166-衆-環境委員会-11号 平成19年05月18日
○西野委員長 これより政府に対する質疑を行います。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。とかしきなおみ君。
○とかしき委員 ありがとうございます。自民党のとかしきなおみでございます。
本日は、食品リサイクル法について質問させていただきたいと思います。
私も、地方議員のころから、こういったリサイクル、かなり興味を持っておりまして、世界じゅういろいろ拝見させていただきましたら、一つのことに気づきまして、食品というもののリサイクルの方法が、国によって、地域によって物すごく違う。実に、ごみの処理というのは民度を反映しているとよく言われるんですけれども、その中で、多分一番極端に、皆さんの物の考え方、ごみに対する意識が、食品をどういうふうに扱っていくのか、これによって出ているのではないかなというふうに思いました。
ということで、そういった経験も踏まえながら、昔から私は食品のリサイクルには興味を持っておりましたので、質問させていただきたいと思います。
温暖化社会を迎えて、二十一世紀に向かって、いかに私たちは環境に配慮をした生活をしていくのか、ここがとても重要な使命というふうに考えております。
特に食生活、私たち日本はとても豊かになってしまいまして、大量の食品が廃棄されて、大量の食べ残しということが、非常に浪費、無駄を生んでいるわけでございます。
農水省のホームページによりますと、平成十三年で大体、廃棄した食品、一日で七百三十一キロカロリー、昭和五十年のころには三百二十六で、二倍以上にふえているということで、平成十六年そして十七年を見ましても七百十八キロカロリーでほぼ横ばいということで、食品の廃棄に関してはほとんど改善傾向は見られておりません。簡単に言いますと、私たちは、一日に何と一食分も食料品をごみとして捨ててしまっている、そんな状況になっているわけでございます。
この無駄をいかに省いていくか、そして、無駄を省くだけじゃなくて、それをいかに循環させていくのか、これが今回の法律の一番のポイントではないかというふうに思います。
ということで、質問に移らせていただきたいと思いますけれども、平成十三年から食品リサイクル法が施行になっておりますけれども、施行からこれまでの間の再利用、そして今お話ししました発生抑制、これがどのように進捗していったのでしょうか。現状をお知らせください。
○由田政府参考人 食品リサイクル法は、御指摘のように平成十三年に施行されておりますが、食品関連事業者によります食品廃棄物等の再生利用等の実施率は、平成十三年の三七%から平成十七年の五二%へと着実に向上いたしまして、一定の成果が見られているところであります。
その内容を再生利用量で追ってみますと、食品産業全体で平成十三年度の三百二十四万トンから平成十七年度の五百三十万トンと一・六倍に、各業種ごとに見ても堅調に増加をいたしております。
しかし、再生利用が着実に進んだ一方で、食品廃棄物等の発生量は、平成十三年度の一千九十二万トンから平成十七年度の一千百三十六万トンへと、四%の増加を示しており、発生抑制が進んでいると判断できる特段の結果は見出しがたい状況にあります。
また、基本方針に定められました再生利用等の実施率の目標、二〇%ということでございますが、これを達成している事業者の割合は、目標年度の前年であります平成十七年度におきましても、食品関連事業者全体の二割弱、食品廃棄物等の発生量が百トン以上の事業者に限って見ましても三割弱と低水準にとどまっている状況であります。
〔委員長退席、桜井委員長代理着席〕
○とかしき委員 ありがとうございます。
今御報告を受けましたけれども、再生利用の方はかなり効果が上がったんですけれども、発生抑制の方がなかなか効果が上がっていない、そういったお話をいただきました。こういう結果の分析を通じて、いろいろな課題が見えてきたかと思います。
ということで、再生利用や発生抑制等を進めていく上でどんな課題があって、そして、今後、今回の食品リサイクル法の見直しによって、業種や業態の特徴に応じた再生利用、発生抑制、こういった環境整備をどういうふうにしていったらいいのか。具体的な改善点、そしてどんな効果を期待しているのか、その辺のことについて、土屋副大臣にお伺いしたいと思います。
○土屋副大臣 現状では、食品廃棄物等が大量に発生する食品製造業を見ましても、ごく一部の事業者が全体の再生利用等の実施率向上に寄与する一方で、食品流通の川下に位置する食品小売業や外食産業の取り組みは大きくおくれているわけでございます。その川下の事業者の底上げが今回の大きな課題であります。また、発生抑制については、業種、業態にかかわらず目立った進展が見られないのが現状で、食品関連事業者等に対する一層の意識の向上と取り組みを促す仕組みの整備が必要であるということでございます。
それから、今回の改正案では、一つには、定期報告義務を創設いたしまして、食品関連事業者に対する指導監督を強化するものとしておりますが、これは年に一回を予定しております。それから二つ目、リサイクルループを構築する場合には、国の認定を受けて廃棄物処理法の特例の対象となる制度を設け、再生利用等の取り組みの円滑化を図ることといたしました。これらの措置によって、主として川下の事業者の取り組みが進展するだろうと期待しているところでございます。
それから、発生抑制については、業種や業態の特殊性を踏まえた発生抑制の目標を設定することとしております。それで、食品関連事業者や消費者等の食の意識改革に関する啓発を強化する必要もあるので、これも予定しております。それから、発生抑制、再生利用を一体として推進することだけではなくて、発生抑制に焦点を当てることによって、食品関連事業者、消費者等の発生抑制に対する意識が向上すること、取り組みが進展することを期待しているところでございます。
○とかしき委員 五年間の食品リサイクル法でいろいろ経験を積んできたわけでございますけれども、こういった川下の問題とか発生抑制の問題、この点をやはり重点的にぜひ今後も取り組んでいただきたいと思います。
私も、この質問をするに当たりまして、地元の大阪そして東京の外食産業の方々、食品リサイクルに取り組んでいらっしゃるリサイクル業者の方、そして現場で実際にリサイクルループをなさっていらっしゃる方、そういった方々にいろいろお話を聞いてまいりました。いろいろなことでこういうことを聞いてほしいという依頼も受けましたので、幾つかちょっと疑問点が出てまいりましたので、まずその点について質問させていただきたいと思います。
