166-衆-財務金融委員会-18号 平成19年06月06日
○伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。とかしきなおみ君。
○とかしき委員 ありがとうございます。自民党のとかしきなおみでございます。
本日は、公認会計士法等の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。私はまだまだそんなに詳しいわけではございませんので、国民の立場からストレートに質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
金融市場もいよいよ構造改革と活性化、これは我が国の経済にとっても喫緊の大変な課題でございます。そして企業の活動も、投資からグローバル化、間接金融から直接金融ということで、日本の企業も、財務諸表、財務情報の信頼性、透明性がますます重視されるようになってきました。ということで、会計監査をつかさどる公認会計士の役割がだんだん大きくなってきております。
しかし、残念ながら、昨今の不正問題ということを受けまして今回法改正につながっているわけでございますけれども、公認会計士の方々が抱える構造的な問題から、今回の法律案について少し質問させていただきたいと思います。
けさの参考人質疑でもたくさん出ておりましたけれども、まず最初に、インセンティブのねじれについてお伺いしていきたいと思います。
会計士というお仕事は、お客様が満足するサービスを提供していればいい弁護士やお医者様のような職業とは違いまして、お客様である企業に厳しい指南をして、その一方で報酬ももらわなくてはいけないということで、非常に複雑な立場の仕事と言えます。ということで、このようにインセンティブのねじれが生じているわけでございますけれども、これを、会計士の皆さんが投資家サイドに立って経営者の皆さんと対峙していく。法的な独立性がまだまだ弱くて、これをいかに克服していくか、これが重要な問題と考えます。
金融庁の金融審議会の報告書におきまして、この点につきまして、会社法につき、関係当局の早急かつ真剣な検討がさらに進められることを期待するとの提言も盛り込まれておりますけれども、この点について山本大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。
〔委員長退席、宮下委員長代理着席〕
○山本国務大臣 監査人が、被監査会社の経営者との間で監査契約を締結するわけであります。監査報酬が被監査会社の経営者から監査人に対して支払われるということになるわけであります。時に厳しいことも言う監査人に対して報酬を支払うといういわばインセンティブのねじれというものを克服するため、監査人の選任議案の決定権、監査報酬の決定権を監査役等に付与すべきであるという議論がありますことは、とかしき委員御指摘のとおりでございます。
昨年末に取りまとめられました金融審議会公認会計士制度部会の報告におきましても、会計監査人の選任議案及び報酬の決定に係る監査役等の同意権の付与を定めた会社法につき、関係当局におきまして早急かつ真剣な検討がさらに進められることを期待したいという提言がなされております。
この点につきまして、監査役等に監査人の選任議案への同意権を付与した会社法が昨年五月に施行されたばかりでございます。その効果をまずは見きわめることが現在は必要であろうというように思っておりますこととともに、取締役や監査役など会社の内部機関の間における業務執行権等の分配のあり方にかかわる問題でもございまして、会社法上の十分な検討が必要であるということも言えようかと思います。
金融庁としましては、このインセンティブのねじれが克服されていくことは重要な課題であるというように考えておりますので、ただいま申し上げました論点も踏まえつつ、関係当局におきまして早急に検討が進められることを強く期待するものでございます。
○とかしき委員 ありがとうございました。
ぜひこのねじれの現象を解消していただきたいんですけれども、例えば報酬の支払いの方法として、プール制度というのもあるそうでございます。これは、各企業が発行株式数などの規模に応じて監査費用を証券取引所にプールしておいて、その上で証券取引所が入札などを行って監査人を選んで、取引所の方から監査報酬を支払っていくというのがプール制度というものらしいんですけれども、こういったものも今後ぜひ一つの検討課題として、ねじれを解消する一つの方法としてぜひ御検討いただければと思います。
ということで、不手際を犯した番人だけを市場から退場させていくような方法だけでは不正会計は減っていかないということで、やはり、企業風土や統治のあり方、これも同時にやっていくことがチェック機能を高めていくことになるのではないかと思います。
それでは次に、監査難民についてちょっとお伺いしていきたいと思います。
先日の報道にもありましたけれども、寡占化が進むことによって、監査リスクのある企業は引き受けたくないという大手の風潮が見られて、監査難民が出ているというようなことが報道されておりました。
例えば、三月の決算企業は五月に株主総会招集通知を出します。その時点で後任の監査人が決まっていないと、それだけで、あの企業は危ないのではないかと風評が立って、それがひいては企業の経営すらも脅かす状況になるわけです。
大手監査法人は、今十分な数の監査企業先を抱えており、内部統制報告制度の対応に追われて人材不足の状態になっております。ですから、リスクを冒してまでわざわざ顧客をふやしていこうという力が普通よりも非常に働きにくい状況になっています。また、今回法律が改正されるわけで、その分、責任も重くなってくるということで、いろいろな力が相まって、より多くの監査難民がもしかして生み出される状態になるのではないかという心配があるわけです。
私も、ある監査法人にヒアリングに行きましたら、今後のことを見て、しっかりした企業でないとやはり監査を受けられないと。ですから、今でも、打診のあるうち約一割は断っている、こういうようなお話もありました。
