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186-衆-厚生労働委員会-31号 平成26年08月04日

○とかしき委員 自民党のとかしきなおみでございます。
 本日は、大変話題になっております危険ドラッグに関しての質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 ことしの六月二十四日、池袋で、危険ドラッグを吸って、八人の方々が死傷されるという事件が発生いたしました。私も、実は、七月の二十四日、大阪で同じように危険ドラッグの交通事故がありましたけれども、ちょうどその横を通りまして、大渋滞をしていた、そして、被害者の方々の様子を拝見いたしました。そして、きのうも愛知県の方で、やはり危険ドラッグが疑われる事件がまた起こりました。
 ということで、残念ながら、連日のようにこの危険ドラッグに関する事件があちこちで多発している、そういった厳しい状況であります。
 この危険ドラッグというのは、お香だとかハーブだとか、非常に気軽な感じで、ファッション感覚の一部のように気軽に使えるものだ、さらに、毒性も低く常習性がない、そういうふうに誤解をされている場合が多々あります。しかし、実際は覚醒剤や大麻よりもはるかに危険でありまして、危険ドラッグは覚醒剤の入り口と言われておりましたけれども、最近は出口になっている、このようにも言われております。
 特になぜそれが危険なのかといいますと、大麻や覚醒剤は一つの化学物質でありますけれども、危険ドラッグの場合は複数の化学物質がたくさん入っておりまして、中に何が混在しているのか全く判別がつかない。そのために、治療法もなかなか確立できず、発症する症状で多分こんなものが入っていたのではないかと推察して治療していくしか方法がないというので、根治が非常に難しいという状況にあります。
 さらに、副作用も結構ありまして、横紋筋融解症という、これは筋肉細胞が死んでいくような病でありますけれども、あと急性腎不全とか、死に至る恐ろしい病がどんどん出てきておりまして、乱用者の約一割がこの病にかかっているのではないかと言われております。さらに、吸引したことで高血圧になって心筋梗塞も起こす、こういったことも見受けられます。
 六月二十四日の事件を受けまして、政府も迅速に対応していただきまして、七月の八日には総理の指示が飛びまして対策会議が開催され、十五日には、薬事法七十七条の第一項を活用して、指定薬物の指定をわずか三週間でしていただくというかなり早い対応をしていただきました。二十二日には、危険ドラッグ、それまでは脱法ドラッグと言われておりましたけれども、名称変更をしていただきまして、三十一日には、二十一物質をさらに指定薬物に追加していただくという。私は、田村大臣の御尽力により、この一カ月間、かなりスピード感を持って対応していただいた、このように見ております。
 ということで、池袋の事件など一連の事件を受けて、四月一日より施行されました改正薬事法のもとで、厚生労働省として今までにない新しい対応をしていたら教えていただきたいと思います。
 さらに、今回緊急指定の枠組みをかなり生かされたわけでありますけれども、今後どのようにこれを活用して取り締まりをしていこうとしているのか、短目にお答えいただければ。お願いします。

○神田政府参考人 お答えいたします。
 先ほど御指摘のように、池袋の事件の後、七月三日に都道府県、麻薬取締部に取り締まりの強化を要請する文書を発出いたしまして、現在まで、七月二十五日までの三週間で、全店舗、約二百五十店舗ございますけれども、半数に立入検査を実施する。この短期間にこれだけの立入検査をしたのは初めてのことであろうというふうに思っております。
 それから二点目は、先ほど御指摘のように、指定手続の特例を適用しまして、通常ですと数カ月かかるところ、池袋の事件で使用されていた二物質を三週間で指定物質に指定するということをしたところでございます。
 今後とも、危険ドラッグ対策というのは時間との戦いでございますので、個別の事案ごとに精神毒性の強さですとか流通の広がり等を勘案しまして、指定物質の指定手続の特例を積極的に活用して指定してまいりたいというふうに考えております。

○とかしき委員 ありがとうございました。
 さらに、今回、この危険ドラッグがこれだけ、大変事件が多発しているわけでありますけれども、法整備の必要があるのではないか、そういった声もあちこちから聞かれるわけであります。ただ、やはりこれは即効性を求めていくことが重要であると思いますので、今ある法律をもっと積極的に活用していく、この方が今かなり効果が早いのではないか、私はこのように考えております。
 例えば、資料でお配りしました薬事法第七十六条の六、これを見ていただきたいと思います。
 こちらの方は、指定薬物の疑いのある物品について検査を命ずること、検査命令、さらに、検査の結果が出るまでの間販売を禁止することを命ずるという販売停止命令、こういったものも指定できることになっております。ところが、残念ながらこの規定が今まで一件も適用された実績がない、このように聞いております。
 また、法のこういった積極的な活用をしていこう、取り締まりをしていこうと思っても、その実動部隊である麻薬取締部の体制が非常に不備であるというふうに見られます。例えば平成二十二年には二百六十四名、全国でわずか二百六十四名で対応しているわけでありますけれども、平成二十六年では二百六十七名、三名微増いたしましたけれども、平成二十五年には五人減っている。とても十分な体制がとれているとは言えないわけであります。
 このように、薬事法の規定を積極的に活用する余地がまだ十分あるのではないかということ、そして麻薬取締部の体制を強化していく、この二点、これからやっていくことには効果が高いのではないかと考えておりますけれども、どのようなお考えなのか、教えていただけますでしょうか。