現場のリサイクル業者の方から言われたのが、実は、実際に管轄官庁が環境省と農水省、両方が管轄をしていただいているんですけれども、非常に役割分担がわかりにくくなっているということで、連携は一体どうなっているのか、どこで線引きをなさっていらっしゃるのか。現状二つの省庁がかかわっていて、具体的に改善点を考えていらっしゃらないのか、どういうふうなことをしていったらいいか、その辺のことについてお考えをお示しいただければと思います。
○由田政府参考人 環境省は廃棄物・リサイクル対策、環境政策という立場から、それから農水省は農業、食品産業政策という立場から、食品廃棄物の再生利用等という共通の目的に向かって取り組んでおるわけであります。
具体的には、例えば、食品廃棄物の環境保全上適正な循環利用を確保するというふうなことは環境省の役割でありますし、リサイクル飼料や肥料の安全性や、安定的な需要の確保でありますとか、食品関連事業の健全な振興というのは農水省の役割であります。こうしたそれぞれの観点から、本法の措置を共同で実施することとなっているところであります。
今回の改正を検討するに当たりましては、両省の審議会を合同会合として開催するという形で連携体制を当初から構築し、検討を行ってきたところであります。
また、食品リサイクル法の施行に当たりましても、現場におきまして地方環境事務所が地方農政局と十分に連携するなど両省の連携体制が大変重要だと考えておりまして、この点も今後充実させてまいりたいというふうに考えております。
今後とも、両省におきまして十分な連携のもとで、食品リサイクルの推進に努めてまいりたいと考えております。
○とかしき委員 ぜひ現場で十分な連携がとれるように御配慮いただきたいと思います。
それから、もう一つ質問なんですが、今回の法改正によって、発生量を毎年報告させる対象として百トン以上の多量の発生業者ということなんですけれども、ここの百トンというのはどうして百トンというふうになったのか、その辺の理由をお知らせいただけますでしょうか。
○岡島政府参考人 お答え申し上げます。
年間発生量百トンという基準につきましては、まず、事業者数全体で見ますと、年間百トン以上排出されている事業者は全体の七%であるわけですけれども、量的に見ますと、発生量に占める割合が五割以上を占めている、まずその点でございます。それから、百トンという大量に食品廃棄物等を発生させる事業者ほど再生利用等に取り組んでいただく必要性が高いといったようなこと、また、大量の食品廃棄物等を発生させている事業者の取り組みの波及を通じて、それ以外の事業者の取り組みの促進が期待される、こういったことを考慮して設定したところでございます。
○とかしき委員 ありがとうございました。
次に、目標設定についてお伺いしたいんです。
食品リサイクル法、平成十三年のときは一律二〇%ということで業種共通に定められておりましたけれども、実際にやってみますと、川下と川上では状況がかなり違いまして、一律ということがなかなか難しいのではないかというふうに思うんです。業種や業態の違いに応じた再生利用そして発生抑制の目標設定を行うべきではないでしょうか。この辺についてのお答えをいただきたい。
もう一つ、リサイクル率。現場で聞いてみますと、リサイクル率をもっと高くしてほしいという声も出てきております。というのは、高くしてもらった方が、業界自身ももっと真剣に考えていく。二〇%ぐらいですと、ちょっと無理をすればまだまだできる。ただ、これが四〇%、五〇%ですと、根本から自分たちの仕事の仕方を考え直していかないと対応できない。しかし、やはりそれぐらいの気持ちでリサイクルというのは取り組んでいく必要があるのではないかということで、逆に目標設定をもっと高くしてほしいという声も出ておりました。
こういった目標設定、これは五年に一回法律見直しなんですけれども、五年に一度見直すだけではなくて、随時、業種、業態に合わせて見直しが必要かと思うんですけれども、その点いかがお考えか、お伺いしたいと思います。
○岡島政府参考人 御質問の点につきましては、環境省と我が省との合同審議会報告「食品リサイクル制度の見直しについて」においても、新たな実施率目標については、まず一点目、食品関連事業者の再生利用等の取り組みをもとに自己目標を各事業者ごとに立てていただく、二点目といたしまして、業種の特性等を考慮した上で、業種別の実施率に関する目標を定めるというふうに取りまとめられているところでございます。
こうしたことを受けまして、今後、具体的な目標のあり方、水準につきましては、法施行時までに食料・農業・農村審議会及び中央環境審議会の意見を聞きながら検討していくこととなりますけれども、現時点において考えておりますのは、現行の全業種、事業者一律の実施率目標ではなくて、まず、各事業者ごとに毎年度の基準となる目標値を設定して、これに即した取り組みを促す。それから、すべての事業者が目標どおりに取り組みを行った場合に達成されるであろう業種別の業種全体の中期的な目標、これはある意味では意欲的なものになろうかと思います、そういったものを設定することを念頭に置いているところでございます。
また、各年度見直すということについて、今も申し上げましたけれども、各事業者ごとには各年度の基準となる目標率を設定して、目標率がステップアップしていくようなことを考えているところでございます。
○とかしき委員 リサイクル意識というのは、目標が、ゴールが高ければ高いほど高くなってまいりますので、ぜひ柔軟な対応をよろしくお願いいたします。
それでは、今回の改正案、入り口の食品関連事業者には目標達成を強いているわけなんですけれども、出口である農家とか、それによって、農家から今度生成される食品の購入等の目標等は入っておりません。要は、今回、入り口の方はしっかりと目標設定の数値化をされているんですけれども、出口の部分を入り口にどうつないでいくのか、ここの目標設定がなされていないんです。
本当は、リサイクルループということでしっかり円として回していくためには、入り口と出口の連携をいかに上手にとっていくか、ここがポイントだというふうに考えていますけれども、その具体的方策をいかがお考えでしょうか。福井政務官にお願いいたします。
○福井大臣政務官 御指名ありがとうございます。
まさに先生御指摘のように、入り口だけではなくて、出口との連携が重要であるという御指摘でございます。まことにそのとおりだというふうに思っております。
食品循環資源の再生利用を図っていくには、製造された肥飼料が確実に利用されるという取り組みを確保することが重要でございます。したがって、今おっしゃいましたように、農業者等の参画が必要不可欠でございます。