さらに、例えば、一度失敗してしまった企業、何か問題を起こしてしまった企業が今度は監査人から嫌われてしまって、法的な危険を恐れて仕事を受けたくないということで、これによって、企業の再生のチャンス、再チャレンジのチャンスすらも奪われかねないという状況もあるわけです。
ということで、監査難民の問題に対してどのようにお考えか、三國谷局長、ぜひお願いいたします。
○三國谷政府参考人 お答え申し上げます。
企業財務情報の適正な開示は、金融資本市場の信頼性を確保していくために大変重要なことであると認識しております。したがいまして、各企業におきましては、監査法人による監査を経て、適切なガバナンス体制のもとで企業財務情報を適正に開示していくことが必要なわけでございます。
この適正な開示に向けて取り組んでおります企業が監査法人による監査を受けられないといった事態は望ましいものではなく、これにつきましては、各法人それから協会等も真摯に取り組み、努力しているものと承知しております。
金融庁といたしましても、そうした事態が生じないように、協会等を初めといたしまして、そういった機関と連携しながら、資本市場の健全な発展に向けまして努力してまいりたいと考えております。
○とかしき委員 ありがとうございました。ぜひ監査難民を出さないように、監査難民を出すことによって企業の営みすらも奪われかねない状況になりますので、その辺の御配慮をお願いしたいと思います。
この監査難民、今お話ししていることなんですけれども、これがなぜ起こるのかということで、この一つの原因として、寡占化という公認会計士の業界の特殊な事情もあるわけです。
グラフをかいて持ってまいりました。公認会計士の業界なんですけれども、ちょっと紙芝居状態でございますけれども、平成元年のころ、四百人以上の大手の監査法人が五一・八%でしたけれども、これが平成十七年の三月になりますと七九・二%、ほぼ八割ということです。そして、見ていただきたいのは、このブルーと黄色とグリーンのところなんですけれども、ここが今大幅に減ってきているわけです。要するに中堅の公認会計士の法人が極端に今少なくなっていて、非常に寡占化が進んでいる。これが日本独自の市場の状況であるわけです。
このように大手の寡占化が進んでしまいますと競争原理がほとんど働かなくなってしまいまして、ある意味、なれ合い状態になってしまう。逆にこれがどんどん進んでいきますと、またもや問題を起こす温床になる可能性もありますし、せっかく今回の法律でうたっております監査法人のローテーション、これもやりにくくなる状況があるわけです。
ということで、今後、この黄色とブルーと緑、ここの部分の中堅を政策的に育成していく必要があるのではないか、このように考えているわけです。
大手が断ってしまった場合は、いきなり、中小がないわけですから、小さい規模に監査をお願いするというのも物理的に無理なわけですから、大きい企業は全く対応ができなくなってしまうということで、こういう厳しい状況にあるわけです。
ということで、中堅の監査法人の育成強化に向けて、山本大臣の問題意識についてお伺いしたいと思います。
○山本国務大臣 我が国監査法人の規模別分布状況を見ますと、監査法人に所属する公認会計士のうち、委員おっしゃるように八割程度が、社員が数百名を超える四大監査法人に集中しております。
監査法人の寡占化をめぐる問題につきましては国際的にも関心が高まっておりまして、証券監督者国際機構、IOSCOが最近開催しました円卓会議におきましても、監査法人の寡占が進んで監査法人の規模が大きくなることにつきまして、メリットとデメリットが指摘されております。
メリットは、組織的監査をより効果的に実施できる、もう一つは、監査手法の開発等にかかる費用が低減され得るということでございました。デメリットは、被監査会社にとっての選択肢が少なくなる、また、非違行為等に対して規制当局がとり得る選択肢が少なくなり、モラルハザードから監査の質が低下しかねないというようなデメリットも指摘されております。
こういうような現状が、健全な資本主義を支える市場メカニズムの中で大変大事な開示制度、特に財務の健全性をはかる監査法人の役割に支障が出ないこと、これが大事な点であると思います。
私の一つの理解では、今の無限連帯責任という公認会計士の監査法人のありようも、いわば責任の分散ということも必要だろうということで大型化するような面があろうというように思います。本法案ではその点におきましての措置がとられているわけでございまして、そんな意味で、委員の御指摘の点は大変重要であろうというように思っております。
○とかしき委員 ありがとうございます。大臣のお答えのとおりでございまして、寡占化、これは逆に、この業界を脅かして、また企業の成長も脅かすという状況も生んでまいりますので、政策的にこの中堅どころをいかに育てていくのか、これもぜひ御配慮いただきたいと思います。
さらに、寡占化だけではなくて、次に人材の方の問題も公認会計士の方々は抱えているわけでございます。
金融庁の公認会計士制度部会の答申では、公認会計士、将来的には五万人にしていきたいという大きな構想が発表されております。しかし、現実はどうかといいますと、かなり人手不足で、監査機能の水準を維持するのも危機的な状況にあるという状況でございます。
監査人の公認会計士の数なんですけれども、欧米に比べまして日本というのは極端に少なくなっております。約五%しかない。これは、公認会計士プラス補助作業をする人、両方合わせて二万二千四百七十五人というふうに言っておりますけれども、実際に公認会計士の資格を持っていらっしゃる方は一万七千人弱ということで、アメリカの三十三万人とか英国の三十五万人ということを考えますと、極端に人数が少なくなっているわけでございます。
さらに、大手の監査法人、最近の離職率がどうなっているのかというのを調べてみました。
上が平成十八年、そして十九年なんですけれども、どこも実は三分の一以上の減少が見られているわけです。この一年間で非常な勢いで離職率が高くなってきているということが言えるわけです。これは多分、公認会計士のいろいろな事件等が起こっているわけですけれども、それに対して非常に絶望感を持った人たちがこうやって離職しているということも考えられます。
