであります。この母子家庭等就業・自立支援センター、連絡先が書いてある、それを受け取った方が、じゃ、ここで養育費の相談をしようかなと思ったときに実際にできるかどうかということも重要でありまして、この母子家庭等就業・自立支援センター、取組を進めていただいているわけでありますけれども、残念ながら現時点では全国で行われているわけではないというふうに聞いております。
パンフレットにせっかく書いていてもうちの近くにはないということでは困りますので、是非これを普及をしっかりと進めていただきたいと思うんですけれども、まず、この母子家庭等就業・自立支援センターでの養育費の専門相談の実施状況と、それから普及のための取組についてお聞きしたいと思います。
○政府参考人(香取照幸君) 養育費の問題もそうですし、それから面会交流等もそうなんですが、最終的に離婚届に判を押して出す前の段階で、離婚に至るプロセスの中で様々考えなければいけない問題についてやはり御相談申し上げると。あるいは、離婚の後、今日の午前中の質疑にもありましたが、様々なきめの細かい施策を私ども用意しているわけでございますけれども、それをきちんと御説明し、理解をし、その人ごとに施策をどうやって利用していくかということを御相談申し上げると。そういった体制をきちんと用意するということが恐らく私どもの仕事ということになろうかと思います。
今お話ありました母子家庭就業支援センターですが、平成十九年から、今申し上げましたような養育費の取決めでありますとか、あるいは支払の確保でありますとか、あるいは面会交流でありますとか、こういったことにつきまして専門に相談に応じる専門員というのを配置をいたしまして御相談申し上げているところでございます。
この専門支援員の配置をして行っている相談でございますが、二十六年度末で全体のセンターのうちで約三割ということで、配置されております専門員が人数でいいますと約百名ということでございます。これにつきましては、やはり今後ともこういった相談がきちんとできるように体制を強化していく必要があるというふうに思っております。あわせて、各センターで行われています効果的な取組については、やはりこれは横展開していくということをしようと思っています。
それからもう一つ、二十八年度からは、特に養育費とか慰謝料、財産分与等、法律的な相談の問題についてやはり相談できる体制を用意するということで、弁護士等による法律相談を行っている自治体について、これを支援申し上げるということをしております。これに関しましては、自治体と弁護士会との連携ですとか、そういったことで弁護士会の御協力をお願いするということで、自治体の取組への御協力を日弁連、日本弁護士連合会の方にも御相談申し上げて、少しそういった法制面からの御支援も強化をいたしたいと思っております。
今後とも、こういった取組につきましては積極的に強化をしていきまして、養育費の確保、面会交流等々、お子様の最善の利益が図れるような形で母子家庭の生活が支えられるようにということで努力してまいりたいと思っております。
○佐々木さやか君 今、母子家庭等就業・自立支援センターのうち三割に専門の相談支援員が配置されていて、人数にいうと六名ということで、事前のレクですとたしか全国で十六か所でしたかね、ちょっと今確認する書類が見当たらないので記憶による御紹介になりますけれども、全国都道府県四十七あるということだけを考えても、やはり少ないなと。支援員、相談員の確保ということも課題でありますけれども、パンフレットに書いていただいても、うちの近くではやっていないという人が多くなってしまうことになりますので、是非進めていっていただきたいと思います。
今御紹介があった、弁護士さんが専門的な相談に乗ってくださるようにもしていきたいということでありましたけれども、これも非常に有益だと思いますので、是非やっていただきたいと思います。
しかし、この一人親家庭支援についてはワンストップというのが今回もキーワードになっておりまして、例えば弁護士さんが相談窓口のある機関に常駐するかというと、恐らくそれはなかなか難しいと思います。ですから、出張で来ていただける場合ももちろんあると思いますけれども、せっかく相談に行ったんだけれども、また来週の火曜日に来てくださいねとか、せっかく行ったけれども、どこどこの弁護士会の無料法律相談の方がありますからということで、そっちを紹介されたと。それも大事なんですけれども、これについても、一日でも休みを取るのが非常に大変というようなお声があることを考えますと、やはりできるだけワンストップでやれるように、包括的に様々な支援を受けれるように工夫をしていただきたいと思いますので、お願いを申し上げておきたいと思います。