このため、今回の改正におきましては、食品循環資源由来の肥飼料を用いて生産されました農畜水産物を排出者であります食品関連事業者が引き取ることを再生利用事業計画に位置づけるということにしたところでございます。
この新たな再生利用事業計画を活用することによりまして、肥飼料の確実な利用、そしてこれを通じました食品関連事業者と農業者との連携、これによりまして、まさにリサイクルループの形成を進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
〔桜井委員長代理退席、委員長着席〕
○とかしき委員 では、出口と入り口、うまくループが回るようによろしくお力添えいただければと思います。
それでは次に、熱回収についてお伺いいたしたいと思います。
今回の法律の中で、生ごみ、食べ残しを熱回収してもいいというふうに書いてあるんですけれども、これはどうやって熱回収をしていこうというふうにお考えなのでしょうか。そして、優先順位がもちろんあるんですけれども、どういった場合に熱回収を認めていこうとお考えなのか、その辺を明確に説明していただきたいと思います。
そして、もう一つ、実は私、調べておりましたら、ドイツのハノーバー市、ここも実は、生ごみを焼却処理していいということを決めているらしいんですけれども、ただ、安易に焼却しないようにということで、なるべく生ごみから発生するバイオガスの発電施設とか堆肥化施設とか、そういった施設をぐっと一カ所に集めて、その横に焼却施設を建てて、これは機械性生物処理、MBA方式というらしいんですけれども、なるべく一カ所にまとめることによって効率よく回していって、最後の最後の選択肢として焼却を認めよう、こういうようなことを考えているらしいんですね。
このようにしていくと、無駄なく、安易に焼却に回ってしまうというのもある程度は抑えられるのではないかなというふうに思うんですけれども、日本として、国としまして、今後、このような方式は検討なさる予定はないのか、その辺についてもお伺いしたいと思います。
○由田政府参考人 食品循環資源の熱回収の具体的な方法としましては、食品循環資源の焼却によって得られる熱を熱のまま利用するというやり方、それからまた電気に変換して利用するというふうなやり方を想定しておりまして、具体的には廃棄物発電が考え得るものであります。
熱回収は、循環型社会形成推進基本法の基本原則におきまして再生利用を優先し、再生利用がなされないものを熱回収されるべきとされていますことから、本法におきましては、食品循環資源の有効な利用の確保に資するものとして一定の基準に適合する場合にのみ、こうした廃棄物発電を熱回収として認めることとしているところであります。
具体的には、まず、塩分濃度が高い場合や異物の混入の程度が著しく分別が困難である場合など再生利用が困難な場合でありまして、特に、現行制度で再生利用手法として位置づけられておりますメタン化と同等程度以上に高い効率で発電等のエネルギーが利用できる場合、この二点を満たすことを熱回収の基準として定める予定に考えております。
それから、もう一つの御質問でございますが、いわゆるドイツのハノーバー市の例を挙げられましたが、この焼却施設と生ごみから発生するバイオガスによります発電施設や堆肥化施設の併設によりまして、例えば焼却施設におきまして得られる熱をバイオガスの発生あるいは堆肥化に必要な熱源として用いるなどエネルギー効率の面でより高度な処理を行うことができるというようなこともできるわけであります。
環境省では、このような焼却発電とバイオガスや堆肥化施設のコンバインドシステムを目指すべき新しいシステムと位置づけておりまして、その導入を促進していきたいというふうに考えております。
このため、今年度からバイオガスによる発電施設と熱回収を併設したシステムで高効率なものを、交付率を三分の一から二分の一に上げて支援するところとしたところでありまして、これらの措置を受けまして、現にこのようなシステムを計画中の自治体もございます。
循環型社会及び脱温暖化社会の実現に向けまして、今後とも、このような施設の整備に対する支援に努めてまいりたいというふうに考えております。
○とかしき委員 ありがとうございました。
なるべく、せっかくリサイクルという仕組みを今つくろうとしているわけですから、安易に焼却に逃げてしまわないように、ぜひしっかりと仕組みをつくっていただきたいと思います。
それでは、今度は再利用の優先順位についてお伺いしたいと思います。
食品リサイクル法で認められている四つの利用法、肥料化、飼料化、メタン化、油脂・油脂製品化というのが四つ、主にあるんですけれども、今回は、優先順位をある程度決められたかと思いますけれども、どういった優先順位で、なぜ今回このようになっていったのか。そして、それの期待される効果、なぜ優先順位を決めたのか、その辺のことをちょっとお話しいただけますでしょうか。
○岡島政府参考人 現状から御説明いたしますと、法制定当時に、新しい制度でございますので、食品関連事業者にまず制度を知ってもらう、それから各事業者が取り組みやすい手法から取り組んでいただくということでございまして、現状におきましては、再生利用手法についての優先順位という考えはなかったわけでございます。
環境省との合同の審議会等で議論をしていきました際に、やはり優先順位が必要だろう、その際に、やはりまず飼料化、これが食品循環資源の有する成分でありますとかカロリーを最も有効に活用できる手段であるといったようなこと。それから、最近は、配合飼料の国際価格が高騰するといったようなことで、食品循環資源由来の飼料は利用者からの需要も高まっているといったようなことで、今後も利用の拡大がかなり見込まれるといったようなこと。また三点目として、食品循環資源から製造される飼料、いわゆるエコフィードでございますけれども、それには国産の食品も含まれておりまして、その利用拡大によって、輸入飼料原料に置きかわるならば、いわゆる飼料自給率の向上にも寄与する、こういったことから、飼料化について優先していくのが妥当ではないかというふうに考えているところでございます。
○とかしき委員 ありがとうございます。
現場のリサイクル業者の方々がこの優先順位をとても気にしていらっしゃいましたので、今回の法律で明確化されたことは非常に喜んでおります。
しかし、今度、これ以外の挑戦をしているところもあるわけでございます。私もたまたま視察に伺わせていただきました、大阪のあるリサイクル業者の方、ここは、炭素固定とかカーボンニュートラルということで、新しい技術にどんどん挑戦しているところでございます。
