166-衆-予算委員会第五分科会-1号 平成19年02月28日
○とかしき分科員 きょうは、予算委員会の方の分科会で質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
本日は、高齢者の在宅医療についてお伺いしていきたいと思います。
皆様も御存じのように、二〇〇五年には、ついに死亡数の方が出生数を上回ってしまいまして、人口が一万九千人減ということで、今、六十五歳以上が二千六百万人おりますけれども、十八年後の二〇二五年には三千五百万人ということで、高齢者一人を支える若者が、今は三・一人ですけれども、十八年後には一・九人という、高齢社会に加えて人口減社会ということで、日本はある意味で世界の中でもかなり特異的な状況になってきております。
ということで、このような状況を受けまして、昨年の六月、いよいよ医療制度改革関連法が成立されまして、平成二十年から後期高齢者を対象とした独立した医療制度を創設していこう、こういった方向性が見えてまいりました。
ということで、この後期高齢者の医療はどんな特徴があるのか、そして、この後期高齢者医療における課題は何なのか、この辺のことについてお伺いしたいと思います。
〔主査退席、河井主査代理着席〕
○水田政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘のとおり、後期高齢者医療制度は平成二十年度から開始されるわけでございます。
そこで、新たな制度におきましては、新たな診療報酬体系を設けることになっておりますけれども、そのいわば前提として、高齢者にとって心身の特性にふさわしい医療というのはどういうものであるのかということを、実は、昨年九月に設置されました社会保障審議会の後期高齢者医療の在り方に関する特別部会で議論をいただいているところでございます。
その場におきまして、心身の特性ということについて言われておりますのは三点ございまして、一つは、老化に伴う生理的機能の低下によりまして、治療の長期化、それから複数の疾患、特に慢性疾患への罹患が見られるということ、二点目は、多くの高齢者に、症状の軽重は別といたしまして、認知症の問題が見られるということ、三点目に、いずれ避けることができない死を迎える、こういったことにつきまして御指摘をいただいているところでございます。
○とかしき分科員 ありがとうございます。
慢性疾患や認知症、死を迎えるということで、医療制度の中で、こういった後期高齢者の方々というのは、ある意味でかなり特異な状況に置かれているわけでございます。
ということは、後期高齢者にふさわしい医療提供のあり方、これはかなり特殊になってくるかと思いますけれども、国としての取り組みの方向性、そういったことについてちょっと詳しく御説明いただけますでしょうか。
○松谷政府参考人 今答弁申し上げましたように、後期高齢者は心身の特性がかなり異なっておるということから、複数の疾患をあわせ持っている、あるいは、慢性の疾患のための、その人その人の生活に合わせた療養を考える必要がある、あるいは、頻回受診をする傾向がございますので、そういう方々への検査、投薬というものをどのように見ていくかというようなこと、あるいは、療養が地域において行えるようにする、あるいは、患者自身がみずから治療法を選択していくというようなことを満たすようなことを考えていく必要があろうかと思います。
そのためには、一つは、高齢者の方々をサポートする地域での体制、特に在宅での医療を重視した医療というのが必要でございます。このためには、従前から推進してございます、かかりつけ医を持って、その方と御相談しながら自分の体についてのケアを考えていく、また、そういう方々とともに訪問診療、訪問看護など在宅での医療ができるような体制をとっていく、あるいは、複数疾患を抱えるということから、総合的に診ていくお医者さんを育てていく必要があるというようなこと、さらに、最終的には私どもはすべて終末期を迎えるわけでございますけれども、そういうことについては、疼痛緩和あるいは自己決定といったような観点からのこと、それから、介護保険との連携といったような各般の体制を今後は進めていく必要があるというふうに認識しております。
○とかしき分科員 地域におけるそういったサポート、そして介護保険との連携ということで、後期高齢者は場所によっていろいろ医療体制が変わってくるかと思うんです。例えば、入院をしている入院医療の場合、外来医療の場合、そして在宅医療ということで、特に、国の方は、この在宅医療の方に今後力を入れていこうというふうになさっているようなんですけれども、それぞれの役割が多分微妙に変わってくるかと思うんです。
求められるそれぞれの役割は何なのか、それの連携をどういうふうに考えているのか、そして、国として、どちらの方に今後ウエートを持っていこうと思っていらっしゃるのか、その目標とかもございましたら、あわせてお知らせください。
○水田政府参考人 後期高齢者の、それぞれの医療提供の場面場面に応じた医療の役割ということでございます。
先ほども申し上げました特別部会における議論を御披露いたしますと、一つは、急性期の医療、これは入院医療ということもあろうかと思います。急性期の医療にありましても、治療後の生活を見越した医療の提供が重要であるということが指摘されております。また、二点目といたしましては、在宅医療を実施する医師などを含めまして、医療機関の機能、特性に応じた地域における医療連携が重要となるという御指摘。それから三点目は、複数疾患を抱える後期高齢者を総合的に診る医師が必要となることが言われておりまして、特に在宅医療の場面を考えますと、こういった後期高齢者を総合的に診療できる医師の必要性ということが指摘をされているところでございます。
○とかしき分科員 ありがとうございます。
実は、私も薬剤師でございまして、地方議員をしておりましたときから何回か薬にかかわる陳情等もいろいろございまして、中には重複投与による副作用の陳情みたいなものもございまして、あるお宅にお伺いしたところ、物すごい量の薬を飲んでいらっしゃいまして、特に、その方はうつ病だったんですけれども、複数の医療機関にかかって、うつ病であるということをどんどん言って回っていると、皆さんが気を使ってうつ病の薬をお出しになって、それを生まじめに飲んでいらして、ますます病状が悪化していくということで、それで体調が悪いということで陳情があったわけなんです。
そういったことがあったり、あと、私の祖父もそうだったんですけれども、非常に薬の量をたくさん飲んでおりまして、手にいっぱい余るぐらい薬を飲んでおりました。祖父は、食事のときに薬が飲めなくなるといけないのでということで、食事の量までコントロールを始めまして、一体何のために薬を飲んでいるのだろうと、当時、私は学生、高校生だったんですけれども、祖父のその姿を見て、私が薬剤師になって、必要な薬とそうじゃない薬を見分けてあげよう、こういうふうに思って薬剤師になったんですけれども、なったころには祖父は亡くなっておりまして、結局、亡くなった死因は胃がんだったわけですね。これは多分、薬をたくさん飲み過ぎたことによって胃がんになっていたのではないかというふうに医者の方にも言われました。