二〇〇三年の法改正で公認会計士の試験が簡素化されたにもかかわらず、実は受験者数はほとんどふえておりません。優秀な人材が入らない、さらにこのようにやめていってしまっているということで、公認会計士の業界はかなり悲惨な状況になっているというわけです。
そして、今回の法改正もありますけれども、責任はどんどん重くなっている。さらに業務量も非常に多くなっているようでございます。大手の監査法人はほとんどが四千社以上の監査先を抱えておりまして、監査すべき企業数も一人当たり二社から三社ということで、かなりの量をこなさなくてはいけません。さらに、一社一社にかける時間も、統計で調べてみますと、日本と海外で比較いたしますと、日本は海外の約一・一倍から二・八倍の時間をかけているということで、監査の対象の企業も多いんですけれども、時間もたくさんかけなくてはいけない。
さらにもう一つ問題は報酬面のことでございます。
このように仕事をたくさんこなさなくてはいけない状況でありながら、報酬面は、欧米に比べるとわずか四分の一から五分の一程度ということで、責任はすごく重くなるんですけれども、仕事量もふえて、そしてかかる時間もふえて、でも報酬は少ないというような形で、会計士を目指す人たちがどんどん少なくなって、むしろ離職率が高くなっているというのが状況でございます。
さらに追い打ちをかけるように、平成二十年には全上場企業に義務づけられる予定でございます内部統制報告制度と四半期開示制度ということで、さらに業務量がふえて、もっと負担がふえていくということが容易に想像できるわけでございます。
このような状況の中、公認会計士の量と質をどういうふうに担保していったらいいのか、その辺のお考えを、三國谷局長、お答えいただければと思います。
○三國谷政府参考人 御指摘のとおり、公認会計士が果たすべき役割にかんがみまして、我が国全体といたしまして、質を確保しながら、監査業務に従事いたします公認会計士の数を確保していくことが大変重要であると考えております。
公認会計士、監査法人の業務が増加、複雑化していることは御指摘のとおりでございます。また、監査を魅力ある仕事としていくために、まずは監査の信頼性を確保していくことが必要であろうと考えてございまして、今般提案させていただいております法案におきましても、公認会計士、監査法人制度の充実強化に向けました各般の措置を講じているところでございます。
これらとあわせまして、一つには、社会人等を含めました有為な人材の確保に向けました公認会計士試験の実施方法のさらなる改善、それから、日本公認会計士協会におきます研修の充実などを通じました個々の公認会計士の皆様のスキルの向上、こういった公認会計士の質と量の確保に向けた施策につきまして、これからまた関係機関とも協力しながら、引き続き可能な限りの施策を講じてまいりたいと考えているところでございます。
○とかしき委員 ありがとうございます。公認会計士の先生方は非常に将来に不安を感じていらっしゃる状況ですので、ぜひ希望が持てるように配慮いただければと思います。
公認会計士を五万人にしていこうというふうに考えていることには、いろいろな業界に公認会計士の知識を持った人たちにどんどん入っていってもらおうというのが、多分、構想のきっかけになったかと思います。民間企業とか銀行とか役所とか学校とか、いろいろなところにこういった知識を持っている人たちが入ることによって産業界の発展を目指していって、皆さんの認識を高めていこう、そういう構想だと思われます。
しかし、いろいろなところに進出しようという公認会計士の先生方を阻む法制度として、開業登録制度の問題があります。
この開業登録制度というのは、兼業禁止の規定があって、開業する以外、公認会計士としての仕事につくことはできないということになっております。アメリカでは、開業登録制をとらないで、資格制度にしているわけでございます。ですから、会計士の皆さんがいろいろなところで、幅広い業界で活躍できるようになっているわけでございます。
これはちょっと通告にないんですけれども、開業登録制度から資格制度の方に今後制度を変えていくと言っていった方が、公認会計士の活躍できる場がどんどん広がっていって、会計士の認知度を高め、支援体制も整えていき、そして、今のような負のスパイラルではなくて、むしろプラスの方のスパイラルに回していく、こういったことも考えられるかと思いますけれども、このような制度を御検討いただくことはできないのか、お答えいただければと思います。
○三國谷政府参考人 お答え申し上げます。
日本の制度の場合に、公認会計士資格を持った方が公認会計士協会の方に登録することによって公認会計士の業務を行うことができることとなっているところでございます。一方、アメリカ等におきましては、資格を有しながらそれ以外の業務に、いわば事業法人を含めまして、あるいは公務員も含めまして、いろいろなところに資格を持っている方が勤められているということも認識しておるわけでございます。
これは、資格とそれから登録という問題よりも、まずは公認会計士の数を、質をできるだけ維持しながら確保していくということが必要であるわけでございます。
こういった観点から、実は二年ほど前に公認会計士法を改正いたしまして、試験制度、これは社会人等も広く参加できるような方式に切りかえたわけでございますけれども、現在、この新制度に移りましてまだ間もないわけでございますが、質を維持しながら量をふやすということにつきましては、これからいろいろ、これまでの経験を踏まえながら工夫していかなければいけないことであろうかと思っております。
日本の場合に、これまで資格をお持ちになりました方が、大体、監査法人あるいは個人として監査業務に従事されるということでございましたのですが、これまでよりは少なくとも量の方においても充実強化する方向でこれからも検討してまいりたいと考えているところでございます。
〔宮下委員長代理退席、委員長着席〕