こういった新しい挑戦をどんどん頑張っていただく、これも私は大切ではないかと思うんですけれども、こういった再利用の方法、新しい挑戦をしている人たちに対してどういうふうにしていったらいいのか。これは、例えば今決まってしまった優先順位の中には入らないわけなんですけれども、どういうふうにしていったらいいのか、その辺のことについて北川政務官にお答えいただければと思います。お願いします。
○北川(知)大臣政務官 とかしき委員の方からお話がありました、この四手法以外の新たな再生利用の方法の件についてでありますけれども、今、四手法を申されました。肥料化、飼料化につきましては、これは再生利用として法定化をされております。そして、油脂及び油脂製品化、メタン化、これについては政令において規定をされておるところであります。
しかしながら、今委員の方から御指摘がありましたように、この四手法以外でも技術進歩に応じた手法の多様化等も求められておりまして、例えば今、カーボンニュートラルのお話がありました。炭化及びバイオエタノール化についても、再生利用製品の品質を確保できる再生利用技術が確立をされ、一定の需要が確実に見込まれること、また、基本的に不適正な処理がなされるおそれがないなど一定の条件に適合する場合には、新たな再生利用手法として、今後、政令に規定する方向で検討を進めていきたいと考えております。
○とかしき委員 新しい技術挑戦、環境のこういう業界は、突然ある技術が出てきて、そちらの方が環境に優しいとか環境負荷がないという場合もよくありますので、ぜひこういった新しい挑戦の芽を摘まないで、むしろ後押しするような形で御配慮いただきたいと思います。
それでは、最後に若林大臣にお伺いしたいんですけれども、先ほども政府参考人の方々からいろいろお話を伺っておりますと、やはり、こういうリサイクル、頑張った人たちが頑張ったなりにある程度評価をもらわないと、なかなかやっていく力が出てこない、そういったお話が出ておりました。
ちょうど私も大阪のその業者のところに参りましたら、大臣から表彰状をことしの春にいただいたということで、物すごくうれしそうに、誇らしげに表彰状が飾ってありまして、その表彰状をいただいてから世間の評価が一変したということで、すごく仕事がしやすくなって、働いていらっしゃる皆様、私は休日にお邪魔をしたんですけれども、わざわざ全部あけてくださいまして、すごく生き生きとお仕事をなさっていらっしゃいました。
やはり、こういった仕事をなさっている方は、褒めていただく、評価される、これが私はとても重要ではないかなというふうに思います。さらに、やはりこれがまたビジネスに結びついていく、これが継続力になっていくのではないかと思います。
今回は、法制度の中で、どういうふうに頑張っているのか、だれが頑張っているのかということがわかるように、報告義務は入ってまいりました。しかし、この報告された情報をどうやって使っていくのか、そして、それをいかに世間一般、消費者の人たちにもっとわかりやすくこの情報を伝えていくのか、ここがまだちょっと弱いかなと正直思うわけでございます。
大臣として、正当に評価されてこの食品リサイクルの業界の皆さんが一生懸命頑張って続けていくようにするにはどういうふうにしていったらいいのか、大臣のお考え、応援のお言葉をぜひいただきたいと思います。
○若林国務大臣 食品のリサイクルの問題というのは、先ほど来いろいろ御議論いただいておりますが、まずは何といっても排出抑制というものをしっかりと徹底するということが大事だと思います。にもかかわらず、どうしても出てきます廃棄物については、これをできるだけリサイクルとして有効に利用していく。そういうことをリードしていくのはやはり消費者だと私は思うんですね。
消費者の皆さん方にだんだんと循環型社会、特にもったいないという気持ちが浸透をしてきているように思います。消費者のそういう気持ちにこたえるような事業者、レストランなどの食品提供者、あるいはまたスーパーその他の商店なども、そういう消費者の評価というものに応じて事業努力をしていくということが必要なことだと思います。
そういう意味で、今回、このような法律改正をいただきました。委員がおっしゃいますように、その関係の事業者が、従業員も気持ちを一つにして、元気を出してこの食品リサイクルに取り組んでいくということにするには、やはり優良な事業者についてこれを表彰する、褒めていくということは大変大事なことだと考えております。そういう意味では、表彰をし得るための客観的な基礎といったようなものも、今回の法律改正によりまして行政側もそれを得ることができるわけでありますし、その消費者の気持ちというものを生かしていくような、そういう立場から考えていかなきゃいけない。
一方、これを再利用するという視点からいいますと、これをえさあるいは肥料などにきちっと利用されていく農業生産者の関係もあるわけでございますが、こういう皆さん方は、できてきた製品に対する信頼、安全、安心の食料をつくるわけですから、信頼というのが大事であります。行政側はそういう視点を表彰という形で公にすることによって、事業者が消費者あるいは農産物の生産者に対しても自分が得たる信用度というものをアピールすることができるわけであります。
そういう意味で、この評価のためには、農林水産省の方では、第三者機関によりますリサイクル製品やリサイクルのシステムの優良な事業者に対してこれを評価、認定するルールづくりを行うということでこれを拡充することにしておりますし、環境省におきましても、これらの優良な事業について、従来も行ってまいりましたが、事業者の表彰をしっかりとしていくということを考えておりまして、今後、両省で協力、連携をして、こういう具体的な事例というものを発信することによりまして、優良な取り組みが社会的に評価され、そのことによって食品のリサイクルが促進されるように、さらに一層努めてまいりたい、このように考えております。
○とかしき委員 ありがとうございました。
私も世界じゅう見てまいりまして、日本は市民の協力度、やる気になるとすごく、その分別も一生懸命やって、そしてリサイクル技術もすばらしく、そしてでき上がってくる商品の精度も非常に高いということで、私、環境ビジネスのチャンスは日本は物すごくあるのではないかなと思います。皆さんが褒めて育てる、この環境ビジネスというのは褒めていただくというのが非常に大切でございますので、ぜひ褒めて育てて、日本の競争力のある産業に育てていただければと思います。