こういったことによって、加齢によっていろいろな複数の疾病を抱えることによって、使用される薬剤は当然ふえてくるわけです。そして、生活習慣病ということで、長期にわたって、いろいろな複数の薬がどんどんふえてまいります。そして、重複投与も出てまいりますし、薬物相互の作用も出てまいります。あと、臓器の機能低下による副作用の危険性も出てくる。
そして、何といっても身体的な機能の低下ということで、先ほども話がありましたけれども、認知症が入ってきたりとか、視覚、聴覚も不自由になってきたり、嚥下障害が出てきたりということで、自己管理がだんだん高齢者になってくると非常に困難になってくるわけです。となると、周りの人たちもかなり支えてあげないと、こういった治療の体制も整えることが難しくなってまいります。調剤の工夫による服薬の援助、こういったこともどんどんしていかなくてはいけないわけです。
ということで、後期高齢者の薬物治療というのは結構難しいわけですけれども、その辺、国としてどういった指導を今後していこうか、どういうふうに取り組んでいこうと思っていらっしゃるのか、お聞かせください。
○水田政府参考人 後期高齢者の薬物治療の特性という点につきましては、先生御指摘のとおりでございます。
一つは、加齢とともに複数の疾病を合併する割合が高くなり、使用する薬剤数がふえるということ。それから、高血圧など生活習慣病の罹患率が高いわけでございますので、長期にわたって薬物治療を受ける患者が増加するということ。それから、腎臓機能、肝臓機能などの生理機能の低下によって、薬物の作用が増強したり、副作用が発生しやすくなる、こういったことが見られるということ。それから、複数医療機関を頻回受診する傾向があり、投薬におきまして多数、重複、こういった傾向が見られることが挙げられるわけでございます。
これらに対してどのような対応をしていくかということがポイントになるわけでございますけれども、特に、薬局につきましては、こういった医薬品の重複、相互作用への対応、こういうところで重要な役割が期待されていると認識をしております。
○とかしき分科員 ありがとうございます。
ということで、こういった薬物の重複利用、たくさん飲むことによって、もちろん健康被害も起こるんですけれども、当然医療費もかさんでくるわけでございます。ということで、患者本人にも身体的負担もある上に、医療費がすごくかかってしまう。さらに、医療を受けるために身体的負担もかかってくるということで、そういった意味では余りハッピーな状況ではないわけでございます。
といいましても、諸外国と比べて、では、日本が突出して薬の費用負担が大きいかというと、決してそうでもないわけです。とはいうものの、無駄な部分も非常に多いかと思われますので、この後期高齢者の医療にかかわる、特に薬を今例にとりましたけれども、情報の一元化、このことについて、どういうふうに今後取り組んでいこうと思っていらっしゃるでしょうか。
○高橋(直)政府参考人 後期高齢者にかかわる情報の一元化ということでございます。
薬以外にも、医療全般にでも、もちろん、かかりつけのお医者さんにできればかかっていただくということがあるかと思います。また、薬の分野でも、これまでも薬の重複投薬を避けることなどを目的にいたしまして、特に患者さんが日常的に調剤を受けるかかりつけ薬局の普及にも取り組んでいるわけでございます。また、患者の投薬情報を一元的に管理するという観点から、御本人にも薬歴等の情報が記載された手帳を持っていただいて、医師が薬を処方する際や薬剤師の方々が調剤する際に役立てるお薬手帳の普及などにも現在取り組んでいるところでございます。
こういった施策について、引き続き推進していきたいというふうに考えております。
○とかしき分科員 ありがとうございます。
今いろいろお話しいただきましたけれども、私は、後期高齢者というのは、普通の状態とちょっとまた、かなり状況が特殊になってくるかと思われるわけです。
といいますのは、今のお話からいきますと、実は、非常に情報が医療機関の方に今帰属している状況で、例えば医療のレントゲン一つとっても、医療機関からレントゲンを提供してもらうのに、かなりお医者様に交渉したりとか、そういった患者の強い意思がないと、自分の方に情報を一元化していくのが非常に難しい状況にあるということです。
さらに、後期高齢者の場合は、自分の方で一元化しようと思っても、本人以外が情報を一元化しなくては、例えば、だれかが付き添っていったりとか、本人に認知症が発生したりとか、そういった状況になって、本人自身が一元化する意思をはっきり出せなくなってくるかわりに、周りの人がそれをある程度管理してあげなくてはいけないということで、情報の一元化を本人自身の方に帰属させていくのも非常に難しいということです。
これは、医療機関と本人と、情報を、両方がダブルで、ある程度セットで持っておかないと、どちらかに、お願いします、本人が持って歩いてください、今のように手帳で持ってくださいといっても、なかなか難しい場合もあるし、忘れていくときもあるでしょうということで、いろいろなシチュエーションが考えられる。特に、後期高齢者の場合はそういった状況が多分多く山積されると思いますので、当然、個人の方と医療機関の方と、両方が医療情報を今後持っていく仕組みをつくっていく必要があるかと思うんですけれども、この点、いかがお考えでしょうか。
○松谷政府参考人 先生御指摘のとおり、後期高齢者は、相当に認知症が出てまいったり、あるいは御本人自身の衰えというようなこともございますので、情報をみずからすべて主体的に管理をするということが難しい場合も出てまいります。また、医療機関の方も、いろいろな複数の疾病を持っていますと、複数の医療機関にかかるというようなことで、それぞれの医療機関がすべての情報を持っていないという課題がございます。
これらにつきましては、それらを組み合わせることによってやらなければならないということでございますけれども、先ほど申し上げましたように、総合的に診るようなお医者さん、あるいはかかりつけのお医者さんというようなところで、専門的な意味での情報の、その方をよく知っているお医者さんがサポートをするというような形が最も望ましい。あるいは、薬局におきましても、病院ごとの薬局ではなくて、かかりつけの薬局というようなところがございますので、そういうところで薬を一元的に管理する、そういうやり方がやはり本来的な望ましい姿ではないかと思っております。