それから、先ほども申し上げたように、離婚届のチェック欄が設けられて大分時間もたってきました。これまでの実績がどのようであったのかとか、それから、本来であれば、合意した内容がどのような形で、またそれがどの程度履行されているのかということも調査をして分析をして、今後の養育費確保支援、実効性があるものになるようにしていっていただきたいと思うんですね。こういう離婚届のチェック欄の合意内容、履行状況の実態調査、法務省の方で是非やっていただけないでしょうか。
○政府参考人(金子修君) 離婚届書のチェック欄で養育費の分担について取決めをしたという方について、実際に支払がされているかどうかということを調査することはどうかというお尋ねかと思います。
そのような調査は、言わば国がチェック欄の記載を契機に把握した情報を基に追跡していくような調査ということになります。そうしますと、当事者のプライバシーの配慮が必要になるほか、チェック欄に記載さえしなければこのような調査を受けることもなかったというような発想につながってもいけません。そうしますと、チェック欄を記載することをちゅうちょするということにもなりかねないという問題があるように思います。
他方、養育費確保のための施策を実効的なものとするためには、養育費の取決め率や受給率について履行状況をきちんと調査するということが必要であることは間違いないと思います。これは厚労省の方の話かと思いますが、平成二十八年には母子世帯等調査を行うということを検討されているものと承知していますけれども、例えば調査項目につきまして我々として何か協力できるような御意見が申し上げられれば、そういうような形で協力していきたいというふうに思っております。
○佐々木さやか君 法務省ではできないので厚労省でやってくださいというような感じにも聞こえましたけれども、やっぱり調査というのは重要ですし、行うに当たってプライバシーに配慮するとか任意性を確保するとか、もちろん当然のことでありまして、方法についてはいろいろあるとは思うんですね。
午前中の津田委員の議論にもございましたように、例えば強制執行が養育費の履行について成功しているかどうかとか、どれぐらいの件数があるかどうかということもまだ分からないわけですし、この離婚届のことについても法務省の方でやってきてくださったことですから、やっぱりここは、せっかくやった施策についてしっかりとフォローの調査をしていくというのは、法務省も私は是非責任を持ってやっていただきたいなと思います。
今、次に質問しようと思った厚労省の方の全国母子家庭等調査、今年やるということでありますので、これについては、このように一人親家庭の支援ということを非常に充実した議論も行って進めていくという中での調査でありますので、是非実効性のあるような調査にしていただきたいと思いますけれども、どのような調査項目を行う予定なのか、またこの養育費の確保支援という関係ではどのように考えているんでしょうか。
○政府参考人(香取照幸君) 度々この委員会の御審議でも御答弁で引用しておりますが、全国母子世帯等調査というのを私ども五年に一度行っております。これは離婚した一人親家庭等の養育費の取決め状況あるいは受取状況についてもこの中で調査を行っております。現在の調査項目は、養育費については、主な相談相手と取決め状況、それから取決めをしていない理由、これは答弁でも引用させていただきましたが、あと受取の状況と養育額、こういうことになってございます。
今回、今お話ありましたように、二十八年度は五年に一度の調査を行うということで、今回は昨年の十二月のすくすくサポート・プロジェクトの中でも幾つか私どもとして取組をしなきゃいけないといったことでした項目ございます。その中でも養育費と面会交流については非常に大きな項目ということになりますので、この関係につきましては調査項目についてもうちょっと充実したものにしなければならないと思っておりまして、現在検討しております。
これは、調査自体は、調査設計は私どもでいたしますが、都道府県、政令市、中核市を経由して国勢調査の調査対象地域でのサンプリングで行うということになりますので、実施体制との関係もございますので、自治体とも御相談はいたしながら進めたいと思っておりますが、この問題については少しきちんと、もうちょっと詳細なことが分かるように、この後の私どもの政策立案にも資することができるような、そういった調査の項目にしてまいりたいと思っております。
○佐々木さやか君 よろしくお願いいたします。
合意が当事者間でできたとしても、それが任意に支払われない場合には、じゃ、それをどうやって確保していくか、強制的に支払を確保していくかという問題になります。