どうもありがとうございました。
○西野委員長 これより政府に対する質疑を行います。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。とかしきなおみ君。
○とかしき委員 ありがとうございます。自民党のとかしきなおみでございます。
本日は、食品リサイクル法について質問させていただきたいと思います。
私も、地方議員のころから、こういったリサイクル、かなり興味を持っておりまして、世界じゅういろいろ拝見させていただきましたら、一つのことに気づきまして、食品というもののリサイクルの方法が、国によって、地域によって物すごく違う。実に、ごみの処理というのは民度を反映しているとよく言われるんですけれども、その中で、多分一番極端に、皆さんの物の考え方、ごみに対する意識が、食品をどういうふうに扱っていくのか、これによって出ているのではないかなというふうに思いました。
ということで、そういった経験も踏まえながら、昔から私は食品のリサイクルには興味を持っておりましたので、質問させていただきたいと思います。
温暖化社会を迎えて、二十一世紀に向かって、いかに私たちは環境に配慮をした生活をしていくのか、ここがとても重要な使命というふうに考えております。
特に食生活、私たち日本はとても豊かになってしまいまして、大量の食品が廃棄されて、大量の食べ残しということが、非常に浪費、無駄を生んでいるわけでございます。
農水省のホームページによりますと、平成十三年で大体、廃棄した食品、一日で七百三十一キロカロリー、昭和五十年のころには三百二十六で、二倍以上にふえているということで、平成十六年そして十七年を見ましても七百十八キロカロリーでほぼ横ばいということで、食品の廃棄に関してはほとんど改善傾向は見られておりません。簡単に言いますと、私たちは、一日に何と一食分も食料品をごみとして捨ててしまっている、そんな状況になっているわけでございます。
この無駄をいかに省いていくか、そして、無駄を省くだけじゃなくて、それをいかに循環させていくのか、これが今回の法律の一番のポイントではないかというふうに思います。
ということで、質問に移らせていただきたいと思いますけれども、平成十三年から食品リサイクル法が施行になっておりますけれども、施行からこれまでの間の再利用、そして今お話ししました発生抑制、これがどのように進捗していったのでしょうか。現状をお知らせください。
○由田政府参考人 食品リサイクル法は、御指摘のように平成十三年に施行されておりますが、食品関連事業者によります食品廃棄物等の再生利用等の実施率は、平成十三年の三七%から平成十七年の五二%へと着実に向上いたしまして、一定の成果が見られているところであります。
その内容を再生利用量で追ってみますと、食品産業全体で平成十三年度の三百二十四万トンから平成十七年度の五百三十万トンと一・六倍に、各業種ごとに見ても堅調に増加をいたしております。
しかし、再生利用が着実に進んだ一方で、食品廃棄物等の発生量は、平成十三年度の一千九十二万トンから平成十七年度の一千百三十六万トンへと、四%の増加を示しており、発生抑制が進んでいると判断できる特段の結果は見出しがたい状況にあります。
また、基本方針に定められました再生利用等の実施率の目標、二〇%ということでございますが、これを達成している事業者の割合は、目標年度の前年であります平成十七年度におきましても、食品関連事業者全体の二割弱、食品廃棄物等の発生量が百トン以上の事業者に限って見ましても三割弱と低水準にとどまっている状況であります。
〔委員長退席、桜井委員長代理着席〕
○とかしき委員 ありがとうございます。
今御報告を受けましたけれども、再生利用の方はかなり効果が上がったんですけれども、発生抑制の方がなかなか効果が上がっていない、そういったお話をいただきました。こういう結果の分析を通じて、いろいろな課題が見えてきたかと思います。
ということで、再生利用や発生抑制等を進めていく上でどんな課題があって、そして、今後、今回の食品リサイクル法の見直しによって、業種や業態の特徴に応じた再生利用、発生抑制、こういった環境整備をどういうふうにしていったらいいのか。具体的な改善点、そしてどんな効果を期待しているのか、その辺のことについて、土屋副大臣にお伺いしたいと思います。
○土屋副大臣 現状では、食品廃棄物等が大量に発生する食品製造業を見ましても、ごく一部の事業者が全体の再生利用等の実施率向上に寄与する一方で、食品流通の川下に位置する食品小売業や外食産業の取り組みは大きくおくれているわけでございます。その川下の事業者の底上げが今回の大きな課題であります。また、発生抑制については、業種、業態にかかわらず目立った進展が見られないのが現状で、食品関連事業者等に対する一層の意識の向上と取り組みを促す仕組みの整備が必要であるということでございます。
それから、今回の改正案では、一つには、定期報告義務を創設いたしまして、食品関連事業者に対する指導監督を強化するものとしておりますが、これは年に一回を予定しております。それから二つ目、リサイクルループを構築する場合には、国の認定を受けて廃棄物処理法の特例の対象となる制度を設け、再生利用等の取り組みの円滑化を図ることといたしました。これらの措置によって、主として川下の事業者の取り組みが進展するだろうと期待しているところでございます。
それから、発生抑制については、業種や業態の特殊性を踏まえた発生抑制の目標を設定することとしております。それで、食品関連事業者や消費者等の食の意識改革に関する啓発を強化する必要もあるので、これも予定しております。それから、発生抑制、再生利用を一体として推進することだけではなくて、発生抑制に焦点を当てることによって、食品関連事業者、消費者等の発生抑制に対する意識が向上すること、取り組みが進展することを期待しているところでございます。
○とかしき委員 五年間の食品リサイクル法でいろいろ経験を積んできたわけでございますけれども、こういった川下の問題とか発生抑制の問題、この点をやはり重点的にぜひ今後も取り組んでいただきたいと思います。
私も、この質問をするに当たりまして、地元の大阪そして東京の外食産業の方々、食品リサイクルに取り組んでいらっしゃるリサイクル業者の方、そして現場で実際にリサイクルループをなさっていらっしゃる方、そういった方々にいろいろお話を聞いてまいりました。いろいろなことでこういうことを聞いてほしいという依頼も受けましたので、幾つかちょっと疑問点が出てまいりましたので、まずその点について質問させていただきたいと思います。