○とかしき分科員 ありがとうございます。
ということで、かかりつけのお医者様とか、薬局とか、そういったものをある程度一元化していくというのが必要であるというのもよくわかるわけでございます。しかし、大学病院とか、そういった複数の科を持っている機関のところに、どうしても高齢者というのはかかりに行く頻度が高くなっていくわけです。ですから、最初のころはかかりつけ医でいいんですけれども、だんだん症状がひどくなってきますと、大きな大型病院の方にどんどんどんどん高齢者は移動していってしまうわけですから、そうなると、ますます情報が集まりにくい。
特に、大きな病院にかかっておきながら、その病院に、ある専門の科が欠落していて、そのためにその高齢者の方がその診療を受けられないとなると、治療体制として非常に整いにくい状況にもなりますので、その辺、今後どういうふうにしていったらいいのか。後期高齢者というのはかなり特殊な状況がいろいろありますので、運用面でまたいろいろ考えていただければと思います。これは要望にしておきます。
ということで、終末期の医療、今、自宅で迎えていこうということで、国の方もどちらかというとそういった形で進めていこうともしておりますし、患者や家族の方も、むしろ病院よりも自宅の方で死を迎えてみとっていただきたい、こういったことがだんだんふえてくるというふうに考えられます。となると、在宅用のチーム医療、こういったものが、環境整備を進めていくことが非常に大切になってまいります。ところが、こういった在宅医療を行いにくい環境がいろいろあるわけです。これからは、ちょっとそちらの方の質問をさせていただきたいと思います。
ちょっと具体例を申しますと、例えば、これは末期がんの患者さんなんですけれども、もう口から栄養がとれなくなってきた患者さんの場合は、高カロリーの点滴、HPNというんですけれども、これを点滴する方法がよく行われるわけでございます。しかし、患者さんは、症状が、もちろん状況が違いますので、このHPNというのを、ある程度必要な輸液を調製していかなくてはいけないんですけれども、そのためには無菌室を持った薬局でやっていくしかないわけです。ところが、全国でも約百二十カ所、私の地元の大阪でも、調べましたところ、約十カ所ぐらいしかこの無菌製剤室を持った薬局がないわけです。
ということで、では、この無菌室のある薬局は一体全国でどれぐらいあるのか。また、もしかしたら無菌製剤室を持たないところが都道府県でどこかあるのではないかと思われるんですけれども、その辺、いかがでしょうか。
○水田政府参考人 お答えいたします。
無菌調剤のある薬局数そのものの調査というものはございませんけれども、保険薬局といたしまして無菌調剤の届け出を行っている施設ということで申し上げますと、平成十八年七月現在、全国で百三十四カ所と承知をしてございます。
こういった無菌調剤のある保険薬局としての届け出のない都道府県の数は、全国で十七でございます。
○とかしき分科員 ありがとうございます。
十七都道府県が無菌製剤を持っていないということで、かなりこれは、分布からすると、一つの県で一つもないというところも十七カ所もあるというのは、利用できる患者さんが非常に不便を強いられているというふうに考えられるわけです。特に、末期がんで自宅で終末期を迎えようと思っても、このサポートがないと、なかなか自分の家で終末期を迎えることができなくなるわけでございます。
ということで、この無菌製剤を行える薬局、これはやはり、個人の薬局では設備投資が非常に難しくて採算がとりにくいというのでなかなかふえていかないというのと、そして、薬剤師がほかの薬局と例えば連携をして調製して服薬指導することも禁じられているわけでございます。
これは、調べましたら、昭和五十年の六月当時に、厚生省の薬務局長の通知によると、薬局は、同一フロアもしくは患者さんが上りおりできる専用の階段を持っていないとだめだということで、無菌調剤をある程度想定した設置基準になっていなかった。ということで、薬局が無菌製剤室を例えば違うフロアに持とうとしても、同じフロアのかなり広いところの薬局を持っていないとそういう設備投資ができないということで、今の時代に非常に合わないというふうに思うんですけれども、このような形の通知を少し改善していく必要はないのでしょうか。
○高橋(直)政府参考人 ただいま委員御指摘の通知は、調剤室や待合室など薬局の構造設備の一部を同一の建物のほかの階に設けるような薬局の許可について、疑義の照会があったのでございますけれども、それについて、薬局内で専用階段によって患者が昇降できる、薬局としての同一性、連続性が保たれる、あるいは薬剤師が適切に管理をする、こういった条件を満たして、構造設備の一部を他の階に設けることが適正な調剤確保の上で必要と認められる場合には許可して差し支えないということを命じたものでございます。
したがいまして、それ自体は、無菌製剤室の設置などとは必ずしも関連はしていないものでございますけれども、そういった、今後の在宅医療の推進の上で、無菌の調剤というのはもちろん今後広がりを見せていくというふうに考えられますので、構造設備面で何か多少差しさわりと申しますか、そういった面があれば、私どもとして、また、そういった在宅医療の普及との兼ね合いで、そういったものについて考えていきたいというふうに考えております。
○とかしき分科員 ありがとうございます。
実際、これをつくろうと思ったら、これでひっかかってできない方がいらしたということで聞いておりますので、そういった無菌製剤室をつくりやすい環境を背中を押していただけるように、ぜひお願いしたいと思います。
あと、無菌製剤室を持てればいいんですけれども、例えば、持てなかった場合、特別な機能を持った、こういった無菌製剤を持った薬局と地元のかかりつけ薬局の連携ができるように。今、一つの処方せんで、一つの薬局で全部集中しないと薬を出してもらえないということで、こういう無菌製剤室の処方が出てしまいますと、施設を持っているところまで患者さん、家族の皆さんがわざわざその場所まで、遠くまで行って、そして薬をもらってこないとだめな状況なわけです。
例えば、地元のかかりつけ薬局で無菌製剤室を持っている薬局と連携をして、最終的にかかりつけ薬局の方から薬を出してあげるというような、こういった連携をもっと自由にとれるようにしていくのも一つの方法かと思うんですけれども、この辺、御検討いただけないでしょうか。
○高橋(直)政府参考人 在宅医療を推進していく上で、地域とのかかわりの深い、そういったかかりつけの薬局が果たす役割というのは大変重要だと思います。それと同時に、在宅医療そのものの推進の中には、無菌調剤などの設備を必要とする面も今後ふえていく、その間の連携をどうするかということでございます。