○神田政府参考人 先生御指摘のとおり、先ほど申し上げた取り組みに加えまして、現在の薬事法の七十六条の六に規定する検査命令や販売中止命令を広く積極的に活用して、販売店に対する圧力を強めて、違法、有害な薬物の販売を実態的に抑え込んでいきたいというふうに考えております。
 それからまた、危険ドラッグの実効ある取り締まりに向けましては、関係機関との一斉合同立入検査の実施や取り締まり活動の徹底など、そういう意味で、危険ドラッグの取り締まりの現場で活躍する麻薬取締部の体制の強化というものが必要不可欠だというふうに考えておりますので、そういった方向で検討してまいりたいと考えております。

○とかしき委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 そして、今、先生方のところにお配りさせていただいております、この「STOP!違法ドラッグ」のパンフレットの下の方をちょっと見ていただけたらと思います。
 こちらの方を見ていただきますと、今、危険ドラッグの形状がかなり大きく変わってきているのがわかります。単なるハーブというだけではなくて、バスソルト、そして粉末や液体、錠剤の形になって、医薬品や健康食品、こういったものに間違われるように、シロップやキャンディー、こういった形で、およそ危険ドラッグとは判別できないような形状にどんどん今変化していて、それによって服用し、副反応が起こっている、こういった事態が起こっております。ということで、事態はかなり深刻になりつつあります。
 アメリカはある意味危険ドラッグの先進国、日本より一歩先に行っておりますけれども、その中でも、アメリカでも民間団体は、危険ドラッグは成分だけで追っかけていくのはやはり難しいのではないか、イタチごっこになって、永遠にこれを続けるしかない、こういうふうにコメントを出しております。
 ということで、やはり成分だけではなくて、今後、販売ルートにも私たちはちょっと注視していく必要があるのではないかと思います。
 そして、危険ドラッグは若い人たちが、大麻や覚醒剤よりも危険ドラッグの方がやはり若い方が飛びついて使っているということと、初犯が八割ということもわかってきておりますので、これらの若い人たちは、多分、ほとんどの方が最初はインターネットで情報を検索して、そして購買行動を起こしていると容易に予想されるわけであります。
 実際、池袋の事件でも、ハーブはインターネットで一、二年前に初めて知ったとか、山梨県の女子高生も、インターネットで危険ドラッグを買った、こういうふうに供述をしているわけであります。合成薬物中毒患者のうちの約二割がインターネット経由で薬物を入手している、こういう状況であります。
 となると、インターネットでの危険ドラッグの販売に関する情報発信、ここを押さえていくだけでもかなり抑制効果が期待できるのではないか、このように思いますけれども、インターネットの販売上の取り締まりについての現状をお知らせください。

○神田政府参考人 御指摘のように、インターネットが一つのツールになっておりますので、麻薬取締部職員等によって、危険ドラッグ広告等に対するインターネットパトロールを実施し、発見した違法有害情報については、サイト運営事業者やプロバイダーに対するサイトの削除要請や注意喚起を実施しているところでございます。
 また、インターネットで指定薬物を購入した者から供述を得て販売者を特定し、突き上げ捜査を実施するなど、実効性ある方法によりまして、インターネット上の販売サイトに対する取り締まりを徹底してまいりたいというふうに考えております。