皆さんもう既に御存じのとおりかと思いますが、この強制的な確保がなかなか今の日本の制度の中で難しいということの原因の私はまず一つは、やはり手続が非常に複雑で、時間とお金と手間が掛かるというところが一つあります。当事者間で合意をしただけでは、支払がされなくても強制執行はできません。公証役場に行って公正証書という形で作っておかなければ債務名義にはならないと。それをしていなかった場合には、調停を申し立てて、そこで合意をして調停調書を作らなきゃいけないと。この調停も、申し立てると始まるまで大体一か月ぐらい掛かりますし、一か月に一回ぐらいのペースで進みますので、半年とか一年ぐらいもうすぐたってしまう場合もあります。
また、裁判を起こすということになると、これも、申し立ててから一か月ぐらいたたないと始まらないですし、裁判で一年ぐらい掛かるということもよくあることでありまして、そういう時間と手間を掛けるというのは、普通の御家庭でも大変だと思いますけれども、一人親家庭の場合には更に大変なのではないかなというふうに思います。
それから二つ目の点としては、私も津田委員と同じ考えのところが多くございまして、やはり情報というところ、そういう調停を申し立てる、また裁判を申し立てるという場合でも、相手方のまず所在が分からないと申し立てることができません。どこに住んでいるか分からない、どこに働いているか分からないということであれば、そういう手続自体、入ることができないということになっています。また、午前中の津田委員の指摘にもあったように、資産がどこにあるかと、こういうことも大きなハードルになります。
直接質問はいたしませんけれども、ちょっと参考までに御紹介しますと、情報の収集、特に所在の調査というところは非常にハードルが高いんです。基本的にはできません、探偵でも使って自分で費用を掛けて調べることぐらいしかできないんですけれども。先日、私、一般調査の質疑の際に面会交流支援のことを聞きました。そのときに、最後ちょっと時間がなくて余り御紹介できなかったんですけれども、面会交流支援のうち、ハーグ条約に基づく外務省の支援というのはすごく進んでいて、子供に会いたいという親の申請を受けて、日本にいる例えばお母さんと子供に、じゃ、外国にいる親に会わせようということでその支援がスタートするわけなんですけれども、すごくパッケージ化されていて、まずその親子の所在を調査するところから政府がやってくれるんですね。
それを聞いて私、結構びっくりしたんですけれども、その申請があった件数のうち、全て所在がちゃんと把握できているということでした。どうやって調べるんですかと言ったら、学校に問い合わせたり、職場を探してとか、あらゆる手段を使って政府が探してくれると。その分かった住所については相手にはプライバシーもありますので直接は教えないそうなんですけれども、そういうことも外務省がやっているんだなということで驚きました。
それを例えば養育費の支払請求のためにやるということにはなかなかならないかもしれませんけれども、それぐらい要するにいろんなハードルがあるわけでありますので、養育費の支払確保の支援というのもやっぱり是非本気を出して、いろんなハードルがあるかもしれませんけれども、もうパッケージで、ここに相談すれば最後の支払の履行の確保まで必ず行くというような、それぐらい本気を出した支援が私は本来は検討していただきたいなと思うので、ちょっと要望として、意見として述べたいと思います。
養育費の強制的な確保の手続の改善、これを是非検討していくべきじゃないですかということを私質問しようと思ったんですが、津田先生がもう質問されましたので、ちょっとこれは飛ばさせていただきたいと思います。
それからもう一点、この強制的な確保の手続をするに当たって一人親家庭にとって私はハードルだなと思うのが費用ですね。せっかく差押えを申し立てても差押えができないかもしれない、そのために例えば五千円、六千円、裁判所に納めて手続をしようかと思うかというと、ちゅうちょする方が多いと思います。参考人質疑のときに、住民票を取るための六百円のお金すら給料日まで待ってくださいという一人親の方がいらっしゃるというお話を聞きまして印象に残っているんですけれども、そういうふうに本当に困っている方はそういう差押えの制度を申し立てることすらできないわけなので、やっぱりそこをしっかり考えていかなければならないなと思っております。
質問といたしましては、この養育費の確保のための裁判費用の援助の制度が実はございまして、貸付けの制度があると聞いておりますので、その内容と利用実績について教えてください。
○政府参考人(香取照幸君) 養育費の確保支援ということでは、今先生お話ありました母子父子寡婦福祉資金貸付金という制度がございます。これは様々な理由で母子、父子の生活上の必要なお金について貸付けをするということで、いろんな項目があるんですが、平成十五年から、今お話しの養育費の取得に関して裁判を行う場合の裁判費用についての貸付けというのを一項目立てていまして、こういう貸付けが行えるということになってございます。