現在の薬事法などの体系ですと、基本的には調剤を行った薬剤師さんが例えば薬についての説明をきちっと行うというのは基本原則ということになっていまして、幾つか薬局間で連携を図る上では、制度面でももう一回よく考えてみなければいけない点もあるかと思いますけれども、そういった在宅医療の推進のためにそういった薬局間の連携ができるだけ進むように、私どもとしても研究をしていきたいというふうに考えております。
○とかしき分科員 ぜひよろしくお願いいたします。
それでは、在宅医療での医療廃棄物について、ちょっとお伺いしていきたいと思います。
今後、増加が見込まれる在宅医療で、医療廃棄物が驚異的にふえてくると想定できるんですけれども、この医療廃棄物、例えば薬などをとりますと、これは化学物質のかなり濃縮されたものでございます。今はこの廃棄については行政が余り指導を行っていなくて、環境省が今調査をしているようなんですけれども、普通の一般ごみの中に入って捨てられているということで、一般ごみの場合は、多くの場合は焼却という手をとっておりますので、この化学物質に熱を加えますと、ガス化していって、空気中に散布されていって、それをまた私たちは吸ってしまうということで、これは、薬とかこういった化学物質を含んだ医療廃棄物、処理の仕方を間違えてしまいますと、非常に私たちにまた健康被害というものが起こってくる可能性があるわけです。また、家の中にも、皆様のおうちもそうでしょうけれども、冷蔵庫とかをあけるといっぱい薬が入っていて、いつのころにもらった薬でどんな薬なのかさっぱりわからない、そんな状態があちこちで見受けられるわけでございます。
ということで、こういった化学物質をたくさん含んだ薬、これの処理の仕方。昔も、ピルを飲んで、それによって川の生態系が狂ってしまって、雌化してしまったというようなこともありましたけれども、こういったちょっとした化学物質の量によって、物すごく自然に影響も大きいわけでございます。
ということで、こういった化学物質をたくさん含んでしまった医療廃棄物、この辺の処理を今後どういうふうにお考えなのか、お示しいただけますでしょうか。
○松谷政府参考人 廃棄物処理につきましては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律で、これは環境省の所管でございますけれども、対応されているわけでございます。
今先生御指摘の、特に在宅医療が今後進んでいく中で、医療の廃棄物というものが出てまいるわけでございまして、家庭から排出される廃棄物につきましては、先ほどの法律に基づきますと、市町村が収集、運搬、処分しなければならないというふうになってございます。
ただし、今委員御指摘のとおり、いろいろ注意しなければならない面がございます。化学物質の塊である、あるいは在宅の医療に伴う注射器、点滴バッグなども含まれるというようなことでございますので、環境省においても、この面、研究を進めているというふうに伺っておりますけれども、私どもとしても、それと協力をして今後対策を考えていきたいと思っております。
○とかしき分科員 ありがとうございます。
私が前に地方議員をしておりました杉並区で、実はこの注射針の回収をやっていこうということで、モデルケースとしてやって、これをあちこちに普及させていこうというふうにしているんですけれども、意外に普及しないわけでございます。
その理由はなぜかといいますと、これは地元の杉並区の薬剤師会が善意で回収して、そして東京都の薬剤師会が集めてそれを処分するという方法をとっているんですけれども、なかなかメーカー側の賛同が得られなくて、要するに、善意である団体のところで処理できる能力というのはもうほとんど限りがありまして、それ以上できなくなってしまうわけでございます。
ということで、この医療廃棄物の問題は今後どんどん大きくなってくると考えられます。そして、これは自治体だけの対応、そして心ある団体だけの対応ではもう十分できなくなってきているわけでございます。
そこで、やはり製薬業界への協力、働きかけを、もう今から少し考えておいてほしい、そして、取り組みをどうしていったらいいのか、これを厚労省の方から働きかけをぜひしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○松谷政府参考人 在宅の医療にかかわる医療廃棄物につきましては、今委員御指摘のとおり、いろいろな課題があると思います。環境省においてもその研究を進めておるわけでございますけれども、基本的な責任はもちろん市町村に最終的にはあるわけでございますけれども、それにどういう形で協力をするか、単なるボランティアでは先生のおっしゃるとおり限界があるということでございますので、関係する医薬品あるいは医療機器業界においても適切な廃棄物処理に協力できることがあるか否かにつきまして、関係業界と、私どもとしても意見交換をしていきたいと思っております。
○とかしき分科員 ありがとうございます。
それでは、最後にもう一つ、栄養士の役割についてお伺いしたいと思います。
アメリカでは、ヘルシーピープルプロジェクトということで、国民医療増進計画が大きな成果を上げて、何とアメリカでは、がんによる死亡率が先進国で唯一減少しているということです。その成果が上がった原因には、いろいろあるんですけれども、食生活の改善、栄養士さんの活躍がかなり大きかったのではないか、こういうふうに言われております。
ということで、在宅医療、これは食べ物の指導というのはかなり重要かと思われますので、栄養士の求められる在宅医療での役割は。あと、チーム医療で、栄養士として活躍していこうと思いますと、医師とか薬剤師とか、そういった人たちとの連携が今非常にとりにくい状況にあるようなんですけれども、この環境を今後どういうふうに整えていこうと思っていらっしゃるのか、その辺のことをお知らせください。
○河井主査代理 時間が来ておりますので、簡潔に。
○松谷政府参考人 患者さんのQOLの向上という観点から、在宅医療サービスの提供という中で、食事、栄養の管理というのは大変大事でございます。
管理栄養士につきましては、チーム医療の一員として、医師を初め関係職種との連携のもと、在宅療養者の食生活の状況や栄養状態の把握、食事療法や摂食、嚥下機能に応じた食事形態などについての相談などを実施することが期待されておりますし、現にそういう方向で動いております。
また、チーム医療の中で管理栄養士というのは、チームの一員として、医師、薬剤師、看護師等医療従事者がそれぞれの知識、技術を持ち寄って、患者さんの最適な栄養管理、評価という上で、栄養管理の点では管理栄養士に期待されるところが非常に多いわけでございます。病院等におきましては、栄養サポートチームというような形での体制が次第にとられてくるようになってきているものと承知してございますけれども、今後、そういった方向、取り組みをさらに進めていきたいと思っております。