○とかしき委員 ありがとうございます。ぜひ、このインターネットの部分は力を入れていただきたいと思います。
 健康被害のおそれのある医薬品のネット監視、平成二十六年概算要求では七千七百万円請求していましたが、半分以下の三千百万円ということで、予算が半減されてしまっていて、ここは力をしっかり入れていただきたいな、このように思います。
 このように、法整備をしたり取り締まりをしたりといろいろありますけれども、やはり自分自身がしっかり意識を持っておくこと、自分自身でこのドラッグからの誘惑に打ちかっていくことが大切であります。ということで、大切なのは、啓発活動をしっかりして、自己防衛をしっかりしてもらう、この意識を徹底させることがまた重要だと考えております。
 実は、日本薬剤師会の方がこの活動にかなり積極的に長年取り組んできておりまして、学校に入っている薬剤師、学校薬剤師といいますけれども、薬物乱用防止ということで指導もさせていただいております。
 きょうお配りさせていただきましたこちらのパンフレットも、これは学校薬剤師が教材として使ったりとか、あと店頭の薬局で、地域密着の拠点ということでポスターを張ったりということで、啓発活動に長年取り組んでまいりました。
 きょうも持ってまいりましたけれども、これも薬剤師会がつくったポスターなんです。これはガンバ大阪の遠藤選手なんですけれども、ちゃんと危険ドラッグと最新の情報で、ちょっとこれはまだポスターができ上がる前の、印刷所から無理やり持ってきて、切り張りしてつくって皆さんにお見せしているんですけれども。ということで、ちゃんと厚労省の形を受けて、危険ドラッグという最新の情報で今ポスターを刷っているところでありますので、これがもうすぐ大阪の薬局では全店張られることになると思います。このような活動を積極的にさせていただいております。
 さらに、七月の十九日は、全国で薬物乱用防止キャンペーンということで、薬剤師と薬学部の学生さんが一緒になって啓発うちわ二万五千本を配らせていただいたりということをさせていただいております。身体に対する健康被害、社会的な問題もあるよとか、誘いを断る勇気が必要だよ、こういうことを積極的に訴えさせていただきました。
 そして、学校薬剤師が講義を行った後のアンケートを見ますと、薬物乱用が人体に及ぼす影響について、九七%が理解できた、友達や知人から薬物を勧められたときにノーと言えるかというと、九〇%は大丈夫だ、講義を受けた後はこういうふうな意見が出てきております。
 中には、きのうも私資料をずっと見ていましたら、学校薬剤師さんの先生方の報告書を見ていましたら、子供が、小学校のときに中学の先輩から危険ドラッグを使わないかと誘われた、そしてそのときは断れた、こういった感想文も書いていたということが報告書の中に書いてありまして、私も非常にびっくりいたしまして、私たちが思っている以上に実態は低年齢化し、子供の中にもその魔の手が伸びつつあるというかなり厳しい状況にあるということがわかります。
 ということで、学校薬剤師の指導も、これからは、誘われたときに断るためのロールプレーイングもカリキュラムの中に今入れて、練習しているということになっております。
 現場からの声なんですけれども、更生施設、実際にドラッグ中毒になってしまったらどんなふうになるのか、あとは、そこから脱していくためにはどんな苦悩があるのか、こういったDVDを、映像にして見せてもらえないか、こういう要望も出てきております。実は、私も子供のころ麻薬中毒の映画を見せられまして、これがショックで、絶対薬は怖いなと思って、気がついたら薬剤師になっていたんですけれども。
 本当に薬というのは、上手に使えば健康を維持してくれますけれども、一歩間違えれば体を大きく傷つけてしまうものであります。ということで、こういった啓発活動の予算、今後ももっともっと積極的に取り組んで大幅にアップしていただきたい、このように思うんです。
 そこで、最後に大臣にお伺いしたいんですけれども、こういった啓発活動の強化をしていくことがとても重要だと思うんですけれども、この点についてどういうふうにお考えかということと、今までのやりとりの中で、危険ドラッグの乱用根絶に向けた大臣の強い決意をお聞かせいただければと思います。

○田村国務大臣 七月十八日に薬物乱用対策推進会議を官邸で開きまして、緊急対策の議論をさせていただきました。
 もちろん、今るるお話がありましたように、一斉合同の立入検査をやっていくということも重要でありますし、それから、緊急指定を行うことによって、どんどん指定して違法なものをふやしていくということも必要であります。
 あわせて、七十六条の六を使う。つまり、検査命令、その間の販売停止命令をかけることによって、まず店頭販売を、売らせない。よく、これは体に使っちゃいけないものですと確認していますなんて言っていますが、そんなために売っているはずがないんですよ。ほかにどんな用途でこれを売っているんですかという話なので、これを売ること自体、私はもう社会的に許されない行為だというふうに思っております。ですから、売らせないというように徹底して、まず売るという行為をとめていく。
 そして、いろいろな形で、リーフレットでありますとかいろいろな広報媒体を使って社会にこれから広報していくわけでありますが、違法でないという認識は間違いだ、あなたの仮にこれから買おうとしているような危険ドラッグは、やがては、近い将来すぐにでも指定されるんですね、ですから持っていただけで捕まりますよ、そういう危ないものなんですよということを徹底して広報させていただいて、危ないものには手を出さない、法律違反にもなりますし、それだけじゃなくて、自分自身、家族、周りの方々に迷惑もかける、そういうものには手を出していただかない、こういうような広報を徹底してやってまいりたい、このように考えております。

○とかしき委員 ありがとうございました。
 鉄は熱いうちに打てですから、今積極的に取り組んでいただいて、啓発活動そして取り締まりをしっかりやっていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。