一応、一人親になってから七年未満の一人親の方を対象にいたしまして、限度額百二十三万六千円、返済期間八年以内、保証人を立てれば無利子で貸し付けるという形になってございます。なってございますが、実績で申し上げますと、平成二十六年度二自治体、新規貸付け五件、平成二十四年度はゼロ、二十五年度は一件ということで、この二自治体と申し上げますのは東京都と名古屋市でございます。この費用は主に弁護士費用の貸付けということで利用がされているということでございます。
○佐々木さやか君 今あったように、利用を余りされていない制度になってしまっております。制度がないよりあった方が私はいいと思っているんですけれども、やっぱりこの利用実績を見ると、もっと利用しやすい、多くの方に使っていただいて意味のある制度にするにはどうしたらいいんだろうかということを考えていただいてもいいんじゃないかなと思うので指摘をさせていただきました。
ちょっと時間がないので私が言ってしまいますけれども、この制度が活用されていない原因はどういうところにあるかというと、事前のレクで厚労省さんの考えを聞きましたら、やっぱり周知が足りていないんだろうとおっしゃっていました。それも一つもちろんあると思います。ですから、使いたい方が使っていただけるように周知に取り組んでいただきたいと思います。
私が思うのは、もう一点は、法務省さんの管轄なんですけれども、法テラスという制度があります。民事法律扶助、要するに経済的に厳しい方に裁判の費用を支援をすると。これは、法テラスの方が弁護士さんに一括して立て替えて支払って、利用者の方は法テラスに毎月分割で三千円とか五千円とか、もちろん利息なしで保証人もなしで分割して払っていけばいいですよと、こういう制度があるんですね。今御紹介していただいたように、この厚労省の方でやっていただいている制度というのは保証人が要ると、その場合は無利息だけれども、保証人がない場合には年利一%掛かりますから、どう考えても法テラスの方がいいので、恐らくそっちを使っていただいている方が多いんだと思います。
この法テラスの方は資力基準があるんですけれども、東京にお住まいの方の場合、二人家族で月額手取り、家賃加算入れて約三十四万円、月額三十四万円の収入までは使えますので、大体の方が恐らく法テラスを使われているんだと思います。
厚労省の今紹介していただいた制度というのは所得制限が一つはないというふうに聞いておりますので、そういう意味では、法テラスを使えない、資力基準を満たさない方が必要があればそっちを使っていただいてもいいかなとは思います。
ただ、一点申し上げたいのは、要するに、この厚労省の方の制度は、ないよりはいいんですけれども、そういう比較的資力が高い方のための制度になってしまっているので、できれば、印紙代六百円も負担が大変だと言っているような方、法テラスも実費は自己負担になっていますので、そういう本当に困っている方のために役立つような制度をつくるにはどうしたらいいのかということを是非御検討いただきたいと思います。
そこで、そこでといいますか、この養育費確保の問題としては最後の質問として、これまでいろいろと申し上げましたけれども、改めて副大臣に、この養育費の確保の問題、様々、強制確保についてもハードルが高いという中でどうやって非同居親に義務を果たしていただくのかということについてどのようにお考えか、御所見を伺います。
○副大臣(とかしきなおみ君) お答えさせていただきます。
佐々木委員御指摘のとおり、この間からも議論していただいておりますけれども、この養育費の問題、これはとても重要であります。一人親家庭の生活の安定と子供の健やかな成長のためには、養育費の確保、これが大切であり、養育費の重要性に関する当事者の意識、やっぱり親がちゃんとその責任を負うんだと、別れてもそれはずっと変わらないんだというこの当事者意識を高めていくこと、そして当事者間での養育費の取決めを促すこと、そしてそれが実際実行されるようにしていくこと、これがとても重要であると考えております。
このため、昨年十二月に決定いたしましたすくすくサポート・プロジェクトに基づきまして、平成二十八年度から、新たに地方自治体における弁護士による養育費確保のための相談実施の支援をさせていただくとともに、養育費に関する法的な知識を分かりやすく解説したパンフレット、先ほどからお話出ておりますけれども、もうひな形がだんだんできてきているそうでございますけれども、分かりやすいパンフレットをしっかり作っていって、そして養育費の取決めをする際に使用する合意書のひな形、これを作って実行していただけるように促していきたいと思っております。