現場のリサイクル業者の方から言われたのが、実は、実際に管轄官庁が環境省と農水省、両方が管轄をしていただいているんですけれども、非常に役割分担がわかりにくくなっているということで、連携は一体どうなっているのか、どこで線引きをなさっていらっしゃるのか。現状二つの省庁がかかわっていて、具体的に改善点を考えていらっしゃらないのか、どういうふうなことをしていったらいいか、その辺のことについてお考えをお示しいただければと思います。
○由田政府参考人 環境省は廃棄物・リサイクル対策、環境政策という立場から、それから農水省は農業、食品産業政策という立場から、食品廃棄物の再生利用等という共通の目的に向かって取り組んでおるわけであります。
具体的には、例えば、食品廃棄物の環境保全上適正な循環利用を確保するというふうなことは環境省の役割でありますし、リサイクル飼料や肥料の安全性や、安定的な需要の確保でありますとか、食品関連事業の健全な振興というのは農水省の役割であります。こうしたそれぞれの観点から、本法の措置を共同で実施することとなっているところであります。
今回の改正を検討するに当たりましては、両省の審議会を合同会合として開催するという形で連携体制を当初から構築し、検討を行ってきたところであります。
また、食品リサイクル法の施行に当たりましても、現場におきまして地方環境事務所が地方農政局と十分に連携するなど両省の連携体制が大変重要だと考えておりまして、この点も今後充実させてまいりたいというふうに考えております。
今後とも、両省におきまして十分な連携のもとで、食品リサイクルの推進に努めてまいりたいと考えております。
○とかしき委員 ぜひ現場で十分な連携がとれるように御配慮いただきたいと思います。
それから、もう一つ質問なんですが、今回の法改正によって、発生量を毎年報告させる対象として百トン以上の多量の発生業者ということなんですけれども、ここの百トンというのはどうして百トンというふうになったのか、その辺の理由をお知らせいただけますでしょうか。
○岡島政府参考人 お答え申し上げます。
年間発生量百トンという基準につきましては、まず、事業者数全体で見ますと、年間百トン以上排出されている事業者は全体の七%であるわけですけれども、量的に見ますと、発生量に占める割合が五割以上を占めている、まずその点でございます。それから、百トンという大量に食品廃棄物等を発生させる事業者ほど再生利用等に取り組んでいただく必要性が高いといったようなこと、また、大量の食品廃棄物等を発生させている事業者の取り組みの波及を通じて、それ以外の事業者の取り組みの促進が期待される、こういったことを考慮して設定したところでございます。
○とかしき委員 ありがとうございました。
次に、目標設定についてお伺いしたいんです。
食品リサイクル法、平成十三年のときは一律二〇%ということで業種共通に定められておりましたけれども、実際にやってみますと、川下と川上では状況がかなり違いまして、一律ということがなかなか難しいのではないかというふうに思うんです。業種や業態の違いに応じた再生利用そして発生抑制の目標設定を行うべきではないでしょうか。この辺についてのお答えをいただきたい。
もう一つ、リサイクル率。現場で聞いてみますと、リサイクル率をもっと高くしてほしいという声も出てきております。というのは、高くしてもらった方が、業界自身ももっと真剣に考えていく。二〇%ぐらいですと、ちょっと無理をすればまだまだできる。ただ、これが四〇%、五〇%ですと、根本から自分たちの仕事の仕方を考え直していかないと対応できない。しかし、やはりそれぐらいの気持ちでリサイクルというのは取り組んでいく必要があるのではないかということで、逆に目標設定をもっと高くしてほしいという声も出ておりました。
こういった目標設定、これは五年に一回法律見直しなんですけれども、五年に一度見直すだけではなくて、随時、業種、業態に合わせて見直しが必要かと思うんですけれども、その点いかがお考えか、お伺いしたいと思います。
○岡島政府参考人 御質問の点につきましては、環境省と我が省との合同審議会報告「食品リサイクル制度の見直しについて」においても、新たな実施率目標については、まず一点目、食品関連事業者の再生利用等の取り組みをもとに自己目標を各事業者ごとに立てていただく、二点目といたしまして、業種の特性等を考慮した上で、業種別の実施率に関する目標を定めるというふうに取りまとめられているところでございます。
こうしたことを受けまして、今後、具体的な目標のあり方、水準につきましては、法施行時までに食料・農業・農村審議会及び中央環境審議会の意見を聞きながら検討していくこととなりますけれども、現時点において考えておりますのは、現行の全業種、事業者一律の実施率目標ではなくて、まず、各事業者ごとに毎年度の基準となる目標値を設定して、これに即した取り組みを促す。それから、すべての事業者が目標どおりに取り組みを行った場合に達成されるであろう業種別の業種全体の中期的な目標、これはある意味では意欲的なものになろうかと思います、そういったものを設定することを念頭に置いているところでございます。
また、各年度見直すということについて、今も申し上げましたけれども、各事業者ごとには各年度の基準となる目標率を設定して、目標率がステップアップしていくようなことを考えているところでございます。
○とかしき委員 リサイクル意識というのは、目標が、ゴールが高ければ高いほど高くなってまいりますので、ぜひ柔軟な対応をよろしくお願いいたします。
それでは、今回の改正案、入り口の食品関連事業者には目標達成を強いているわけなんですけれども、出口である農家とか、それによって、農家から今度生成される食品の購入等の目標等は入っておりません。要は、今回、入り口の方はしっかりと目標設定の数値化をされているんですけれども、出口の部分を入り口にどうつないでいくのか、ここの目標設定がなされていないんです。
本当は、リサイクルループということでしっかり円として回していくためには、入り口と出口の連携をいかに上手にとっていくか、ここがポイントだというふうに考えていますけれども、その具体的方策をいかがお考えでしょうか。福井政務官にお願いいたします。
○福井大臣政務官 御指名ありがとうございます。
まさに先生御指摘のように、入り口だけではなくて、出口との連携が重要であるという御指摘でございます。まことにそのとおりだというふうに思っております。
食品循環資源の再生利用を図っていくには、製造された肥飼料が確実に利用されるという取り組みを確保することが重要でございます。したがって、今おっしゃいましたように、農業者等の参画が必要不可欠でございます。