○とかしき委員 ぜひ、公認会計士の質と量、うまく確保できるようにお力添えいただければと思います。
次に、日本版のルールについてちょっとお伺いしていきたいと思います。
日本の近代の監査制度というのは、これは欧米から輸入されたものでございます。しかし、グローバリゼーションが進んだとしても、その国の風土や国情を反映した法制度が私は必要ではないかと考えております。欧州の証券規制当局委員会でも、日本の会計基準を国際会計基準と同等であるというふうにある程度評価をしているわけでございます。ということで、現在のような欧米の方に合わせていく方向性から、日本の独自の会計基準を世界に広めていく、逆の発想がそろそろ必要になってきているのではないでしょうか。
どうも、日本の企業もそうなんですけれども、スタンダード、ルールをつくっていくのがどうも苦手でございまして、企業活動は大分最近はそれに気がついて、力を注いでいくことになっているんですけれども、日本は、残念ながら、自分たちの法律を世界のスタンダードにしようという力がまだ働いていないようでございます。
日本独自の、中国やアジアの会社も、日本の公認会計士法、公認会計士が監査して東証に上場するということで、日本の公認会計士法によって進出ができるようにしていく、こういったことも今後考えていく必要があるのではないでしょうか。アジア独自の日本版会計ルールを今後創設していくおつもりはないのか、山本大臣にお伺いしたいと思います。
〔委員長退席、宮下委員長代理着席〕
○山本国務大臣 大変大事な点でありまして、これから日本経済がグローバル化の中でさらなる発展、飛躍を遂げるためには、このようなテーマというものを追求する姿勢が大事だろうというように思います。
我が国は、これまでも、独自の会計基準を維持する一方で、国際的な動向を踏まえまして、高品質かつ国際的に整合的な会計基準の整備に努めてまいりました。世界の三大金融資本市場の一角を占める日本としましては、金融資本市場のグローバル化を背景にしまして、まずは日米欧で会計基準のコンバージェンス、いわゆる収れんを図っていこうと考えているわけでございます。
このような認識のもとに、我が国の会計基準設定主体でございます企業会計基準委員会、ASBJは、現在、EU等で使用されております国際会計基準の設定主体でございます国際会計基準審議会、IASBや、米国財務会計基準審議会、FASBとの間で、会計基準の相互のコンバージェンスに向けた取り組みを積極化しているところでございます。
この取り組みの一方で、企業会計基準委員会は、アジアの会計基準設定主体とも意見交換を進めておりまして、例えば、企業会計基準委員会は、日中韓、この三カ国で会計基準設定主体会議を毎年開催しているわけでございます。
金融庁といたしましても、今後とも企業会計基準委員会によるこうした国際的な取り組みを積極的に支援してまいりたいと考えております。
○とかしき委員 ありがとうございました。日本版の会計基準のルールというのを広めていく、そういった努力も企業の成長にも役立つのではないかと思いますので、ぜひまたこれからも頑張っていただければと思います。
そろそろ時間で、最後の質問なんですけれども、公認会計士の将来像についていかがお考えかというのをお伺いしたいと思います。
今まで、なるべく情報を公開して市場の透明性を求めていくというのが公認会計士の仕事というふうになっていたんですけれども、これからは、この公認会計士の仕事、もっと役割が変わってくるかと思います。
ということで、市場の番人である公認会計士、今後どういうふうにしていったらいいのか、この業界をどういうふうに育てていきたいのか。それに伴って、日本の企業活動をどういうふうにサポートしていきたいのか、その辺の全体の構想を大臣にお伺いしたいと思います。
○山本国務大臣 公認会計士さんによる監査は、企業財務情報の信頼性を確保し、我が国金融資本市場の健全性、透明性を維持していく上で極めて重要な役割でございます。
企業活動の多様化、複雑化や、監査業務の複雑化、高度化が進展する中で、公認会計士監査がこうした役割を的確に果たしていくためには、監査法人がその業務管理体制を適切に整備、運用するとともに、監査人が、独立した強固な立場から監査に臨むことが重要と考えられています。
今般の改正案におきましても、監査法人の業務管理体制の強化を図るとともに、監査人の独立性と地位の強化等を目指しておりまして、こうした措置を通じて、公認会計士監査の一層の充実強化が図られることを期待するものでございます。
特に公認会計士のゴールに向かっての意見を問う、こういうことでございますが、まさに、今後の企業価値を高めるためには、経営者以上に公認会計士に期待されているということであろうと思っております。
○とかしき委員 ありがとうございました。
まさに大臣がおっしゃるように、公認会計士の役割、これからとても重要になってまいります。アメリカでは、公認会計士が出している監査証明書があれば融資が受けられるということで、ファイナンスに役に立つから、逆に、公認会計士は命がけで交渉に当たって一生懸命仕事をするという状況にあるわけです。
日本は、残念ながら、不動産が担保になっているということで、どうも今まで公認会計士の監査証明が軽視されている、そんな傾向もあったんですが、これからは日本もいよいよ直接金融の比重が高まってまいりまして、この監査証明のウエートがだんだん高くなってくるかと思います。ということで、公認会計士は、市場の番人から、これからもっと発展して、私は、金融のサポーター、企業のサポーター、そういう役割に変化すべきだと思います。
日本の制度は産業界の育成にどうも今まで力を注ぎ過ぎておりましたけれども、それにあわせて、両輪ということで監査制度の育成、これをしっかりしていくことが、日本の発展、国の発展には大変必要なことではないかというふうに思っております。
ということで、監査制度、これからも育成していけるように、そして、公認会計士の先生方が働きやすい環境をぜひ整えていただきますことをお願い申し上げて、質問とさせていただきます。