ということで、今後とも、これ関係省庁、十分に連携を取りながら養育費の確保に向けた取組をしていくことが大切だと思いますので、委員会の中でいろいろ御指摘いただきましたので、少しでも実現できるように考えていきたいと思います。
○佐々木さやか君 文科省に来ていただいているので、最後に一問、ちょっとテーマが変わりますけれども、一人親家庭支援という中で、非常に経済的に厳しいと、そうした状況にかかわらず子供たちに大学等への進学をできるような環境をつくっていく、そのために給付奨学金、非常に我が党もずっと訴えてまいりまして、先日申入れをさせていただきました、一人親家庭また経済的に困難な状況に置かれた子供たちへの給付奨学金、是非創設していただけないでしょうか。
○政府参考人(松尾泰樹君) お答え申し上げます。
文部科学省におきましては、今先生御指摘の一人親家庭のお子様方また経済的に困難な状況に置かれたお子様方を含めまして、意欲と能力のある学生等が経済的な理由によりまして進学を断念することがないように、経済的負担の軽減に取り組んでいきたいというふうに思ってございます。
そういう中で、現在、無利子奨学金の拡充、それから新たな所得連動返還型奨学金制度の導入など、そういったことで学生等の経済的負担の軽減を図っていきたいと思っておりますし、基本的にはこうした制度をまず着実に運用していくことで経済的負担の軽減を図っていきたいと考えておりますが、その上で、御指摘の給付型奨学金についてでございますけれども、財源の確保、それから対象者の選定など、導入するには更に検討が必要と考えております。
なお、先生から今御指摘ありました、公明党からも御要望いただいておりますし、また自民党からも御要望いただいております、給付型奨学金始め奨学金制度の充実に係る御提言をいただいているところでございまして、文科省におきましては、義家副大臣をトップといたします奨学金制度の改善・充実に向けたプロジェクトチームを設置をし、奨学金制度全体についてでございますが、その充実、改善に向けての検討を進めているところでございます。
いずれにいたしましても、経済的な理由により進学等を断念することがないよう、支援の充実に努めてまいりたいと思っております。
○佐々木さやか君 終わります。
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
二十六日の質問で、私は一人親世帯への支援として現金給付も現物給付も極めて不十分だということを指摘いたしました。今日の質疑の中でも養育費が大分取り上げられているというふうにお聞きをしています。
養育費、確かに私も、離婚しても親が子供の成長に対する責任を果たすものとしてこれは確保されることは大切だというふうに思います。ただ、私の二十六日の質問の後で大臣の答弁を聞いていましたら、離婚の場合にはまず自己責任で養育費を確保することが必要なんだと、児童扶養手当の拡充には予算も必要だからと、こういうふうな御趣旨の答弁もあったわけです。私は、ちょっとこれは政府の姿勢としてはどうなんだろうかというふうに思うんですね。養育費を当事者間の自己責任としていることには様々な問題があって、これなかなか養育費が確保できていないというのが現状だというふうに思うんですね。
ですから、二〇〇二年のときの児童扶養手当法の質疑のときにも、やはり例えば保証機関による代理徴収などの制度が必要ではないかと、こういう問題提起も行われていたところだと思うんですよ。
何か、養育費なのか、これが取れれば児童扶養手当の予算が抑えられるのかと、こういう議論ではなくて、やっぱり児童扶養手当というのは国が一人親家庭の児童の福祉のために支給するものであると、子供の成長、発達の権利を保障するものなんだと、やはりこういう立場でしっかりと議論していくことが必要ではないか、このことは指摘をしておきたいというふうに思います。
生別母子世帯の就労収入、今日資料もお配りいたしました。直近の二〇一一年で中央値が百九十六万円、これ、児童扶養手当を加えても二百四十六万円にとどまります。資料で配付した生活保護基準と比較をしますと、東京二十三区や横浜市など一級地ではこれは保護基準以下の収入となります。世帯の人数によっては二級地などでも保護基準以下になる可能性があると私は思います。
また、母子世帯の半数近くが就労状況はパート等、そのうちの八割が二百万円未満の収入で、これ平均収入を見ると百二十五万円、正規雇用でも二百万円未満という方は三〇%に達しないわけですね。ということは、やはり児童扶養手当を受給しても、その大半が生活保護基準以下ということになります。こういう貧困線を下回る、保護水準を下回る母子世帯にどういう対応をするのかということが問われていると思います。