○とかしき分科員 ありがとうございました。
○とかしき分科員 きょうは、予算委員会の方の分科会で質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
本日は、高齢者の在宅医療についてお伺いしていきたいと思います。
皆様も御存じのように、二〇〇五年には、ついに死亡数の方が出生数を上回ってしまいまして、人口が一万九千人減ということで、今、六十五歳以上が二千六百万人おりますけれども、十八年後の二〇二五年には三千五百万人ということで、高齢者一人を支える若者が、今は三・一人ですけれども、十八年後には一・九人という、高齢社会に加えて人口減社会ということで、日本はある意味で世界の中でもかなり特異的な状況になってきております。
ということで、このような状況を受けまして、昨年の六月、いよいよ医療制度改革関連法が成立されまして、平成二十年から後期高齢者を対象とした独立した医療制度を創設していこう、こういった方向性が見えてまいりました。
ということで、この後期高齢者の医療はどんな特徴があるのか、そして、この後期高齢者医療における課題は何なのか、この辺のことについてお伺いしたいと思います。
〔主査退席、河井主査代理着席〕
○水田政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘のとおり、後期高齢者医療制度は平成二十年度から開始されるわけでございます。
そこで、新たな制度におきましては、新たな診療報酬体系を設けることになっておりますけれども、そのいわば前提として、高齢者にとって心身の特性にふさわしい医療というのはどういうものであるのかということを、実は、昨年九月に設置されました社会保障審議会の後期高齢者医療の在り方に関する特別部会で議論をいただいているところでございます。
その場におきまして、心身の特性ということについて言われておりますのは三点ございまして、一つは、老化に伴う生理的機能の低下によりまして、治療の長期化、それから複数の疾患、特に慢性疾患への罹患が見られるということ、二点目は、多くの高齢者に、症状の軽重は別といたしまして、認知症の問題が見られるということ、三点目に、いずれ避けることができない死を迎える、こういったことにつきまして御指摘をいただいているところでございます。
○とかしき分科員 ありがとうございます。
慢性疾患や認知症、死を迎えるということで、医療制度の中で、こういった後期高齢者の方々というのは、ある意味でかなり特異な状況に置かれているわけでございます。
ということは、後期高齢者にふさわしい医療提供のあり方、これはかなり特殊になってくるかと思いますけれども、国としての取り組みの方向性、そういったことについてちょっと詳しく御説明いただけますでしょうか。
○松谷政府参考人 今答弁申し上げましたように、後期高齢者は心身の特性がかなり異なっておるということから、複数の疾患をあわせ持っている、あるいは、慢性の疾患のための、その人その人の生活に合わせた療養を考える必要がある、あるいは、頻回受診をする傾向がございますので、そういう方々への検査、投薬というものをどのように見ていくかというようなこと、あるいは、療養が地域において行えるようにする、あるいは、患者自身がみずから治療法を選択していくというようなことを満たすようなことを考えていく必要があろうかと思います。
そのためには、一つは、高齢者の方々をサポートする地域での体制、特に在宅での医療を重視した医療というのが必要でございます。このためには、従前から推進してございます、かかりつけ医を持って、その方と御相談しながら自分の体についてのケアを考えていく、また、そういう方々とともに訪問診療、訪問看護など在宅での医療ができるような体制をとっていく、あるいは、複数疾患を抱えるということから、総合的に診ていくお医者さんを育てていく必要があるというようなこと、さらに、最終的には私どもはすべて終末期を迎えるわけでございますけれども、そういうことについては、疼痛緩和あるいは自己決定といったような観点からのこと、それから、介護保険との連携といったような各般の体制を今後は進めていく必要があるというふうに認識しております。
○とかしき分科員 地域におけるそういったサポート、そして介護保険との連携ということで、後期高齢者は場所によっていろいろ医療体制が変わってくるかと思うんです。例えば、入院をしている入院医療の場合、外来医療の場合、そして在宅医療ということで、特に、国の方は、この在宅医療の方に今後力を入れていこうというふうになさっているようなんですけれども、それぞれの役割が多分微妙に変わってくるかと思うんです。
求められるそれぞれの役割は何なのか、それの連携をどういうふうに考えているのか、そして、国として、どちらの方に今後ウエートを持っていこうと思っていらっしゃるのか、その目標とかもございましたら、あわせてお知らせください。
○水田政府参考人 後期高齢者の、それぞれの医療提供の場面場面に応じた医療の役割ということでございます。
先ほども申し上げました特別部会における議論を御披露いたしますと、一つは、急性期の医療、これは入院医療ということもあろうかと思います。急性期の医療にありましても、治療後の生活を見越した医療の提供が重要であるということが指摘されております。また、二点目といたしましては、在宅医療を実施する医師などを含めまして、医療機関の機能、特性に応じた地域における医療連携が重要となるという御指摘。それから三点目は、複数疾患を抱える後期高齢者を総合的に診る医師が必要となることが言われておりまして、特に在宅医療の場面を考えますと、こういった後期高齢者を総合的に診療できる医師の必要性ということが指摘をされているところでございます。
○とかしき分科員 ありがとうございます。
実は、私も薬剤師でございまして、地方議員をしておりましたときから何回か薬にかかわる陳情等もいろいろございまして、中には重複投与による副作用の陳情みたいなものもございまして、あるお宅にお伺いしたところ、物すごい量の薬を飲んでいらっしゃいまして、特に、その方はうつ病だったんですけれども、複数の医療機関にかかって、うつ病であるということをどんどん言って回っていると、皆さんが気を使ってうつ病の薬をお出しになって、それを生まじめに飲んでいらして、ますます病状が悪化していくということで、それで体調が悪いということで陳情があったわけなんです。
そういったことがあったり、あと、私の祖父もそうだったんですけれども、非常に薬の量をたくさん飲んでおりまして、手にいっぱい余るぐらい薬を飲んでおりました。祖父は、食事のときに薬が飲めなくなるといけないのでということで、食事の量までコントロールを始めまして、一体何のために薬を飲んでいるのだろうと、当時、私は学生、高校生だったんですけれども、祖父のその姿を見て、私が薬剤師になって、必要な薬とそうじゃない薬を見分けてあげよう、こういうふうに思って薬剤師になったんですけれども、なったころには祖父は亡くなっておりまして、結局、亡くなった死因は胃がんだったわけですね。これは多分、薬をたくさん飲み過ぎたことによって胃がんになっていたのではないかというふうに医者の方にも言われました。