どうもありがとうございました。
○伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。とかしきなおみ君。
○とかしき委員 ありがとうございます。自民党のとかしきなおみでございます。
本日は、公認会計士法等の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。私はまだまだそんなに詳しいわけではございませんので、国民の立場からストレートに質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
金融市場もいよいよ構造改革と活性化、これは我が国の経済にとっても喫緊の大変な課題でございます。そして企業の活動も、投資からグローバル化、間接金融から直接金融ということで、日本の企業も、財務諸表、財務情報の信頼性、透明性がますます重視されるようになってきました。ということで、会計監査をつかさどる公認会計士の役割がだんだん大きくなってきております。
しかし、残念ながら、昨今の不正問題ということを受けまして今回法改正につながっているわけでございますけれども、公認会計士の方々が抱える構造的な問題から、今回の法律案について少し質問させていただきたいと思います。
けさの参考人質疑でもたくさん出ておりましたけれども、まず最初に、インセンティブのねじれについてお伺いしていきたいと思います。
会計士というお仕事は、お客様が満足するサービスを提供していればいい弁護士やお医者様のような職業とは違いまして、お客様である企業に厳しい指南をして、その一方で報酬ももらわなくてはいけないということで、非常に複雑な立場の仕事と言えます。ということで、このようにインセンティブのねじれが生じているわけでございますけれども、これを、会計士の皆さんが投資家サイドに立って経営者の皆さんと対峙していく。法的な独立性がまだまだ弱くて、これをいかに克服していくか、これが重要な問題と考えます。
金融庁の金融審議会の報告書におきまして、この点につきまして、会社法につき、関係当局の早急かつ真剣な検討がさらに進められることを期待するとの提言も盛り込まれておりますけれども、この点について山本大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。
〔委員長退席、宮下委員長代理着席〕
○山本国務大臣 監査人が、被監査会社の経営者との間で監査契約を締結するわけであります。監査報酬が被監査会社の経営者から監査人に対して支払われるということになるわけであります。時に厳しいことも言う監査人に対して報酬を支払うといういわばインセンティブのねじれというものを克服するため、監査人の選任議案の決定権、監査報酬の決定権を監査役等に付与すべきであるという議論がありますことは、とかしき委員御指摘のとおりでございます。
昨年末に取りまとめられました金融審議会公認会計士制度部会の報告におきましても、会計監査人の選任議案及び報酬の決定に係る監査役等の同意権の付与を定めた会社法につき、関係当局におきまして早急かつ真剣な検討がさらに進められることを期待したいという提言がなされております。
この点につきまして、監査役等に監査人の選任議案への同意権を付与した会社法が昨年五月に施行されたばかりでございます。その効果をまずは見きわめることが現在は必要であろうというように思っておりますこととともに、取締役や監査役など会社の内部機関の間における業務執行権等の分配のあり方にかかわる問題でもございまして、会社法上の十分な検討が必要であるということも言えようかと思います。
金融庁としましては、このインセンティブのねじれが克服されていくことは重要な課題であるというように考えておりますので、ただいま申し上げました論点も踏まえつつ、関係当局におきまして早急に検討が進められることを強く期待するものでございます。
○とかしき委員 ありがとうございました。
ぜひこのねじれの現象を解消していただきたいんですけれども、例えば報酬の支払いの方法として、プール制度というのもあるそうでございます。これは、各企業が発行株式数などの規模に応じて監査費用を証券取引所にプールしておいて、その上で証券取引所が入札などを行って監査人を選んで、取引所の方から監査報酬を支払っていくというのがプール制度というものらしいんですけれども、こういったものも今後ぜひ一つの検討課題として、ねじれを解消する一つの方法としてぜひ御検討いただければと思います。
ということで、不手際を犯した番人だけを市場から退場させていくような方法だけでは不正会計は減っていかないということで、やはり、企業風土や統治のあり方、これも同時にやっていくことがチェック機能を高めていくことになるのではないかと思います。
それでは次に、監査難民についてちょっとお伺いしていきたいと思います。
先日の報道にもありましたけれども、寡占化が進むことによって、監査リスクのある企業は引き受けたくないという大手の風潮が見られて、監査難民が出ているというようなことが報道されておりました。
例えば、三月の決算企業は五月に株主総会招集通知を出します。その時点で後任の監査人が決まっていないと、それだけで、あの企業は危ないのではないかと風評が立って、それがひいては企業の経営すらも脅かす状況になるわけです。
大手監査法人は、今十分な数の監査企業先を抱えており、内部統制報告制度の対応に追われて人材不足の状態になっております。ですから、リスクを冒してまでわざわざ顧客をふやしていこうという力が普通よりも非常に働きにくい状況になっています。また、今回法律が改正されるわけで、その分、責任も重くなってくるということで、いろいろな力が相まって、より多くの監査難民がもしかして生み出される状態になるのではないかという心配があるわけです。
私も、ある監査法人にヒアリングに行きましたら、今後のことを見て、しっかりした企業でないとやはり監査を受けられないと。ですから、今でも、打診のあるうち約一割は断っている、こういうようなお話もありました。