前回、民進党、石橋委員も提起をしていましたが、やはり就労しながら生活保護を受けて生活を安定させる、そうやって子供と向き合う時間も確保する、こういうことも母子支援策としては位置付けるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○副大臣(とかしきなおみ君) お答えさせていただきます。
我が国の一人親の家庭は約八割が就業しておりますけれども、そのうちの約半数がパート、アルバイト等の不安定な就労形態にございます。生活保護を受給している方、これは母子世帯のうちの一四・四%でございますけれども、こういった方々も含め、経済的に様々な困難を抱えているというのが現状であるというのは認識しております。
このため厚生労働省では、すくすくサポート・プロジェクトに基づきまして、パソコン技能等の簡易な技能習得が対象となる自立支援教育訓練給付金の支給額の引上げ、さらにマザーズハローワークにおける一人親支援の体制の充実等を図らせていただいております。あと、いろんな様々な支援がございますので、これを自治体の窓口を一本化してワンストップ化の推進もさせていただきます。ということで、生活保護を受給している方を含め、一人親家庭の生活や就労を支援するためにきめ細やかな措置を講じることとさせていただいております。
これに加えて、生活保護制度におきましては、例えば就労意欲の喚起を目的としたセミナーの受講等に必要な費用を技能実習費として支給する仕組みがございまして、これにより生活保護を受給している一人親の方を支援することも可能となっております。
このように一人親の支援施策とさらに生活保護施策、この二つは適切な役割分担、連携を図ることで生活保護世帯を含めた一人親家庭の自立支援にしっかりと取り組んでいくことが大切であると、このように考えております。
○田村智子君 これ、シングルマザーが追い詰められて児童虐待になってしまうようなケースというのも幾つも起きているわけですね。だから、それは私は、窓口で生活保護を受けてはどうですかと勧めるぐらいのことを経済状況においてはやるべきだというふうに思うわけですよ。
現状では、残念ながら自治体の側はむしろ勧めるどころかブロックするという問題をいっぱい聞いていますので、この方向転換、姿勢の転換が必要だと、これは指摘をしておきたいと思うのと、もう一方、やはり当事者の方も保護申請をためらうというケースは多いと。そのためらわせる要因として、保護世帯への差別的な扱いとかあるいは保護世帯を蔑視するような行政の在り方、これをやっぱり指摘しなければなりません。ちょっと具体の事例を出します。
千葉県の死別母子世帯から相談があったんです。今年三月から生活保護受給となりました。この保護申請の前から二人の高校生があしなが育英会の奨学金を借りている、これは高校生活のためであり、また進学の準備金に充てるためだと。ところが、ケースワーカーさんが、これはほとんど収入認定することになってしまうと、借金にもなるので奨学金は辞退をという指導をされているんです。進学のためにはアルバイトで貯金するしかないんだよという指導で、これはケースワーカーの勝手な判断ではないんですね。奨学金は、給付であっても貸付けであっても高校卒業後の進学費用に充てることはできないというのが今の扱いだからです。
あしなが育英会の奨学金、これは年三十万円、三年間で九十万円ですから、貯金していれば、例えば専門学校などで専門的な技能を身に付ける、そのための準備金になるわけですよ、十分に。同じだけをアルバイトで稼ごうとすれば、これは勉学の時間を削ることになってしまいます。現行の生活保護の収入認定のルール、これが奨学金を辞退させて高校生に働けと求めると。これは私は本末転倒ではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今、生活保護の問題と大学進学の問題、なかんずく奨学金との関係のお尋ねでございました。
生活保護は、利用できる資産、能力、その他あらゆるものを活用することを前提として行われるわけでありますが、生活保護世帯の子供たちの自立を支援するために、奨学金の使途を確認をして、高校の修学旅行費とか私立高校の授業料などに充てる場合については収入認定から除外するということを今やっているわけでございます。
一方で、高校卒業後は高校への就学を通じて得られた技能や知識を生かして就労をすべきという考え方から、保護を受けながら大学の就学は認めていないというのが現状でございます。こうした生活保護の原則や生活保護を受給されていない方との均衡を図る観点から、奨学金を大学入学料や授業料に充てる場合の収入認定除外は現行運用上は認めていないというものでございます。
生活保護制度におきまして、最低生活を保障しながらどこまで収入認定から除外をするかということについては、生活保護の原則に留意をしながら、生活保護世帯の子供たちの自立を助長するという観点なども踏まえて、今後、適切に検討をしてまいりたいというふうに考えております。