こういったことによって、加齢によっていろいろな複数の疾病を抱えることによって、使用される薬剤は当然ふえてくるわけです。そして、生活習慣病ということで、長期にわたって、いろいろな複数の薬がどんどんふえてまいります。そして、重複投与も出てまいりますし、薬物相互の作用も出てまいります。あと、臓器の機能低下による副作用の危険性も出てくる。
そして、何といっても身体的な機能の低下ということで、先ほども話がありましたけれども、認知症が入ってきたりとか、視覚、聴覚も不自由になってきたり、嚥下障害が出てきたりということで、自己管理がだんだん高齢者になってくると非常に困難になってくるわけです。となると、周りの人たちもかなり支えてあげないと、こういった治療の体制も整えることが難しくなってまいります。調剤の工夫による服薬の援助、こういったこともどんどんしていかなくてはいけないわけです。
ということで、後期高齢者の薬物治療というのは結構難しいわけですけれども、その辺、国としてどういった指導を今後していこうか、どういうふうに取り組んでいこうと思っていらっしゃるのか、お聞かせください。
○水田政府参考人 後期高齢者の薬物治療の特性という点につきましては、先生御指摘のとおりでございます。
一つは、加齢とともに複数の疾病を合併する割合が高くなり、使用する薬剤数がふえるということ。それから、高血圧など生活習慣病の罹患率が高いわけでございますので、長期にわたって薬物治療を受ける患者が増加するということ。それから、腎臓機能、肝臓機能などの生理機能の低下によって、薬物の作用が増強したり、副作用が発生しやすくなる、こういったことが見られるということ。それから、複数医療機関を頻回受診する傾向があり、投薬におきまして多数、重複、こういった傾向が見られることが挙げられるわけでございます。
これらに対してどのような対応をしていくかということがポイントになるわけでございますけれども、特に、薬局につきましては、こういった医薬品の重複、相互作用への対応、こういうところで重要な役割が期待されていると認識をしております。
○とかしき分科員 ありがとうございます。
ということで、こういった薬物の重複利用、たくさん飲むことによって、もちろん健康被害も起こるんですけれども、当然医療費もかさんでくるわけでございます。ということで、患者本人にも身体的負担もある上に、医療費がすごくかかってしまう。さらに、医療を受けるために身体的負担もかかってくるということで、そういった意味では余りハッピーな状況ではないわけでございます。
といいましても、諸外国と比べて、では、日本が突出して薬の費用負担が大きいかというと、決してそうでもないわけです。とはいうものの、無駄な部分も非常に多いかと思われますので、この後期高齢者の医療にかかわる、特に薬を今例にとりましたけれども、情報の一元化、このことについて、どういうふうに今後取り組んでいこうと思っていらっしゃるでしょうか。
○高橋(直)政府参考人 後期高齢者にかかわる情報の一元化ということでございます。
薬以外にも、医療全般にでも、もちろん、かかりつけのお医者さんにできればかかっていただくということがあるかと思います。また、薬の分野でも、これまでも薬の重複投薬を避けることなどを目的にいたしまして、特に患者さんが日常的に調剤を受けるかかりつけ薬局の普及にも取り組んでいるわけでございます。また、患者の投薬情報を一元的に管理するという観点から、御本人にも薬歴等の情報が記載された手帳を持っていただいて、医師が薬を処方する際や薬剤師の方々が調剤する際に役立てるお薬手帳の普及などにも現在取り組んでいるところでございます。
こういった施策について、引き続き推進していきたいというふうに考えております。
○とかしき分科員 ありがとうございます。
今いろいろお話しいただきましたけれども、私は、後期高齢者というのは、普通の状態とちょっとまた、かなり状況が特殊になってくるかと思われるわけです。
といいますのは、今のお話からいきますと、実は、非常に情報が医療機関の方に今帰属している状況で、例えば医療のレントゲン一つとっても、医療機関からレントゲンを提供してもらうのに、かなりお医者様に交渉したりとか、そういった患者の強い意思がないと、自分の方に情報を一元化していくのが非常に難しい状況にあるということです。
さらに、後期高齢者の場合は、自分の方で一元化しようと思っても、本人以外が情報を一元化しなくては、例えば、だれかが付き添っていったりとか、本人に認知症が発生したりとか、そういった状況になって、本人自身が一元化する意思をはっきり出せなくなってくるかわりに、周りの人がそれをある程度管理してあげなくてはいけないということで、情報の一元化を本人自身の方に帰属させていくのも非常に難しいということです。
これは、医療機関と本人と、情報を、両方がダブルで、ある程度セットで持っておかないと、どちらかに、お願いします、本人が持って歩いてください、今のように手帳で持ってくださいといっても、なかなか難しい場合もあるし、忘れていくときもあるでしょうということで、いろいろなシチュエーションが考えられる。特に、後期高齢者の場合はそういった状況が多分多く山積されると思いますので、当然、個人の方と医療機関の方と、両方が医療情報を今後持っていく仕組みをつくっていく必要があるかと思うんですけれども、この点、いかがお考えでしょうか。
○松谷政府参考人 先生御指摘のとおり、後期高齢者は、相当に認知症が出てまいったり、あるいは御本人自身の衰えというようなこともございますので、情報をみずからすべて主体的に管理をするということが難しい場合も出てまいります。また、医療機関の方も、いろいろな複数の疾病を持っていますと、複数の医療機関にかかるというようなことで、それぞれの医療機関がすべての情報を持っていないという課題がございます。
これらにつきましては、それらを組み合わせることによってやらなければならないということでございますけれども、先ほど申し上げましたように、総合的に診るようなお医者さん、あるいはかかりつけのお医者さんというようなところで、専門的な意味での情報の、その方をよく知っているお医者さんがサポートをするというような形が最も望ましい。あるいは、薬局におきましても、病院ごとの薬局ではなくて、かかりつけの薬局というようなところがございますので、そういうところで薬を一元的に管理する、そういうやり方がやはり本来的な望ましい姿ではないかと思っております。
○とかしき分科員 ありがとうございます。