さらに、例えば、一度失敗してしまった企業、何か問題を起こしてしまった企業が今度は監査人から嫌われてしまって、法的な危険を恐れて仕事を受けたくないということで、これによって、企業の再生のチャンス、再チャレンジのチャンスすらも奪われかねないという状況もあるわけです。
ということで、監査難民の問題に対してどのようにお考えか、三國谷局長、ぜひお願いいたします。
○三國谷政府参考人 お答え申し上げます。
企業財務情報の適正な開示は、金融資本市場の信頼性を確保していくために大変重要なことであると認識しております。したがいまして、各企業におきましては、監査法人による監査を経て、適切なガバナンス体制のもとで企業財務情報を適正に開示していくことが必要なわけでございます。
この適正な開示に向けて取り組んでおります企業が監査法人による監査を受けられないといった事態は望ましいものではなく、これにつきましては、各法人それから協会等も真摯に取り組み、努力しているものと承知しております。
金融庁といたしましても、そうした事態が生じないように、協会等を初めといたしまして、そういった機関と連携しながら、資本市場の健全な発展に向けまして努力してまいりたいと考えております。
○とかしき委員 ありがとうございました。ぜひ監査難民を出さないように、監査難民を出すことによって企業の営みすらも奪われかねない状況になりますので、その辺の御配慮をお願いしたいと思います。
この監査難民、今お話ししていることなんですけれども、これがなぜ起こるのかということで、この一つの原因として、寡占化という公認会計士の業界の特殊な事情もあるわけです。
グラフをかいて持ってまいりました。公認会計士の業界なんですけれども、ちょっと紙芝居状態でございますけれども、平成元年のころ、四百人以上の大手の監査法人が五一・八%でしたけれども、これが平成十七年の三月になりますと七九・二%、ほぼ八割ということです。そして、見ていただきたいのは、このブルーと黄色とグリーンのところなんですけれども、ここが今大幅に減ってきているわけです。要するに中堅の公認会計士の法人が極端に今少なくなっていて、非常に寡占化が進んでいる。これが日本独自の市場の状況であるわけです。
このように大手の寡占化が進んでしまいますと競争原理がほとんど働かなくなってしまいまして、ある意味、なれ合い状態になってしまう。逆にこれがどんどん進んでいきますと、またもや問題を起こす温床になる可能性もありますし、せっかく今回の法律でうたっております監査法人のローテーション、これもやりにくくなる状況があるわけです。
ということで、今後、この黄色とブルーと緑、ここの部分の中堅を政策的に育成していく必要があるのではないか、このように考えているわけです。
大手が断ってしまった場合は、いきなり、中小がないわけですから、小さい規模に監査をお願いするというのも物理的に無理なわけですから、大きい企業は全く対応ができなくなってしまうということで、こういう厳しい状況にあるわけです。
ということで、中堅の監査法人の育成強化に向けて、山本大臣の問題意識についてお伺いしたいと思います。
○山本国務大臣 我が国監査法人の規模別分布状況を見ますと、監査法人に所属する公認会計士のうち、委員おっしゃるように八割程度が、社員が数百名を超える四大監査法人に集中しております。
監査法人の寡占化をめぐる問題につきましては国際的にも関心が高まっておりまして、証券監督者国際機構、IOSCOが最近開催しました円卓会議におきましても、監査法人の寡占が進んで監査法人の規模が大きくなることにつきまして、メリットとデメリットが指摘されております。
メリットは、組織的監査をより効果的に実施できる、もう一つは、監査手法の開発等にかかる費用が低減され得るということでございました。デメリットは、被監査会社にとっての選択肢が少なくなる、また、非違行為等に対して規制当局がとり得る選択肢が少なくなり、モラルハザードから監査の質が低下しかねないというようなデメリットも指摘されております。
こういうような現状が、健全な資本主義を支える市場メカニズムの中で大変大事な開示制度、特に財務の健全性をはかる監査法人の役割に支障が出ないこと、これが大事な点であると思います。
私の一つの理解では、今の無限連帯責任という公認会計士の監査法人のありようも、いわば責任の分散ということも必要だろうということで大型化するような面があろうというように思います。本法案ではその点におきましての措置がとられているわけでございまして、そんな意味で、委員の御指摘の点は大変重要であろうというように思っております。
○とかしき委員 ありがとうございます。大臣のお答えのとおりでございまして、寡占化、これは逆に、この業界を脅かして、また企業の成長も脅かすという状況も生んでまいりますので、政策的にこの中堅どころをいかに育てていくのか、これもぜひ御配慮いただきたいと思います。
さらに、寡占化だけではなくて、次に人材の方の問題も公認会計士の方々は抱えているわけでございます。
金融庁の公認会計士制度部会の答申では、公認会計士、将来的には五万人にしていきたいという大きな構想が発表されております。しかし、現実はどうかといいますと、かなり人手不足で、監査機能の水準を維持するのも危機的な状況にあるという状況でございます。
監査人の公認会計士の数なんですけれども、欧米に比べまして日本というのは極端に少なくなっております。約五%しかない。これは、公認会計士プラス補助作業をする人、両方合わせて二万二千四百七十五人というふうに言っておりますけれども、実際に公認会計士の資格を持っていらっしゃる方は一万七千人弱ということで、アメリカの三十三万人とか英国の三十五万人ということを考えますと、極端に人数が少なくなっているわけでございます。
さらに、大手の監査法人、最近の離職率がどうなっているのかというのを調べてみました。
上が平成十八年、そして十九年なんですけれども、どこも実は三分の一以上の減少が見られているわけです。この一年間で非常な勢いで離職率が高くなってきているということが言えるわけです。これは多分、公認会計士のいろいろな事件等が起こっているわけですけれども、それに対して非常に絶望感を持った人たちがこうやって離職しているということも考えられます。