このため、今回の改正におきましては、食品循環資源由来の肥飼料を用いて生産されました農畜水産物を排出者であります食品関連事業者が引き取ることを再生利用事業計画に位置づけるということにしたところでございます。
この新たな再生利用事業計画を活用することによりまして、肥飼料の確実な利用、そしてこれを通じました食品関連事業者と農業者との連携、これによりまして、まさにリサイクルループの形成を進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
〔桜井委員長代理退席、委員長着席〕
○とかしき委員 では、出口と入り口、うまくループが回るようによろしくお力添えいただければと思います。
それでは次に、熱回収についてお伺いいたしたいと思います。
今回の法律の中で、生ごみ、食べ残しを熱回収してもいいというふうに書いてあるんですけれども、これはどうやって熱回収をしていこうというふうにお考えなのでしょうか。そして、優先順位がもちろんあるんですけれども、どういった場合に熱回収を認めていこうとお考えなのか、その辺を明確に説明していただきたいと思います。
そして、もう一つ、実は私、調べておりましたら、ドイツのハノーバー市、ここも実は、生ごみを焼却処理していいということを決めているらしいんですけれども、ただ、安易に焼却しないようにということで、なるべく生ごみから発生するバイオガスの発電施設とか堆肥化施設とか、そういった施設をぐっと一カ所に集めて、その横に焼却施設を建てて、これは機械性生物処理、MBA方式というらしいんですけれども、なるべく一カ所にまとめることによって効率よく回していって、最後の最後の選択肢として焼却を認めよう、こういうようなことを考えているらしいんですね。
このようにしていくと、無駄なく、安易に焼却に回ってしまうというのもある程度は抑えられるのではないかなというふうに思うんですけれども、日本として、国としまして、今後、このような方式は検討なさる予定はないのか、その辺についてもお伺いしたいと思います。
○由田政府参考人 食品循環資源の熱回収の具体的な方法としましては、食品循環資源の焼却によって得られる熱を熱のまま利用するというやり方、それからまた電気に変換して利用するというふうなやり方を想定しておりまして、具体的には廃棄物発電が考え得るものであります。
熱回収は、循環型社会形成推進基本法の基本原則におきまして再生利用を優先し、再生利用がなされないものを熱回収されるべきとされていますことから、本法におきましては、食品循環資源の有効な利用の確保に資するものとして一定の基準に適合する場合にのみ、こうした廃棄物発電を熱回収として認めることとしているところであります。
具体的には、まず、塩分濃度が高い場合や異物の混入の程度が著しく分別が困難である場合など再生利用が困難な場合でありまして、特に、現行制度で再生利用手法として位置づけられておりますメタン化と同等程度以上に高い効率で発電等のエネルギーが利用できる場合、この二点を満たすことを熱回収の基準として定める予定に考えております。
それから、もう一つの御質問でございますが、いわゆるドイツのハノーバー市の例を挙げられましたが、この焼却施設と生ごみから発生するバイオガスによります発電施設や堆肥化施設の併設によりまして、例えば焼却施設におきまして得られる熱をバイオガスの発生あるいは堆肥化に必要な熱源として用いるなどエネルギー効率の面でより高度な処理を行うことができるというようなこともできるわけであります。
環境省では、このような焼却発電とバイオガスや堆肥化施設のコンバインドシステムを目指すべき新しいシステムと位置づけておりまして、その導入を促進していきたいというふうに考えております。
このため、今年度からバイオガスによる発電施設と熱回収を併設したシステムで高効率なものを、交付率を三分の一から二分の一に上げて支援するところとしたところでありまして、これらの措置を受けまして、現にこのようなシステムを計画中の自治体もございます。
循環型社会及び脱温暖化社会の実現に向けまして、今後とも、このような施設の整備に対する支援に努めてまいりたいというふうに考えております。
○とかしき委員 ありがとうございました。
なるべく、せっかくリサイクルという仕組みを今つくろうとしているわけですから、安易に焼却に逃げてしまわないように、ぜひしっかりと仕組みをつくっていただきたいと思います。
それでは、今度は再利用の優先順位についてお伺いしたいと思います。
食品リサイクル法で認められている四つの利用法、肥料化、飼料化、メタン化、油脂・油脂製品化というのが四つ、主にあるんですけれども、今回は、優先順位をある程度決められたかと思いますけれども、どういった優先順位で、なぜ今回このようになっていったのか。そして、それの期待される効果、なぜ優先順位を決めたのか、その辺のことをちょっとお話しいただけますでしょうか。
○岡島政府参考人 現状から御説明いたしますと、法制定当時に、新しい制度でございますので、食品関連事業者にまず制度を知ってもらう、それから各事業者が取り組みやすい手法から取り組んでいただくということでございまして、現状におきましては、再生利用手法についての優先順位という考えはなかったわけでございます。
環境省との合同の審議会等で議論をしていきました際に、やはり優先順位が必要だろう、その際に、やはりまず飼料化、これが食品循環資源の有する成分でありますとかカロリーを最も有効に活用できる手段であるといったようなこと。それから、最近は、配合飼料の国際価格が高騰するといったようなことで、食品循環資源由来の飼料は利用者からの需要も高まっているといったようなことで、今後も利用の拡大がかなり見込まれるといったようなこと。また三点目として、食品循環資源から製造される飼料、いわゆるエコフィードでございますけれども、それには国産の食品も含まれておりまして、その利用拡大によって、輸入飼料原料に置きかわるならば、いわゆる飼料自給率の向上にも寄与する、こういったことから、飼料化について優先していくのが妥当ではないかというふうに考えているところでございます。
○とかしき委員 ありがとうございます。
現場のリサイクル業者の方々がこの優先順位をとても気にしていらっしゃいましたので、今回の法律で明確化されたことは非常に喜んでおります。
しかし、今度、これ以外の挑戦をしているところもあるわけでございます。私もたまたま視察に伺わせていただきました、大阪のあるリサイクル業者の方、ここは、炭素固定とかカーボンニュートラルということで、新しい技術にどんどん挑戦しているところでございます。