ということで、かかりつけのお医者様とか、薬局とか、そういったものをある程度一元化していくというのが必要であるというのもよくわかるわけでございます。しかし、大学病院とか、そういった複数の科を持っている機関のところに、どうしても高齢者というのはかかりに行く頻度が高くなっていくわけです。ですから、最初のころはかかりつけ医でいいんですけれども、だんだん症状がひどくなってきますと、大きな大型病院の方にどんどんどんどん高齢者は移動していってしまうわけですから、そうなると、ますます情報が集まりにくい。
特に、大きな病院にかかっておきながら、その病院に、ある専門の科が欠落していて、そのためにその高齢者の方がその診療を受けられないとなると、治療体制として非常に整いにくい状況にもなりますので、その辺、今後どういうふうにしていったらいいのか。後期高齢者というのはかなり特殊な状況がいろいろありますので、運用面でまたいろいろ考えていただければと思います。これは要望にしておきます。
ということで、終末期の医療、今、自宅で迎えていこうということで、国の方もどちらかというとそういった形で進めていこうともしておりますし、患者や家族の方も、むしろ病院よりも自宅の方で死を迎えてみとっていただきたい、こういったことがだんだんふえてくるというふうに考えられます。となると、在宅用のチーム医療、こういったものが、環境整備を進めていくことが非常に大切になってまいります。ところが、こういった在宅医療を行いにくい環境がいろいろあるわけです。これからは、ちょっとそちらの方の質問をさせていただきたいと思います。
ちょっと具体例を申しますと、例えば、これは末期がんの患者さんなんですけれども、もう口から栄養がとれなくなってきた患者さんの場合は、高カロリーの点滴、HPNというんですけれども、これを点滴する方法がよく行われるわけでございます。しかし、患者さんは、症状が、もちろん状況が違いますので、このHPNというのを、ある程度必要な輸液を調製していかなくてはいけないんですけれども、そのためには無菌室を持った薬局でやっていくしかないわけです。ところが、全国でも約百二十カ所、私の地元の大阪でも、調べましたところ、約十カ所ぐらいしかこの無菌製剤室を持った薬局がないわけです。
ということで、では、この無菌室のある薬局は一体全国でどれぐらいあるのか。また、もしかしたら無菌製剤室を持たないところが都道府県でどこかあるのではないかと思われるんですけれども、その辺、いかがでしょうか。
○水田政府参考人 お答えいたします。
無菌調剤のある薬局数そのものの調査というものはございませんけれども、保険薬局といたしまして無菌調剤の届け出を行っている施設ということで申し上げますと、平成十八年七月現在、全国で百三十四カ所と承知をしてございます。
こういった無菌調剤のある保険薬局としての届け出のない都道府県の数は、全国で十七でございます。
○とかしき分科員 ありがとうございます。
十七都道府県が無菌製剤を持っていないということで、かなりこれは、分布からすると、一つの県で一つもないというところも十七カ所もあるというのは、利用できる患者さんが非常に不便を強いられているというふうに考えられるわけです。特に、末期がんで自宅で終末期を迎えようと思っても、このサポートがないと、なかなか自分の家で終末期を迎えることができなくなるわけでございます。
ということで、この無菌製剤を行える薬局、これはやはり、個人の薬局では設備投資が非常に難しくて採算がとりにくいというのでなかなかふえていかないというのと、そして、薬剤師がほかの薬局と例えば連携をして調製して服薬指導することも禁じられているわけでございます。
これは、調べましたら、昭和五十年の六月当時に、厚生省の薬務局長の通知によると、薬局は、同一フロアもしくは患者さんが上りおりできる専用の階段を持っていないとだめだということで、無菌調剤をある程度想定した設置基準になっていなかった。ということで、薬局が無菌製剤室を例えば違うフロアに持とうとしても、同じフロアのかなり広いところの薬局を持っていないとそういう設備投資ができないということで、今の時代に非常に合わないというふうに思うんですけれども、このような形の通知を少し改善していく必要はないのでしょうか。
○高橋(直)政府参考人 ただいま委員御指摘の通知は、調剤室や待合室など薬局の構造設備の一部を同一の建物のほかの階に設けるような薬局の許可について、疑義の照会があったのでございますけれども、それについて、薬局内で専用階段によって患者が昇降できる、薬局としての同一性、連続性が保たれる、あるいは薬剤師が適切に管理をする、こういった条件を満たして、構造設備の一部を他の階に設けることが適正な調剤確保の上で必要と認められる場合には許可して差し支えないということを命じたものでございます。
したがいまして、それ自体は、無菌製剤室の設置などとは必ずしも関連はしていないものでございますけれども、そういった、今後の在宅医療の推進の上で、無菌の調剤というのはもちろん今後広がりを見せていくというふうに考えられますので、構造設備面で何か多少差しさわりと申しますか、そういった面があれば、私どもとして、また、そういった在宅医療の普及との兼ね合いで、そういったものについて考えていきたいというふうに考えております。
○とかしき分科員 ありがとうございます。
実際、これをつくろうと思ったら、これでひっかかってできない方がいらしたということで聞いておりますので、そういった無菌製剤室をつくりやすい環境を背中を押していただけるように、ぜひお願いしたいと思います。
あと、無菌製剤室を持てればいいんですけれども、例えば、持てなかった場合、特別な機能を持った、こういった無菌製剤を持った薬局と地元のかかりつけ薬局の連携ができるように。今、一つの処方せんで、一つの薬局で全部集中しないと薬を出してもらえないということで、こういう無菌製剤室の処方が出てしまいますと、施設を持っているところまで患者さん、家族の皆さんがわざわざその場所まで、遠くまで行って、そして薬をもらってこないとだめな状況なわけです。
例えば、地元のかかりつけ薬局で無菌製剤室を持っている薬局と連携をして、最終的にかかりつけ薬局の方から薬を出してあげるというような、こういった連携をもっと自由にとれるようにしていくのも一つの方法かと思うんですけれども、この辺、御検討いただけないでしょうか。
○高橋(直)政府参考人 在宅医療を推進していく上で、地域とのかかわりの深い、そういったかかりつけの薬局が果たす役割というのは大変重要だと思います。それと同時に、在宅医療そのものの推進の中には、無菌調剤などの設備を必要とする面も今後ふえていく、その間の連携をどうするかということでございます。