二〇〇三年の法改正で公認会計士の試験が簡素化されたにもかかわらず、実は受験者数はほとんどふえておりません。優秀な人材が入らない、さらにこのようにやめていってしまっているということで、公認会計士の業界はかなり悲惨な状況になっているというわけです。
そして、今回の法改正もありますけれども、責任はどんどん重くなっている。さらに業務量も非常に多くなっているようでございます。大手の監査法人はほとんどが四千社以上の監査先を抱えておりまして、監査すべき企業数も一人当たり二社から三社ということで、かなりの量をこなさなくてはいけません。さらに、一社一社にかける時間も、統計で調べてみますと、日本と海外で比較いたしますと、日本は海外の約一・一倍から二・八倍の時間をかけているということで、監査の対象の企業も多いんですけれども、時間もたくさんかけなくてはいけない。
さらにもう一つ問題は報酬面のことでございます。
このように仕事をたくさんこなさなくてはいけない状況でありながら、報酬面は、欧米に比べるとわずか四分の一から五分の一程度ということで、責任はすごく重くなるんですけれども、仕事量もふえて、そしてかかる時間もふえて、でも報酬は少ないというような形で、会計士を目指す人たちがどんどん少なくなって、むしろ離職率が高くなっているというのが状況でございます。
さらに追い打ちをかけるように、平成二十年には全上場企業に義務づけられる予定でございます内部統制報告制度と四半期開示制度ということで、さらに業務量がふえて、もっと負担がふえていくということが容易に想像できるわけでございます。
このような状況の中、公認会計士の量と質をどういうふうに担保していったらいいのか、その辺のお考えを、三國谷局長、お答えいただければと思います。
○三國谷政府参考人 御指摘のとおり、公認会計士が果たすべき役割にかんがみまして、我が国全体といたしまして、質を確保しながら、監査業務に従事いたします公認会計士の数を確保していくことが大変重要であると考えております。
公認会計士、監査法人の業務が増加、複雑化していることは御指摘のとおりでございます。また、監査を魅力ある仕事としていくために、まずは監査の信頼性を確保していくことが必要であろうと考えてございまして、今般提案させていただいております法案におきましても、公認会計士、監査法人制度の充実強化に向けました各般の措置を講じているところでございます。
これらとあわせまして、一つには、社会人等を含めました有為な人材の確保に向けました公認会計士試験の実施方法のさらなる改善、それから、日本公認会計士協会におきます研修の充実などを通じました個々の公認会計士の皆様のスキルの向上、こういった公認会計士の質と量の確保に向けた施策につきまして、これからまた関係機関とも協力しながら、引き続き可能な限りの施策を講じてまいりたいと考えているところでございます。
○とかしき委員 ありがとうございます。公認会計士の先生方は非常に将来に不安を感じていらっしゃる状況ですので、ぜひ希望が持てるように配慮いただければと思います。
公認会計士を五万人にしていこうというふうに考えていることには、いろいろな業界に公認会計士の知識を持った人たちにどんどん入っていってもらおうというのが、多分、構想のきっかけになったかと思います。民間企業とか銀行とか役所とか学校とか、いろいろなところにこういった知識を持っている人たちが入ることによって産業界の発展を目指していって、皆さんの認識を高めていこう、そういう構想だと思われます。
しかし、いろいろなところに進出しようという公認会計士の先生方を阻む法制度として、開業登録制度の問題があります。
この開業登録制度というのは、兼業禁止の規定があって、開業する以外、公認会計士としての仕事につくことはできないということになっております。アメリカでは、開業登録制をとらないで、資格制度にしているわけでございます。ですから、会計士の皆さんがいろいろなところで、幅広い業界で活躍できるようになっているわけでございます。
これはちょっと通告にないんですけれども、開業登録制度から資格制度の方に今後制度を変えていくと言っていった方が、公認会計士の活躍できる場がどんどん広がっていって、会計士の認知度を高め、支援体制も整えていき、そして、今のような負のスパイラルではなくて、むしろプラスの方のスパイラルに回していく、こういったことも考えられるかと思いますけれども、このような制度を御検討いただくことはできないのか、お答えいただければと思います。
○三國谷政府参考人 お答え申し上げます。
日本の制度の場合に、公認会計士資格を持った方が公認会計士協会の方に登録することによって公認会計士の業務を行うことができることとなっているところでございます。一方、アメリカ等におきましては、資格を有しながらそれ以外の業務に、いわば事業法人を含めまして、あるいは公務員も含めまして、いろいろなところに資格を持っている方が勤められているということも認識しておるわけでございます。
これは、資格とそれから登録という問題よりも、まずは公認会計士の数を、質をできるだけ維持しながら確保していくということが必要であるわけでございます。
こういった観点から、実は二年ほど前に公認会計士法を改正いたしまして、試験制度、これは社会人等も広く参加できるような方式に切りかえたわけでございますけれども、現在、この新制度に移りましてまだ間もないわけでございますが、質を維持しながら量をふやすということにつきましては、これからいろいろ、これまでの経験を踏まえながら工夫していかなければいけないことであろうかと思っております。
日本の場合に、これまで資格をお持ちになりました方が、大体、監査法人あるいは個人として監査業務に従事されるということでございましたのですが、これまでよりは少なくとも量の方においても充実強化する方向でこれからも検討してまいりたいと考えているところでございます。
〔宮下委員長代理退席、委員長着席〕