○田村智子君 今御答弁の現行運用を是非見直してほしいんですよ。
〔委員長退席、理事羽生田俊君着席〕
これ、例えば文部科学省の家計費の調査なんかを見ますと、親の学歴が子供の学習意欲に直結している、全国学力テストの結果に明確に表れていると、こういう研究調査がもう出されているわけですよ。そうすると、保護世帯の子供さんはもう高校を卒業したら働くのが当たり前なんだよと。私は、それでは貧困の連鎖を断ち切るということになっていかない。高校で習得した技能を生かして就職と言いますけど、それで果たして本当に正規の職業に就けるのか、それで本当に安定した生活保障になっていくのか、これ今の時点で考えると極めて疑問ですよ。
それで、生活家電の場合、全世帯の七割に普及すれば保護世帯でも保有を認めるという運用がなされてきたんです。これでクーラーの保有というのも認められるようになってきたわけですよね。今、大学や専門学校への進学というのは七割を超えているんです。これはやっぱり教育を受ける権利を保障するというこの点からも、生活保護世帯の高校生に、卒業したら働けじゃなくて、その先の進学の道があるよと、こういう運用を是非とも検討していただきたい。いかがでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 生活保護の制度というのは、もう御案内のように、憲法第二十五条の文化的な最低限度の生活を営む権利を有するということから生活保護法に定められているわけであって、最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とすると。
今、子供さんの大学進学の話でございまして、確かに貧困の連鎖が起きないようにするためにはやはり自らの能力アップをしていくことによって将来の自立に結び付けるという、そういう考え方はそのとおりだと思いますし、我々もそういう形で若い人たちを応援をしていくということは大事なことだと思っております。
今、この生活保護の制度における奨学金の中での扱いについての、もう少し収入認定の除外に、拡大をもっと考えるべきじゃないかと、こういうことだろうと思います。その問題意識は今申し上げたとおりでございますけれども、今後、先ほど申し上げましたように、生活保護世帯の子供たちの何しろ自立をどう促していくかということが大事でございますので、その点をよく踏まえて今後しっかりと検討をしてまいりたいと思います。
○田村智子君 是非前向きな検討をお願いします。
この千葉の母子世帯についてもう一点指摘したいんです。
現在、この方は千葉の郡部の自宅に住んでいますが、以前住んでいた自治体で国保料の滞納があって、それを理由に以前住んでいた自治体がその自宅を差し押さえてしまっているんですよ。しかし、直ちに換金できない住宅の場合、このような扱いはできないはずです。ところが、このことを指摘をしても、その自治体は、差押えを解除しないどころか、換価処分もできるんだと、こう豪語をしています。
地方税法十五条の七第一項二号は、滞納処分をすることによってその生活を著しく窮迫させるおそれがあるときは滞納処分の停止ができるとしています。この要件は、生活保護若しくは滞納処分によって生活保護になるおそれがある場合ということです。この法令に照らしても、このような滞納処分、当然停止すべきですし、やはり私が指摘した法令を改めて自治体に周知すべきだと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(唐澤剛君) 滞納処分の執行停止の要件、これは、先生今御指摘いただきましたとおり、滞納処分をすることによって生活を著しく窮迫させるおそれがあるときとは、滞納者の財産につき、滞納処分を行うことにより滞納者が生活保護法の適用を受けなければ生活を維持できない程度の状態になるおそれのある場合とされているわけでございます。
個別の事情は様々ございますけれども、一般的に申し上げれば、現に生活保護を受給している人は、滞納処分を行うことにより生活を著しく窮迫させるおそれがあるときに該当すると考えられるわけでございまして、速やかに執行停止を行う必要が高いと考えております。
厚生労働省といたしましては、これまでもこういうことは申し上げておりますけれども、様々な機会を捉えて周知を図ってまいりたいと考えております。
○田村智子君 もう一点、生活保護の問題で、これ不正受給とされる件数で多いのは、高校生など保護世帯の子供のアルバイトの収入が未申告だったという場合です。厚生労働省は二〇一二年七月に事務連絡を出して、このようなケースでは生活保護法六十三条ではなく原則七十八条を適用して費用徴収をすることとしました。