現在の薬事法などの体系ですと、基本的には調剤を行った薬剤師さんが例えば薬についての説明をきちっと行うというのは基本原則ということになっていまして、幾つか薬局間で連携を図る上では、制度面でももう一回よく考えてみなければいけない点もあるかと思いますけれども、そういった在宅医療の推進のためにそういった薬局間の連携ができるだけ進むように、私どもとしても研究をしていきたいというふうに考えております。
○とかしき分科員 ぜひよろしくお願いいたします。
それでは、在宅医療での医療廃棄物について、ちょっとお伺いしていきたいと思います。
今後、増加が見込まれる在宅医療で、医療廃棄物が驚異的にふえてくると想定できるんですけれども、この医療廃棄物、例えば薬などをとりますと、これは化学物質のかなり濃縮されたものでございます。今はこの廃棄については行政が余り指導を行っていなくて、環境省が今調査をしているようなんですけれども、普通の一般ごみの中に入って捨てられているということで、一般ごみの場合は、多くの場合は焼却という手をとっておりますので、この化学物質に熱を加えますと、ガス化していって、空気中に散布されていって、それをまた私たちは吸ってしまうということで、これは、薬とかこういった化学物質を含んだ医療廃棄物、処理の仕方を間違えてしまいますと、非常に私たちにまた健康被害というものが起こってくる可能性があるわけです。また、家の中にも、皆様のおうちもそうでしょうけれども、冷蔵庫とかをあけるといっぱい薬が入っていて、いつのころにもらった薬でどんな薬なのかさっぱりわからない、そんな状態があちこちで見受けられるわけでございます。
ということで、こういった化学物質をたくさん含んだ薬、これの処理の仕方。昔も、ピルを飲んで、それによって川の生態系が狂ってしまって、雌化してしまったというようなこともありましたけれども、こういったちょっとした化学物質の量によって、物すごく自然に影響も大きいわけでございます。
ということで、こういった化学物質をたくさん含んでしまった医療廃棄物、この辺の処理を今後どういうふうにお考えなのか、お示しいただけますでしょうか。
○松谷政府参考人 廃棄物処理につきましては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律で、これは環境省の所管でございますけれども、対応されているわけでございます。
今先生御指摘の、特に在宅医療が今後進んでいく中で、医療の廃棄物というものが出てまいるわけでございまして、家庭から排出される廃棄物につきましては、先ほどの法律に基づきますと、市町村が収集、運搬、処分しなければならないというふうになってございます。
ただし、今委員御指摘のとおり、いろいろ注意しなければならない面がございます。化学物質の塊である、あるいは在宅の医療に伴う注射器、点滴バッグなども含まれるというようなことでございますので、環境省においても、この面、研究を進めているというふうに伺っておりますけれども、私どもとしても、それと協力をして今後対策を考えていきたいと思っております。
○とかしき分科員 ありがとうございます。
私が前に地方議員をしておりました杉並区で、実はこの注射針の回収をやっていこうということで、モデルケースとしてやって、これをあちこちに普及させていこうというふうにしているんですけれども、意外に普及しないわけでございます。
その理由はなぜかといいますと、これは地元の杉並区の薬剤師会が善意で回収して、そして東京都の薬剤師会が集めてそれを処分するという方法をとっているんですけれども、なかなかメーカー側の賛同が得られなくて、要するに、善意である団体のところで処理できる能力というのはもうほとんど限りがありまして、それ以上できなくなってしまうわけでございます。
ということで、この医療廃棄物の問題は今後どんどん大きくなってくると考えられます。そして、これは自治体だけの対応、そして心ある団体だけの対応ではもう十分できなくなってきているわけでございます。
そこで、やはり製薬業界への協力、働きかけを、もう今から少し考えておいてほしい、そして、取り組みをどうしていったらいいのか、これを厚労省の方から働きかけをぜひしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○松谷政府参考人 在宅の医療にかかわる医療廃棄物につきましては、今委員御指摘のとおり、いろいろな課題があると思います。環境省においてもその研究を進めておるわけでございますけれども、基本的な責任はもちろん市町村に最終的にはあるわけでございますけれども、それにどういう形で協力をするか、単なるボランティアでは先生のおっしゃるとおり限界があるということでございますので、関係する医薬品あるいは医療機器業界においても適切な廃棄物処理に協力できることがあるか否かにつきまして、関係業界と、私どもとしても意見交換をしていきたいと思っております。
○とかしき分科員 ありがとうございます。
それでは、最後にもう一つ、栄養士の役割についてお伺いしたいと思います。
アメリカでは、ヘルシーピープルプロジェクトということで、国民医療増進計画が大きな成果を上げて、何とアメリカでは、がんによる死亡率が先進国で唯一減少しているということです。その成果が上がった原因には、いろいろあるんですけれども、食生活の改善、栄養士さんの活躍がかなり大きかったのではないか、こういうふうに言われております。
ということで、在宅医療、これは食べ物の指導というのはかなり重要かと思われますので、栄養士の求められる在宅医療での役割は。あと、チーム医療で、栄養士として活躍していこうと思いますと、医師とか薬剤師とか、そういった人たちとの連携が今非常にとりにくい状況にあるようなんですけれども、この環境を今後どういうふうに整えていこうと思っていらっしゃるのか、その辺のことをお知らせください。
○河井主査代理 時間が来ておりますので、簡潔に。
○松谷政府参考人 患者さんのQOLの向上という観点から、在宅医療サービスの提供という中で、食事、栄養の管理というのは大変大事でございます。
管理栄養士につきましては、チーム医療の一員として、医師を初め関係職種との連携のもと、在宅療養者の食生活の状況や栄養状態の把握、食事療法や摂食、嚥下機能に応じた食事形態などについての相談などを実施することが期待されておりますし、現にそういう方向で動いております。
また、チーム医療の中で管理栄養士というのは、チームの一員として、医師、薬剤師、看護師等医療従事者がそれぞれの知識、技術を持ち寄って、患者さんの最適な栄養管理、評価という上で、栄養管理の点では管理栄養士に期待されるところが非常に多いわけでございます。病院等におきましては、栄養サポートチームというような形での体制が次第にとられてくるようになってきているものと承知してございますけれども、今後、そういった方向、取り組みをさらに進めていきたいと思っております。
○とかしき分科員 ありがとうございました。