○とかしき委員 ぜひ、公認会計士の質と量、うまく確保できるようにお力添えいただければと思います。
次に、日本版のルールについてちょっとお伺いしていきたいと思います。
日本の近代の監査制度というのは、これは欧米から輸入されたものでございます。しかし、グローバリゼーションが進んだとしても、その国の風土や国情を反映した法制度が私は必要ではないかと考えております。欧州の証券規制当局委員会でも、日本の会計基準を国際会計基準と同等であるというふうにある程度評価をしているわけでございます。ということで、現在のような欧米の方に合わせていく方向性から、日本の独自の会計基準を世界に広めていく、逆の発想がそろそろ必要になってきているのではないでしょうか。
どうも、日本の企業もそうなんですけれども、スタンダード、ルールをつくっていくのがどうも苦手でございまして、企業活動は大分最近はそれに気がついて、力を注いでいくことになっているんですけれども、日本は、残念ながら、自分たちの法律を世界のスタンダードにしようという力がまだ働いていないようでございます。
日本独自の、中国やアジアの会社も、日本の公認会計士法、公認会計士が監査して東証に上場するということで、日本の公認会計士法によって進出ができるようにしていく、こういったことも今後考えていく必要があるのではないでしょうか。アジア独自の日本版会計ルールを今後創設していくおつもりはないのか、山本大臣にお伺いしたいと思います。
〔委員長退席、宮下委員長代理着席〕
○山本国務大臣 大変大事な点でありまして、これから日本経済がグローバル化の中でさらなる発展、飛躍を遂げるためには、このようなテーマというものを追求する姿勢が大事だろうというように思います。
我が国は、これまでも、独自の会計基準を維持する一方で、国際的な動向を踏まえまして、高品質かつ国際的に整合的な会計基準の整備に努めてまいりました。世界の三大金融資本市場の一角を占める日本としましては、金融資本市場のグローバル化を背景にしまして、まずは日米欧で会計基準のコンバージェンス、いわゆる収れんを図っていこうと考えているわけでございます。
このような認識のもとに、我が国の会計基準設定主体でございます企業会計基準委員会、ASBJは、現在、EU等で使用されております国際会計基準の設定主体でございます国際会計基準審議会、IASBや、米国財務会計基準審議会、FASBとの間で、会計基準の相互のコンバージェンスに向けた取り組みを積極化しているところでございます。
この取り組みの一方で、企業会計基準委員会は、アジアの会計基準設定主体とも意見交換を進めておりまして、例えば、企業会計基準委員会は、日中韓、この三カ国で会計基準設定主体会議を毎年開催しているわけでございます。
金融庁といたしましても、今後とも企業会計基準委員会によるこうした国際的な取り組みを積極的に支援してまいりたいと考えております。
○とかしき委員 ありがとうございました。日本版の会計基準のルールというのを広めていく、そういった努力も企業の成長にも役立つのではないかと思いますので、ぜひまたこれからも頑張っていただければと思います。
そろそろ時間で、最後の質問なんですけれども、公認会計士の将来像についていかがお考えかというのをお伺いしたいと思います。
今まで、なるべく情報を公開して市場の透明性を求めていくというのが公認会計士の仕事というふうになっていたんですけれども、これからは、この公認会計士の仕事、もっと役割が変わってくるかと思います。
ということで、市場の番人である公認会計士、今後どういうふうにしていったらいいのか、この業界をどういうふうに育てていきたいのか。それに伴って、日本の企業活動をどういうふうにサポートしていきたいのか、その辺の全体の構想を大臣にお伺いしたいと思います。
○山本国務大臣 公認会計士さんによる監査は、企業財務情報の信頼性を確保し、我が国金融資本市場の健全性、透明性を維持していく上で極めて重要な役割でございます。
企業活動の多様化、複雑化や、監査業務の複雑化、高度化が進展する中で、公認会計士監査がこうした役割を的確に果たしていくためには、監査法人がその業務管理体制を適切に整備、運用するとともに、監査人が、独立した強固な立場から監査に臨むことが重要と考えられています。
今般の改正案におきましても、監査法人の業務管理体制の強化を図るとともに、監査人の独立性と地位の強化等を目指しておりまして、こうした措置を通じて、公認会計士監査の一層の充実強化が図られることを期待するものでございます。
特に公認会計士のゴールに向かっての意見を問う、こういうことでございますが、まさに、今後の企業価値を高めるためには、経営者以上に公認会計士に期待されているということであろうと思っております。
○とかしき委員 ありがとうございました。
まさに大臣がおっしゃるように、公認会計士の役割、これからとても重要になってまいります。アメリカでは、公認会計士が出している監査証明書があれば融資が受けられるということで、ファイナンスに役に立つから、逆に、公認会計士は命がけで交渉に当たって一生懸命仕事をするという状況にあるわけです。
日本は、残念ながら、不動産が担保になっているということで、どうも今まで公認会計士の監査証明が軽視されている、そんな傾向もあったんですが、これからは日本もいよいよ直接金融の比重が高まってまいりまして、この監査証明のウエートがだんだん高くなってくるかと思います。ということで、公認会計士は、市場の番人から、これからもっと発展して、私は、金融のサポーター、企業のサポーター、そういう役割に変化すべきだと思います。
日本の制度は産業界の育成にどうも今まで力を注ぎ過ぎておりましたけれども、それにあわせて、両輪ということで監査制度の育成、これをしっかりしていくことが、日本の発展、国の発展には大変必要なことではないかというふうに思っております。
ということで、監査制度、これからも育成していけるように、そして、公認会計士の先生方が働きやすい環境をぜひ整えていただきますことをお願い申し上げて、質問とさせていただきます。
どうもありがとうございました。