高校生のアルバイト収入の使途、これは就学、進学、修学旅行などで、申告すれば使った分は全額収入認定から除外をされる、これは六十三条では除外して収入認定になるんですけれども、七十八条適用をすると、使ってしまった分も含めて全部返しなさいということになるわけです。勤労控除も未成年控除も適用しないという極めて厳しい徴収になるわけですね。
保護を受けながらぜいたくをするために所得を隠す、これは悪質だと思います。七十八条適用、仕方がないと思います。しかし、高校生が制度を十分理解せずにアルバイトをして、その使途が学業のためであって既に使ってしまっていても全額返還させる、こういう扱いは余りにも酷だと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 生活保護制度は、もう先ほど来申し上げているとおり、資産、能力、あらゆるものを活用していただくということが要件であるわけでありますが、となれば収入がある場合の申告義務というのは、これは高校生を含めた未成年者に対しても同様に適用されるというのが現行の制度でございます。
したがって、不正に受給する意思がなくて申告を行わなかったことにやむを得ない理由があると認められるなどの特別な場合は別としまして、そういったことは除き、高校生のアルバイト収入であってもその申告がなかった場合には、収入未申告によって保護費の返還を求めるということとなっているわけでございます。
〔理事羽生田俊君退席、委員長着席〕
このため、アルバイトをする高校生に収入申告義務を理解をしていただくために、福祉事務所において、保護開始時であったり、あるいは受給中については年に一回以上、申告義務の内容について説明をすることとなっており、その説明を御理解をいただいた上で適切に対処していただくということで、この制度を運用していっていただきたいというふうに考えているところでございます。
○田村智子君 これ、昨年三月十一日に、未申告のアルバイトについて生活保護法七十八条が適用された、このことについて横浜地裁川崎支部での判決がありました。これは、事実関係省略しますけれども、判決では、高校生のアルバイト収入が申告されなかったことを理由に七十八条を適用するに当たっては、その収入の使途、使い道ですね、これについて少なくとも検討の対象とすべきものだと、こう指摘をしています。また、アルバイト収入全体は、本人の修学旅行や進学に有効に使われていたと、このことを指摘して、アルバイト収入全体について、これを申告せずに保護を受けたことをもって直ちに不実の申請その他不正な手段により保護を受けたと断ずるには原告にとって酷だと、こういう指摘もしているわけですね。
それで、大臣、今丁寧に説明も高校生に行うべきだということなんですけれども、保護開始のときには小学生だった、中学生だった、それから高校生になったという場合にちゃんと説明がされていないということは多々あるわけですよ。お母さんに用紙渡してね、お母さん、これ説明しておいてね、本人の署名をもらっておいてねと。お母さんが、ケースワーカーさんが来てこれ置いていったから署名しておいてね、高校生よく理解しないまま署名をしたと。この署名したことをもって、あなたは申告すると約束をしたのに申告しなかった、不実だからと。たとえ修学旅行のためにお金使ったとしても、これは稼いだ分は全部収入認定、遡っても収入認定、遡って返せと。これは、私は高校生の気持ちを物すごく傷つける、自立に対してむしろ阻害にもなりかねないというふうにも思うわけですよ。
だから、高校生のアルバイトについての七十八条適用、これやっぱり見直すべきだというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたように、アルバイトをする生活保護世帯の高校生に対しては、収入申告義務を負うことをしっかり御理解をいただくということが必要であって、福祉事務所は、先ほど申し上げたとおり、受給中については年に一遍以上、少なくとも、この申告義務の内容についての説明をすることということになっているわけでございます。
福祉事務所が、例えば訪問する際に、保護開始時や、受給中については年に一遍以上、保護のしおりを配付するなどによって、世帯主と高校生を含む世帯に収入申告義務について十分説明をするとともに、その際、確認書の様式を示しながら本人による署名を求めることとしているわけでございまして、こうした収入申告義務に関してしっかりと説明をすることについては、自治体による生活保護行政の実施状況を厚生労働省が監督する場で確認をしているほか、全国会議等を通じて周知徹底をしており、今後とも機会を捉えて適切に対応しなければならないと考えており、高校生が全く認識をしていないという状況をなくしていく上で、理解の下でこの制度を運用をしていくということが好ましい形ではないかというふうに思います。
○田村智子君 終わります。