こういった新しい挑戦をどんどん頑張っていただく、これも私は大切ではないかと思うんですけれども、こういった再利用の方法、新しい挑戦をしている人たちに対してどういうふうにしていったらいいのか。これは、例えば今決まってしまった優先順位の中には入らないわけなんですけれども、どういうふうにしていったらいいのか、その辺のことについて北川政務官にお答えいただければと思います。お願いします。
○北川(知)大臣政務官 とかしき委員の方からお話がありました、この四手法以外の新たな再生利用の方法の件についてでありますけれども、今、四手法を申されました。肥料化、飼料化につきましては、これは再生利用として法定化をされております。そして、油脂及び油脂製品化、メタン化、これについては政令において規定をされておるところであります。
しかしながら、今委員の方から御指摘がありましたように、この四手法以外でも技術進歩に応じた手法の多様化等も求められておりまして、例えば今、カーボンニュートラルのお話がありました。炭化及びバイオエタノール化についても、再生利用製品の品質を確保できる再生利用技術が確立をされ、一定の需要が確実に見込まれること、また、基本的に不適正な処理がなされるおそれがないなど一定の条件に適合する場合には、新たな再生利用手法として、今後、政令に規定する方向で検討を進めていきたいと考えております。
○とかしき委員 新しい技術挑戦、環境のこういう業界は、突然ある技術が出てきて、そちらの方が環境に優しいとか環境負荷がないという場合もよくありますので、ぜひこういった新しい挑戦の芽を摘まないで、むしろ後押しするような形で御配慮いただきたいと思います。
それでは、最後に若林大臣にお伺いしたいんですけれども、先ほども政府参考人の方々からいろいろお話を伺っておりますと、やはり、こういうリサイクル、頑張った人たちが頑張ったなりにある程度評価をもらわないと、なかなかやっていく力が出てこない、そういったお話が出ておりました。
ちょうど私も大阪のその業者のところに参りましたら、大臣から表彰状をことしの春にいただいたということで、物すごくうれしそうに、誇らしげに表彰状が飾ってありまして、その表彰状をいただいてから世間の評価が一変したということで、すごく仕事がしやすくなって、働いていらっしゃる皆様、私は休日にお邪魔をしたんですけれども、わざわざ全部あけてくださいまして、すごく生き生きとお仕事をなさっていらっしゃいました。
やはり、こういった仕事をなさっている方は、褒めていただく、評価される、これが私はとても重要ではないかなというふうに思います。さらに、やはりこれがまたビジネスに結びついていく、これが継続力になっていくのではないかと思います。
今回は、法制度の中で、どういうふうに頑張っているのか、だれが頑張っているのかということがわかるように、報告義務は入ってまいりました。しかし、この報告された情報をどうやって使っていくのか、そして、それをいかに世間一般、消費者の人たちにもっとわかりやすくこの情報を伝えていくのか、ここがまだちょっと弱いかなと正直思うわけでございます。
大臣として、正当に評価されてこの食品リサイクルの業界の皆さんが一生懸命頑張って続けていくようにするにはどういうふうにしていったらいいのか、大臣のお考え、応援のお言葉をぜひいただきたいと思います。
○若林国務大臣 食品のリサイクルの問題というのは、先ほど来いろいろ御議論いただいておりますが、まずは何といっても排出抑制というものをしっかりと徹底するということが大事だと思います。にもかかわらず、どうしても出てきます廃棄物については、これをできるだけリサイクルとして有効に利用していく。そういうことをリードしていくのはやはり消費者だと私は思うんですね。
消費者の皆さん方にだんだんと循環型社会、特にもったいないという気持ちが浸透をしてきているように思います。消費者のそういう気持ちにこたえるような事業者、レストランなどの食品提供者、あるいはまたスーパーその他の商店なども、そういう消費者の評価というものに応じて事業努力をしていくということが必要なことだと思います。
そういう意味で、今回、このような法律改正をいただきました。委員がおっしゃいますように、その関係の事業者が、従業員も気持ちを一つにして、元気を出してこの食品リサイクルに取り組んでいくということにするには、やはり優良な事業者についてこれを表彰する、褒めていくということは大変大事なことだと考えております。そういう意味では、表彰をし得るための客観的な基礎といったようなものも、今回の法律改正によりまして行政側もそれを得ることができるわけでありますし、その消費者の気持ちというものを生かしていくような、そういう立場から考えていかなきゃいけない。
一方、これを再利用するという視点からいいますと、これをえさあるいは肥料などにきちっと利用されていく農業生産者の関係もあるわけでございますが、こういう皆さん方は、できてきた製品に対する信頼、安全、安心の食料をつくるわけですから、信頼というのが大事であります。行政側はそういう視点を表彰という形で公にすることによって、事業者が消費者あるいは農産物の生産者に対しても自分が得たる信用度というものをアピールすることができるわけであります。
そういう意味で、この評価のためには、農林水産省の方では、第三者機関によりますリサイクル製品やリサイクルのシステムの優良な事業者に対してこれを評価、認定するルールづくりを行うということでこれを拡充することにしておりますし、環境省におきましても、これらの優良な事業について、従来も行ってまいりましたが、事業者の表彰をしっかりとしていくということを考えておりまして、今後、両省で協力、連携をして、こういう具体的な事例というものを発信することによりまして、優良な取り組みが社会的に評価され、そのことによって食品のリサイクルが促進されるように、さらに一層努めてまいりたい、このように考えております。
○とかしき委員 ありがとうございました。
私も世界じゅう見てまいりまして、日本は市民の協力度、やる気になるとすごく、その分別も一生懸命やって、そしてリサイクル技術もすばらしく、そしてでき上がってくる商品の精度も非常に高いということで、私、環境ビジネスのチャンスは日本は物すごくあるのではないかなと思います。皆さんが褒めて育てる、この環境ビジネスというのは褒めていただくというのが非常に大切でございますので、ぜひ褒めて育てて、日本の競争力のある産業に育てていただければと思います。
どうもありがとうございました。